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印刷2013/11/11 12:00

業界動向

Access Accepted第400回:連載400回記念〜欧米ゲーム業界の立ち位置を確認する

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 2004年9月にスタートして以来,気がつけば本連載も10年めに突入していた。さまざまな「欧米最新事情」を紹介してきたが,読み返してみると,その後大きなトレンドになった事柄もあれば,まったく別の方向に進んで行ったり,急激な変化の中で埋没してしまったものもある。いずれにせよ,日本のゲーマーの皆さんにアメリカやヨーロッパのゲーム文化や市場の理解を少しでも深めてもらえたらと思いつつ,今も試行錯誤を繰り返している。今回は,2年半ほど前に掲載した連載300回から現在までの欧米ゲーム業界の動きを,いくつかのキーワードに沿って紹介してみたい。


次世代市場への本格突入で急変するゲーム業界


 本連載「奥谷海人のAccess Accepted」の100回ぶんを掲載するには,だいたい2年3か月から2年半くらいかかる。1年は52週だから2年あれば十分な気もするが,連載が掲載される日本の月曜日は振替休日が多いことに加え,取材などでお休みをもらうこともあるからだ。
 2004年9月以来,そんなペースでこの連載を書き進め,気がつけば10年めに突入していた。毎週のように記事のネタを提供してくれる欧米ゲーム業界とゲーム関係者,そして何より,この連載を毎週読んでくれる読者の皆さんには,いくら感謝しても足りない思いだ。

北米ではPlayStation 4が2013年11月15日,そしてXbox Oneが11月22日にローンチされる。「1世代10年戦略」が謳われる新型プラットフォームだが,予想もつかない急激な変化に対応できるだけの柔軟性を備えているのだろうか
画像集#002のサムネイル/Access Accepted第400回:連載400回記念〜欧米ゲーム業界の立ち位置を確認する
 さて,そんな連載第300回から前回までを改めて読み返してみると,約2年半の間に急激な変化を続けてきた欧米ゲーム業界の姿が浮かび上がってくる。この変化の背後にあるのは「継続的な開発費の高騰に対し,革新性を保ちつつ,ゲームビジネスをどう進めていくべきか」という,クリエイティブな産業には付きものの命題だ。
 つまり,大手メーカーならば,場合によっては100億円を上回る開発費のリスクをどのように回避していくかということであり,中小デベロッパであれば,旧来のパッケージ販売というビジネスが縮小する中,どのようにして開発資金を調達し,多くの消費者にアピールするかということ。これに失敗すれば,生き残ることも難しい時代なのだ。

 欧米市場では,PlayStation 4Xbox Oneという新世代コンシューマ機がほぼ同時期にローンチするという久々のビッグイベントを迎えようとしている。しかし,11か月前の連載第368回「Aクラスのタイトルが消えつつある2012年の欧米ゲーム業界」でもお伝えしたように,例えば2013年末には「Battlefield 4」「Assassin's Creed IV: Black Flag」「Call of Duty: Ghosts」といった大型タイトルが続々にリリースされる一方で,中小メーカーの「Aタイトル」の数は確実に減少し続けている。

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 数えてみると,2013年10月から12月にパッケージソフトとして発売されるコンシューマ機向け新作タイトルの数は,80本に満たない。つまり,一部の人気作品しか売れないため,自社のラインナップを減らしたり,リリース時期をずらすという,ゲーム産業にとってけして楽観視できない状況が,記事掲載以降さらに続いていることが分かる。

 あくまで噂レベルの話だが,台湾のIT情報サイト「DigiTimes」によれば,PlayStation 4はグローバルローンチに向けてすでに1000万台,Xbox Oneは700〜900万台が生産されているという。2005年11月にローンチされたXbox 360の場合,1000万台販売するのに30か月かかっていることから,両社とも相当気合いを入れて次世代コンシューマ市場に打って出る構えであることがうかがえる。

 しかし,たとえ予定どおり1000万台販売できたとしても,PlayStation 3の7700万台,そしてXbox 360の8000万台に比べると市場はまだ小さい。PlayStation 3/Xbox 360は少なくとも今後数年,現役で使用され続けられるだろうから,大手メーカーでも対応タイトルを次世代機と併行して開発する必要があり,移行期特有のコスト面の負担も少なくないはずだ。

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 新世代コンシューマ機の登場で景気が良さそうに見えるものの,必ずしも楽観視できない欧米ゲームビジネスは,この2年間にどのような道を歩んできたのだろうか。そして,連載が500回に達する頃にはどうなっているのだろうか。
 ここで,過去100回の連載で登場したキーワードからいくつかを選び,現状と比較することで,我々の立っている現在地点を確認してみたい。

