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ハロー!Steam広場 第26回:都市伝説に追われる泥まみれの宇宙飛行士
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者の独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,購入した後にレビューをチェックする上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第26回は,整地されていない道をトラックで走るシミュレーションゲーム「SPiNTiRES」をメインに紹介しよう。このほか,謎の大男“Hat Man”に追い回されるホラーゲーム「The Hat Man: Shadow Ward」や,ノスタルジックな雰囲気が漂うスペースアドベンチャー「Catyph」もあるので,お見逃しなく。
泥まみれになりながら,道なき道で資材を運ぶトラックシミュレーション「SPiNTiRES」
今回は,Oovee Game Studiosが手掛ける「SPiNTiRES」を紹介しよう。本作は,整地されていない山道を舞台に,トラックを運転して,積み荷を目的地まで運ぶシミュレーションゲームとなる。
ゲームの流れとしては,出発地点であるガレージから伐採所までトラックを走らせ木材を積み,製材所まで運ぶという,分かりやすいものになっているが,重要なのはその道中だ。
整地されていない道をトラックで走ることになるので,タイヤが泥濘(ぬかるみ)にハマったり,水たまりに突っ込んでしまったりと,前に進むだけでもかなり大変なのだ。そのうえ詳細なマップもなければ,目的地の表示もアバウトなので,プレイヤーは常に“どの道を進むべきか”という選択を強いられることに。
ショートカットできると思って入った道が,降水によって最悪のコンディションになっていたり,平原だと思って気を抜いて走っていたら,沼にタイヤを取らて動けなくなったりなど,どこもかしこも危険な道ばかりで,舗装された道路が恋しくなってくる。
ゲーム中,プレイヤーが特に苦戦するのは,泥濘にハマってスタックした時だろう。ハマり方が浅ければ,デフロック(差動固定装置)をオンにすることで,なんとか抜け出せるが,厄介なのは深くのめり込んでしまった時だ。
この状態でタイヤを回しても,土を掘り返してどんどん泥濘に沈み込んでしまうだけなので,“脱出不可”と判断した場合は,とりあえず一息入れて落ち着こう。筆者はとりあえず散歩に出かけたが帰ってきても状況は変わっていなかった。
さて,どうしたものかとあたりを見回すと,周辺に生い茂っている木が目に入るはずだ。プレイヤーは,基本的に山中を走るので,こんな状況になったら木の力を借りてみよう。
もちろん木の力を借りると言っても,妖精さんに話しかけるとかそういう話ではない。ここで登場するのが,車両に備え付けられたウィンチ君だ。
ウィンチの使い方はとても簡単で,木と車両をロープでつなげ,あとは稼働させて引っ張り上げるだけだ。こうすることで,強引ながらも車両を救出できるので,自力ではどうしようもない時は,頼りにするといいだろう。
ウィンチを使う際に1つ気をつけたいのは,強く引っ張り上げることで,横転の危険が生まれるこということだ。車両が横転してしまうとエンジンが掛からなくなってしまい,手の施しようがなくなるので,ウィンチを使う時は,車両の傾き具合に注意しよう。
泥まみれになりながらも,少しずつ前に進んでいくという,見た目には地味な本作だが,時間をかけながらも困難な道を踏破した時の達成感は,一度味わえば病み付きになること間違いなしだ。Steamの売り上げランキングで上位に居続けている(2014年6月16日現在)のも納得できる。
また,本作にはマルチプレイも搭載されており,泥濘にハマってしまったほかのプレイヤーをウィンチで引っ張りあげるといった,まさに協力プレイが楽しめるので,一緒に泥遊びをしてくれるフレンドがいれば誘ってみるといいだろう。
「SPiNTiRES」Steamページ(29.99ドル)
謎の大男“Hat Man”に追い回されるホラーゲーム「The Hat Man: Shadow Ward」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回紹介する「The Hat Man: Shadow Ward」は,Game Mechanicsが手掛けるホラーゲームであり,まだGREENLIGHTを通過していない時に,本連載で取り上げたタイトルでもある。
