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Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業
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印刷2014/02/10 12:00

業界動向

Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業

画像(001)Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業

 以前にも増して,欧米のゲーム業界は慢性的な人材難に陥っている。複雑化するプログラム技術や,開発チームのマネジメントなど,求められる人材のレベルがますます高くなっているからだ。そのため,ゲームメーカー自らが人材育成に乗り出したり,プログラミングを,専門家から一般へ広げようという教育現場の活動が始まったりしている。今回は,そうした動きをいくつか紹介したい。


大学で「Unreal Engine」の使い方を学んで
ゲーム開発者に


 アメリカのリサーチ会社,NPD Groupの発表によると,北米ゲーム市場の2013年の売り上げは129億7000万ドル(約1兆3225億円)で,前年比で2%のマイナスだった。PlayStation 4やXbox One,そして2DSが北米で発売されたことを考えると,この落ち込みは意外に思えるが,内容を見ると,ハードウェアセールスが5%上昇したのに対し,ソフトウェアセールスは9%も下がっており,それがこの結果につながっているようだ。
 新世代のコンシューマ機を購入するため,多くの人が(前世代向けの)新作タイトルを買い控えたという感じだろうか。

 本連載でも何度か書いているように,こうした結果がすぐさま「欧米ゲーム市場の衰退」を意味するわけではない。調査に含まれないダウンロード専用タイトルや,モバイルゲームの売り上げは確実に伸びており,さらにFree-to-Play型のタイトルやブラウザゲームの売り上げを調査に含めるのは難しい。昨年は“パッケージの販売本数が減少した”というだけであり,欧米ゲーム市場が縮小しているというわけではないのだ。

 実際,欧米のゲーム業界は,その着実な伸びを証明するように慢性的人材難に陥っている。理系を志望する学生が減っているのは,日本だけでなくアメリカやイギリスでも同じこと。日々,複雑化するゲーム開発に対応できるプログラマーや,技術面の理解も要求されるアーティストは常に足りていない。そうした状況を背景に,ゲームメーカーが教育分野に介入し,将来の開発者を育てようといったケースも見られるようになってきた。

スタッフォードシャー大学で客員教授を務める,Epic Game Europeのマイク・ギャンブル(Mike Gamble)氏。「Epic Games Centre」設立の主役となった
画像(002)Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業

 2014年初め,「Unreal」「Gears of War」などで知られるデベロッパのEpic Gamesが,イギリス中部にあるスタッフォードシャー大学と提携し,キャンパス内にゲーム開発のノウハウを教える専用スペース「Epic Games Centre」を設立することが明らかになった。このパートナーシップは少なくとも2年にわたって行われ,必要機材はEpic Games側が提供,同社のスタッフが授業を行うという。主な対象は,同大学でゲームデザインを学ぶ学生達で,教材となるのはもちろん,Epic Gamesの誇るゲームエンジン「Unreal Engine」だ。


より多くの優秀な人材を育てるために


 ゲームエンジン市場を独占した感のある「Unreal Engine」は,大作からインディーズゲームまで,過去10年で300作以上のゲームタイトルに使用されてきた。最新版となる「Unreal Engine 4」のリリース時期については今のところ発表されていないが,同エンジンを使った最初のタイトルが2014年内に発売されるという噂もある。
 そんな「Unreal Engine」の開発ノウハウをEpic Gamesスタッフから直接学べるのだから,同エンジンを使って新作を制作する何百ものメーカーに就職できるチャンスも広がるだろう。「Epic Games Centre」で実力を発揮すれば,Epic Gamesも放ってはおかないはずだ。

「Ubisoft Graduate Program」に参加できるのは,Ubisoftのスタジオ/オフィスに出勤可能なアメリカ,カナダ,フランスなど,欧米8か国の在住者に限られている。定期雇用のほとんどない欧米ゲーム企業にとっては,非常に興味深い試みだ
画像(003)Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業
 自ら人材を育てようという動きは,ほかにもある。Ubisoft Entertainmentが2014年9月からスタートさせるという「Ubisoft Graduate Program」は,審査によって選ばれた新卒の若者25人を,欧米12か所の同社スタジオやオフィスに配置し,プログラマーやプロダクションマネージャーとして育てていくという試みだ。最低2年間の雇用が保証されており,先輩から手ほどきを受けて実力を養ってもらうことになる。

 さらに,非営利団体の「Code.org」は,難しいと思われがちなプログラムに親しみを持ってもらうため,アメリカ50州のすべての小学校や高校でプログラムのカリキュラムを採用してもらうための取り組みを続けている。コンピュータ業界は絶対的な人材不足なのに,子供達はプログラム教育に触れることさえないというのが彼らの主張だ。
 Code.orgの活動にはMicrosoftのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏やFacebookのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏,そしてValveのゲイブ・ニューウェル(Gabe Newell)氏などの有名人のほか,いくつかのゲームメーカーがサポートを表明している。
 例えばElectronic Artsは,20時間のコースを終了した学生が無料で「Battlefield 3」「Plants vs. Zombies」などをダウンロードできるという形でCode.orgに協賛しており,すでに300万人の学生達がカリキュラムに参加しているという。

ホワイトハウスやNASAも賛同するCode.orgは,2013年10月から「1時間ずつでもコードの書き方を覚えていこう」という内容の「Hour of Code」を提唱している。「Angry Birds」などの素材を使って,プログラムが学習できるという
画像(004)Access Accepted第410回:人材育成に投資を始めた欧米のゲーム産業

 欧米のゲーム業界では,プロジェクトのために人材を集め,プロジェクトが終了すれば解散し,それぞれが次の職場に移っていくという雇用スタイルが一般的だ。しかし,慢性的な人材不足は,やがてそういうスタイルを過去のものにするかもしれない。人材の育成は長期的な取り組みであり先行投資だが,欧米ゲーム企業に見られるさまざまなプログラムは,そうした危機感と表裏一体のものなのだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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