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NVIDIAの秋葉原イベントレポート。「GF100はどんなGPUよりも速い」
北米時間1月7〜10日に米ラスベガスで開催された家電関連製品見本市「2010 International CES」(以下,CES)におけるNVIDIAの発表内容から,「NVIDIA 3D Vision」(以下,3D Vision)が中心に据えられていた本イベントだが,今回は,4Gamer読者に興味深いと思われる話題を中心にレポートしてみたい。
「GF100はどんなGPUよりも速い!」
NVIDIAのエンドユーザーイベントといえばこの人,柔らかい物腰の福田 登氏)NVIDIA日本オフィス チャネルセールスマネージャ) |
NSIST ON NVIDIAのマーク。日本語では「やっぱりNVIDIA」としても訴求される |
英語を母国語としていない我々日本人には今ひとつ分かりにくいコトバだが,広報担当者によると,それゆえ「やっぱりNVIDIA」という副題を付けたのだとか。公式な訳語……とまでは言わないものの,全世界で展開されるNSIST ON NVIDIAというキーワードキャンペーンは,こんな意味だと憶えておくのがいいかもしれない。
GF100の解説に当たって登壇した同社のスティーブン・ザン氏は,GF100で採用されるFermiアーキテクチャが,汎用コンピューティングに最適化されたものだと2009年秋に紹介されたことを受ける形で,「FermiはGPGPUに優れたGPUと聞いていた人もいると思う。だが,NVIDIAはゲームを忘れてしまったのかというと,そんなことはない。大間違いだ」と断言。GF100で強化される四つのポイントを挙げ,そのなかでもジオメトリ性能の強化について力を入れて解説した。
また氏は,「(プレイヤーの視点から)近いキャラクターはポリゴンを増やしてディテールの細かいモデルを作り出し(てリアルに表現し),遠くにいるキャラクターはポリゴンを増やさない(で描画負荷を下げる)というように,(ゲームにおいて)ディテールとパフォーマンスのバランスを調整できる」と,テッセレーションの効用を説く。
1月18日の記事でお伝えしているとおり,GF100では,32基のCUDA Coreを軸とした「Streaming Multiprocessor」(ストリーミング・マルチプロセッサ,以下SM)と呼ばれる単位ごとに,1基のPolyMorph Engineを搭載する。512基のCUDA Coreを搭載するGF100において,PolyMorph Engineは16基搭載されることになるわけだが,この点についてザン氏が「前世代の製品を改良して,テッセレーションエンジンを一つだけ付けたようなGPUには絶対に負けない」と強調していた点についても注目しておきたい。
ちなみに,ザン氏の元には昨日,GF100の実機が届いたとのこと。実際に動作させてみたそうだ。実にうらやましい話だが,氏は利用した印象から「どんなGPUよりも速い!」と実感を込めて語っていたので,その実力には相当期待できそうである。
ただ,いつごろ手にはいるかについては「すでに量産に入ってるので,お楽しみに」と述べるに留めていた。この点は,「第1四半期中」(※NVIDIAの2010年第1四半期は2〜4月)とされたCESから,とくにアップデートされていない。
GeForce GT 200の「ちょっといい話」や
3画面立体視「3D Vision Surround」のデモも
なかでも,H.264フォーマットの高解像度ビデオストリームを二つ同時に再生できるのはキモとも言える部分で,Blu-ray 3Dの再生には本機能のサポートが必須となるだけに,「Blu-ray 3Dの再生に対応できるのはGeForce GT 240とFermi(世代のGeForce)だけ」だと氏は強調していた。
「CUDA対応のアプリケーションの一部はNVIDIAのサイトから体験版のダウンロードが出来るのでぜひ試してほしい」と福田氏は会場に詰めかけたユーザーに呼びかけていた。DirectX 10対応GeForceのユーザーには特典もあるようだ |
「Adobe Flash Player 10.1 Beta 2」のハードウェアアクセラレーションを使って,IONプラットフォームを採用したNetbookからYouTube HDを再生するデモ。IONは問題なく再生できたが,一般的なNetbookはハングアップしてしまった |
CESでは,新世代IONや,Tegra 2といった製品でも注目を集めていたNVIDIAだが,今回,それらに関連した展示はなし。やや拍子抜けしたという人もいるだろうが,それでも,GF100の実機が日本オフィスにやって来ているというのは,大きなニュースといえそうだ。
国内ゲーム史においては,「ファミコン3Dシステム」や「バーチャルボーイ」といった,“立体視失敗の歴史”があるだけに,3D Visionを斜に構えて見ている人も多そうだ。そればかりか,対応ディスプレイや対応メガネなど,現時点では用意すべきものが多いというのもハードルになりうる。……のだが,結局のところ,こういうのは“鶏と卵”にすぎない。
いわゆる倍速表示に対応したディスプレイが増えてくれば,少しずつ状況も変わると思われるので,今すぐ立体視を体感したいというわけでなくても,一度は今回のようなイベントでその効果を見ておくといいかもしれない。
- 関連タイトル:
GeForce GTX 400
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