Hat Manとは,人の魂を奪うとされる謎の大男のことで,海外のUrban Legend(いわゆる都市伝説)の1つだ。プレイヤーは,このHat Manが徘徊する屋敷の中を探索していくことになる。
ゲームをスタートして,最初に入ることになる部屋で不気味な日記に触れると,ページが散り散りになり,裏世界へと引きずり込まれてしまう。裏世界へと変貌した屋敷では,一部の照明以外すべて消えており,頼りになるのは,部屋のバスルームで見つけた懐中電灯のみ。
この心細い光だけを頼りに,散り散りになったページを回収していくのだが,すでにあちこちでポルターガイスト現象が発生しており,プレイヤーの寿命を確実に縮めにきているのが分かる。いざとなったらAlt+F4(強制終了)先輩の出番だ。頼みますよ先輩。
まずは最初の5ページを完成させるのが目標となる。この手のビックリ系ホラーゲームは苦手なので,やらざるを得ない時は基本的に音なしでプレイしているのだが,どうやら本作ではキーアイテムに近づくと謎のざわめきが聞こえてくるようで,音なしだと一向にページを見つけることができない。
ということで,仕方なくボリュームを上げてみると確かに「ざわ……ざわ……」と聞こえてくる。何かの前振りだろうか。その時,筆者に電流は走らなかったが,ふと目の前にあったトイレの中を除くと,個室の中にページが落ちているのを発見した。なんだってそんなところに……。
突如襲いかかるポルターガイストに,首を絞められたニワトリみたいな悲鳴をあげながら驚きつつもページを探した結果,なんとか5ページ集めることに成功。しかしここから真の恐怖が始まるのであった。
最初の5ページを完成させると,Hat Manが屋敷を徘徊し始め,プレイヤーを常に追い掛け回してくる。Hat Manに接近されると手に持つ懐中電灯が点滅するので,チカチカし始めたら辺りを見回そう。Hat Manは遠目にみると黒いモヤのようで,目を凝らさないと分かりにくいのだが,近づくに連れて不気味に光る目と口が闇の中から浮かび上がってくる。
幸い移動速度は遅いので,逃げ切ることは簡単なのだが,なにせ屋敷内は複雑な作りであるうえ,行き止まりも多い。運が悪ければ曲がり角を曲がった瞬間に,はちあわせすることもあり,心の休まりどころがない状態だ。
行き止まりでHat Manに追い詰められた場合は素直に諦めよう。横の判定が広いので,Hat Manの横をすり抜けて逃げることは,まず不可能だからだ。
本作にはセーブ機能がないので,1度のプレイでクリアまで目指す必要がある。加えて,屋敷の構造やページの場所は,プレイするごとにランダムで決定するので,リプレイ性はそれなりに高めだ。1人でプレイするよりも,友達に遊ばせてそのリアクションを楽しむのが,正しい遊び方かもしれない。今の流行に合わせて言うなら“実況プレイ”向けのゲームということだ。興味があればぜひ遊んでみて欲しい。
「The Hat Man: Shadow Ward」Steamページ(14.99ドル)
ノスタルジックな雰囲気が漂うスペースアドベンチャー「Catyph」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回は,今週登録された作品の中で,特に異質な雰囲気を醸し出していた「Catyph」を紹介しよう。
本作は,The Black Cubeシリーズと呼ばれる“スライドショーアドベンチャー”の1つで,「ASA:A SPACE ADVENTURE」「THE BLACK TOWER」に続く作品とのこと。3作めとなる今作では,2062年の近未来を時代設定としており,プレイヤーは宇宙飛行士として,太陽系を探検することになる。
特徴的なのが,近未来のはずなのに,ノスタルジックな雰囲気が漂う世界観だ。GREENLIGHTページで公開されているムービーからは,広大な惑星を1人ぼっちで探索する主人公の心細さが,なんとなく伝わってくるように感じた。
ムービーを見て名作パズルアドベンチャー「MYST」を思い浮かべた人も多いのではないかと思うが,本作もMYSTと同じくポイント&クリックでの移動が採用されている。道に迷うことはなさそうだが,随所にパズルが用意されているようで,筆者のようにパズルが苦手な人は,この辺りで手こずるかもしれない。
そんな本作は,GREENLIGHTを通過すれば2014年内にリリース予定となっている。The Black Cubeシリーズを全く知らない人でも楽しめるとのことなので,興味のある人は“いいね”を押して,リリースされたら同シリーズの世界観に触れてみると良いかもしれない。
「Catyph」GREENLIGHTページ
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