「インディーズゲームの小部屋」の第53回は,
「The Battle for Wesnoth」を紹介する。本作は,ファンタジー世界Wesnothを舞台にしたターン制ストラテジーゲームだ。2003年に最初のバージョンが公開されて以来,現在までインターネット上の有志によって開発が続けられており,本作の
プロジェクトページ(公式サイト)でフリー公開されてきた。
主なゲームモードは,用意された大小さまざまなキャンペーンをこなしていく,シングルプレイ用の
「キャンペーン」と,インターネットやローカルで9人までの対戦ができる
「マルチプレイ」の二つ。人間やエルフ,ドワーフ,オーク,トロルなど,ファンタジーでお馴染みの種族による200種以上のユニットで自軍を組織しつつ,敵対勢力と戦っていくのだ。
プロジェクトページを見ればお分かりのとおり,本作の基本言語は英語だが,ゲームの言語オプションを切り替えることで,(完全日本語化とはいかないものの)日本語でのプレイも可能なので,ファンタジー系のストラテジーゲームが好きな人はぜひ試してみよう。これは余談だが,本作の言語オプションには40以上の項目(言語)があり,非常に国際色豊かだ。中にはエスペラント語なんてものまであるが,エスペラント語でプレイする人って一体……。
なお本作は現在も開発が進行中で,現時点(2008年8月8日)では安定版の1.4系と,開発版の1.5系の二通りのバージョンが存在する。現在最新の安定版は1.4.4なので,初めてプレイする人はこちらをダウンロードしよう。ゲームのダウンロードは,トップページ最上段の“The Battle for Wesnoth”と書かれた囲み内にある,
“Windows (133.8MB) ”のリンクをクリックすればオーケーだ。
ファンタジー系のストラテジーゲームといえば,「マスターオブモンスターズ」や「ファイアーエムブレム」などが,すぐに頭に思い浮かぶが,本作はちょうどこの二つの作品を足して2で割ったようなイメージだ。ごく大雑把に言ってしまえば,マスターオブモンスターズから,地形の高低の概念や大魔法などの要素を取り去り,戦闘関連のルールをファイアーエムブレム並みに分かりやすくしたものが本作だ。ただし本作にはZOC(Zone of Control)の概念があり,ファイアーエムブレムのように敵対ユニットの横を素通りすることはできない。
総じて複雑な独自ルールがない本作において,キャンペーン攻略時に留意すべき点は,各ユニットのアライメント(属性)と,時間の概念だ。アライメントは,秩序/中立/混沌の三つがあり,秩序ユニットは日中に攻撃力が上がり,夜間は攻撃力が低下する。混沌ユニットはその逆で,中立ユニットは時間の影響を受けない。時間は1ターンごとに経過していくので,うっかり夜間に混沌ユニットに殴りかかったりすると,思わぬ大ダメージを受けることがあるので注意しよう。反対に,混沌ユニットの勢力でプレイしているときは,夜間が攻撃のチャンスだ。
自軍のユニットは,リーダーユニットが城の主塔にいるときに限り,
「雇用」もしくは
「召還」が行える。「雇用」は新規にレベル1のユニットを雇うことで,「召還」は以前のシナリオで生き残ったユニットを再度呼び戻すことだ。本作では,経験を積み,レベルが上がったユニットは上位のユニットに昇進できるので,生存ユニットがいる場合には「召還」をメインに使っていくのがいいだろう。ユニットの雇用/召還および毎ターンの維持費としてゴールド(お金)が必要となるので,収入源である「村」は積極的に占領していきたい。一度占拠した村は敵に奪い返されないように,駐屯部隊を残しておくことをお忘れなく。
本作には,そのすべてが日本語化されているわけではないものの,あらかじめ10本以上のキャンペーンが用意されており,これだけでもかなり充実しているが,「アドオン」機能を使えば,インターネット上からそれこそ山のような数の追加キャンペーンをダウンロードできる。マスターオブモンスターズの新作が長いこと発表されず,寂しい思いをしてきた筆者のような人は,本作で思う存分ファンタジー戦争を堪能してほしい。また,マルチプレイ機能を使えば,インターネット上で公開されているサーバー(公式サーバーもあり)を簡単に見つけられるので,シングルプレイに飽き足らない人はこちらに参戦してみるのもいいだろう。
■「The Battle for Wesnoth」公式サイト
http://www.wesnoth.org/
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