連載
インディーズゲームの小部屋:Room#260「Maldita Castilla」
果てしない戦乱が続く西暦1081年。愛する人を失った一人の若き魔女,モウラの嘆きがカスティーリャ王国に悪魔を招き寄せた。王の勅命を受けたドン・ラミロとその仲間達は,この悪夢を終わらせるべく使命の旅に出る……というのが,本作のバックストーリー。タイトルである“Maldita Castilla”は,スペイン語で“呪われた城”という意味だ。
Locomalitoといえば,本連載の第138回「Hydorah」や,第153回「L’Abbaye des Morts」でも取り上げた,1980年代風の良質なフリーゲームを作り続けていることで知られるインディーズゲーム開発者。Hydorahはグラディウス風,L’Abbaye des Mortsは知る人ぞ知る「Jet Set Willy」風の作品だったが,今回は一見して分かるとおり魔界村風のアクションゲームとなっている。
プレイヤーは王に命じられて悪魔討伐に向かうドン・ラミロとなり,悪魔に支配された呪われた城を目指してステージを攻略していく。キャラクターの操作方法は,方向キーで移動,Zキーで攻撃,Xキーでジャンプというシンプルなもの。ジャンプ中に下を押しながら攻撃することで足元に武器を投げたり,しゃがみながら地面すれすれの敵を攻撃したりといったことはできるが,大魔界村であったような一発逆転の魔法は用意されていないなど,ゲームシステムも非常にシンプルだ。
ドン・ラミロはゲーム開始時に短剣を装備しており,ステージの途中にある宝箱からは,斧,トゲ付き鉄球,シックル(鎌のような武器)を入手できる。武器はどれか1つしか持てず,攻撃スピードや威力,武器を投げたときの軌道や射程距離が異なるので,新しい武器が出現したからといって飛びつかずに,ステージの状況などに応じて切り替えていこう。また,メイン武器とは別に,敵の攻撃を1回だけ防げる盾や,攻撃をサポートしてくれる妖精,扉を開けるための鍵といったアイテムを1つだけ持てる。
公式サイトではプレイ時間の目安が50分とされており,魔界村ほど高難度ではないが,楽勝というほど簡単でもなく,筆者は初回プレイでコンティニューを使いまくって,クリアまで2時間半ほどかかった。
また,ゲームをクリアするとプレイ中に達成できた目標と,達成できなかったものが表示され,それに応じて4通りのエンディングが用意されている。とくに重要なのは,全部で5つ入手できる青い宝石を,すべて集めておくことだ。
あえて色数を抑えつつ,丁寧に描かれたドット絵や,魔界村や「戦場の狼」などのアーケードゲームで使用されたYAMAHAのサウンドチップ,YM2203の音色を再現したというBGMも本作の魅力で,相変わらずフリーゲームとは思えないほど完成度の高い作品に仕上がっている。興味を持った人は,さっそく公式サイトをチェックしておこう。
■「Maldita Castilla」公式サイト
http://www.locomalito.com/maldita_castilla.php- この記事のURL:
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