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LucasArtsとBioWare,新作MMORPG「Star Wars: The Old Republic」の制作を発表
本作は,映画版のスター・ウォーズシリーズで語られた世界より実に3600年も前の時代を舞台としており,プレイヤーは共和国軍かシス軍かに分かれ,銀河の覇権を賭けた壮大なストーリーを体験していくというMMORPGである。
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LucasArtsの協力を得たBioWareが,「Star Wars: Knights of the Old Republic」(以下,KOTOR)をベースにしたスター・ウォーズ系のMMORPGを開発しているという噂は,2007年の夏頃から盛んにいわれてきた。
KOTORは,BioWareが2003年にリリースしたシングルプレイ専用のRPGで,アメリカの出版社,Wizards of the Coastが提唱するテーブルトークRPGのルール体系「d20システム」に則った忠実なスター・ウォーズワールドの再現が,コアゲーマーやスター・ウォーズファンの間で人気となった。その後,テーブルトークRPGやコミックス,小説などの関連商品も登場しており,LucasArtsは,そんなKOTOR人気をうまく活用したいと考えていた。
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2008年初めにElectronic Artsの傘下に入ったBioWareだが,「シリーズ化したKOTORを惰性で数年ごとにリリースしていくより,ここで一気にMMORPGに作り変え,壮大な世界を表現したかった」と,同社社長のレイ・ミズーカ(Ray Myzuka)氏が今回の制作発表で語るように,両社の思惑はこの点で一致している。
LucasArtsには,Sony Online Entertainmentがサービス中のMMORPG「Star Wars Galaxies」がすでに存在するが,ここ最近の人気は低迷している。Star Wars Galaxiesが,今後どのように扱われていくのかについて,LucasArts社長ダレル・ロドリゲス(Darell Rodriguez)氏ははっきりとは語らなかった。
残念ながら,ムービーを含めて制作発表の内容のほとんどは写真撮影が禁止されており,Star Wars: The Old Republicがどのような作品になるのかは,今回公開された6点のスクリーンショットと6点のコンセプトアートを見て想像していただくしかない。ヨーロッパからのメディアも参加するという規模の大きな制作発表会だったが,具体的な情報はほとんどなかったという雰囲気だ。
とはいえ,発表のあと,メディアによるBioWareとの合同インタビューの機会が与えられており,いくらかの追加情報も得られた。今の段階で判明していることを簡潔に記載するなら,Star Wars: The Old Republicのポイントは以下のようになるだろう。
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キャラクタークラスごとにストーリーを用意
Star Wars: The Old Republicは,これまでのMMORPGにはなかったほどストーリーを重視した作品になるという。
BioWareのオースティンスタジオにおいて,12人のシナリオライターを率いるリード・ライター,ダニエル・エリクソン(Daniel Erickson)氏によると,これまでBioWareが手がけてきた「Baldur's Gate」から「Mass Effect」までの全タイトルのシナリオを合わせたよりも,はるかに分厚いストーリーが書かれているというから驚きだ。
それほど膨大な文書になるのは,ゲーム中に用意された各キャラクタークラスごとに,違ったミッションやセリフが用意されているからだ。実際にどんなキャラクタークラスが用意されるのかは公表されなかったが,たとえばバウンティハンターの目的は,共和国の再興を願うジェダイのそれとはまったく異なるのだから,ミッションが違うのは当然といえば当然のことだ。
もちろん,クラスごとにストーリーまでが異なるというのは,かなり野心的な試みである。多くのMMORPGは細かいミッションの積み重ねであり,“サガ”と表現できるほどのドラマの流れを作り出すのは難しい。だが,さまざまなヒーローがさまざまな目的で活躍するスター・ウォーズ世界では,そうしたドラマが要求されるのだ。ストーリーの面白さでは定評のあるBioWareだが,そのあたりをStar Wars: The Old Republicでどのように克服していくのかも見ものになりそうだ。
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コンパニオン・キャラクターというサイドキックの存在
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このシステムが一般的なMMORPGの“ペット”と異なるのは,それぞれのコンパニオン・キャラクターにバックグラウンド・ストーリーが用意されているところだ。前出のエリクソン氏は「NPCにも,この世界で活動する目的や意志があり,中には私怨を秘めていたり,フォースに対する考え方が異なっていたりする者もいる。コンパニオンの中には,プレイヤーの行動に同意できずに裏切ったりするキャラクターもいるかも知れない」と語る。
クリエイティブ・ディレクターのJames Olhen(ジェームス・オルヘン)氏に聞いたところ,これらコンパニオン・キャラクターはロボットであったり人間であったり,異星人であったりするとのこと。彼らはプレイヤーと一緒に戦い,レベルも上昇していく。またさまざまなアイテムを持たせたり装備させたりすることも可能になる。
これらのコンパニオン・キャラクターはストーリーの進行に合わせて次々と登場してくるが,お供として行動させられるのは一体のみ。オルヘン氏は,「使用していないコンパニオンがどこにいるのかは今後の発表を待ってほしい」としていたが,これはちょっとしたヒントだ。プレイヤー専用の部屋やカンティーナ酒場,もしくは宇宙船のようなものが存在するのかも知れない。
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本作らしいアートワークの追求
今回,初めて紹介されたStar Wars: The Old Republicのスクリーンショットの中には,「これ,本当はコンセプトアートじゃないの?」と思えるものもある。リード・アーティストのJeff Dobson(ジェフ・ドブソン)氏によると,「画面写真を見れば,それがStar Wars: The Old Republicであることが一目瞭然なくらい,ユニークなものにしたい」とのことで,本作には現実世界から取り込んだテクスチャーデータは一つもなく,すべてがアーティストの手描きで行われているらしい。
実際,α版を撮影したという2分ほどのムービーも紹介されたが,どこか最近公開されたCGアニメ映画「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」の印象に近い雰囲気だ。トゥーン・シェーダは利用されていないものの,アートのスタイルは全体的にアメコミ,もしくはディズニーの手描きアニメ映画のような感じだといえる。
ちなみに,BioWare Austinに参加しているアーティストの中には,LucasArtsに10数年も在籍していた人達が何人もおり,「何を描いてもスター・ウォーズっぽく見える」と,彼らの力量にドブソン氏は満足している様子だった。
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上述のように,Star Wars: The Old Republicは,「Star Wars: Knights of the Old Republic II」のエンディングから300年後,つまりルーク・スカイウォーカーやダース・ベイダーが活躍する銀河帝国の時代より3600年も前の世界を描いたものである。まだ,何千人,何万人というジェダイ騎士からなる強力な組織によって共和国が全盛期を迎えている頃の話だ。
そこへ,KOTORの悪役であるダース・マラクやダース・レイヴンらの反乱によってシスの帝国が誕生したというのは,KOTORをプレイしたことのあるゲーマーならよくご存じだろう。
Star Wars: The Old Republicでは,シスの帝国軍がさらに勢力を強め,ジェダイ達は銀河の首都コルサントから追い出され,今やタイソン(Tython)という惑星を本拠にしている。このタイソンが共和国軍を選んだ場合のスターティングエリアとなり,一方のシス軍で始めた場合,KOTORでも描かれた惑星コリバン(Korriban)というシスロード発祥の地がスターティングエリアになるのだ。
現在,本作で登場する惑星として紹介されているのはタイソンとコリバンの二つだけだが,ムービーではコルサントなども紹介されており,後の銀河戦争の舞台となったいくつかの惑星が登場するのは間違いないだろう。
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リリースの予定時期も分からないが,筆者の直感によれば「Dragon Age」の発売以降となるだろう。もちろん,日本語へのローカライズの可能性も聞いてみたが,現時点では「世界中のスター・ウォーズファンにアピールできるグローバルな作品にしたい」とだけで,まだ多くの部分が未定のようだ。
ただ,KOTORの人気,さらには「Star Wars: Force Unleashed」やクローン・ウォーズで証明された,相変わらずのスター・ウォーズ人気を絶やさないために,LucasArtsも本腰を入れてくるはずだ。BioWareにしても「Warhammer: Age of Reckoning」でMMORPGへの本格的な再攻勢をかけ始めたElectronic Artsをサポートするため,力を入れてくるはず。BioWareの開発力が惜しげもなく費やされている作品だけに,大きく期待していいだろう。
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- ライター:奥谷海人

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