■シーズンパス
Access Accepted第365回:「シーズンパス」戦略の光と影

 最近の大作タイトルには必ずと言っていいほど用意されている「シーズンパス」。登場は2011年5月の「L.A. Noire」あたりで,すでにビジネスとして確立していたDLC(ダウンロードコンテンツ)をまとめて廉価に販売し,ファンに長期間,そのゲームで遊んでもらうことを狙った「囲い込み」戦略の一つだ。シーズンパスのほか,「プレミアメンバーシップ」などと呼んでいるメーカーもあるが,内容的には同じものを指す。

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 一般にDLCは,初回が一番売れ,第2弾,第3弾は次第に売り上げが減少する傾向がある。ゲーマーのお気に入りタイトルが変わり,アクティブユーザーが減少するのが要因だが,シーズンパスでは,すべてのDLCをバンドルして事前購入してもらうため,その心配がない。収益が安定するし,スケジュールも立てやすいというメリットがある。

 ただ,シーズンパスを用意するには,それに合わせた開発スケジュールや予算が必要になり,結果としてプロジェクトが大型化してしまう。さらに,シーズンパスの売れ行きが悪くてもDLCを作り続ける必要があるため,結果として次のタイトルへの移行が遅れることも起きる。
 実際,THQの「Darksiders 2」では,シーズンパスを導入したものの本編がヒット作にならず,結局DLCの開発が中止され,パス購入者への返金が行われた。こうした事例が増えればファンのシーズンパス離れを招き,ますます導入が難しくなるという悪循環に陥ることにもなるだろう。

■Free-to-Play
Access Accepted第309回:欧米ゲーム業界に広がるFree-to-Play

 基本プレイ料金は無料でアイテムなどを有料とする,「Free-to-Play」というビジネスモデルは,1999年の「NeoPets」など欧米の低年齢層向けゲームでも見られたが,2003年に正式サービスが開始された「メイプルストーリー」がその嚆矢だと言われている。

 ご存じのようにその後,韓国のMMORPGを中心に中国,ロシアなど,PCゲームの強い市場で一般化したが,そのモデルが北米ゲーム市場に輸入され,Electronic Artsの「Battlefield Heroes」(2009年)やSony Online Entertainmentの「Free Realms」(2009年)に採用された。とはいえ,そのときはまだ「アメリカや西欧で,Free-to-Playタイトルを成功させるのは難しい」とも言われていた。

「League of Legends」
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 こうした見方が一気に変わるのは,2011年のことだ。2009年にサービスが開始されたRiot GamesのFree-to-Playタイトル「League of Legends」は,ファンベースを急速に拡大し,国際大会が開催されるまでになったほか,2010年にロシア語版がローンチされたWargaming.netの「World of Tanks」も同年英語版を公開し,こちらもファンを大きく増やした。
 またValveは2011年,「Steam」にFree-to-Play専用セクションをオープンし,人気FPS「Team Fortress 2」の発売5周年を記念し,これをFree-to-Playタイトルにしている。

「World of Tanks」
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 こうした動きはPCからコンシューマ機市場に波及しつつあり,PlayStation 3やXbox 360では実験的な意味合いの強かったFree-to-Playタイトルが,次世代機で開花しそうだ。PlayStation 4の「DC Universe Online」「Warframe」,Xbox Oneの「Project Spark」などはその好例になることだろう。

 PC向けのMMOPRPGにおいては,例えば「The Elder Scrolls Online」のように月額課金を維持する新規サービスもまだ少なくないが,「EverQuest Next」のようなビッグネームもスタート時点からFree-to-Playモデルを採用する予定だ。
 これまでMMORPG界の頂点に立ってきたBlizzard Entertainmentは,「Project Titan」と呼ばれる次期プロジェクトのゲームシステムとビジネスモデルについて,大幅な変更をするため,企画の練り直しをすると表明しており,Free-to-Playの流れはしばらく止まりそうもない。

■クラウドファンディング
Access Accepted第344回:クラウドファンディングの未来

 欧米のゲーム業界で「Kickstarterの年」などと形容される2012年,「クラウドファンディング」というコンセプトが一気に浸透した。
 一般から5〜20ドル程度の小口投資をインターネット経由で集め,大手パブリッシャに頼ることなくゲーム開発費を調達するというクラウドファンディングにおいて,最初に大きな成功を収めたのは,2012年2月にKickstarterに企画が登録されたDouble Fine Productionsの「Double Fine Adventures」(現「Broken Age」)。当初の目標額だった40万ドルを大きく超え,約337万ドル(約3億3000万円)という,PC向けのアドベンチャーゲームとしては十分な資金を獲得することになった。

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 その後も,inXile Entertainmentの「Wasteland 2」「Torment: Tides of Numenera」,Obsidian Entertainmentの「Project Eternity」といったRPGが次々と開発資金の調達に成功したほか,ピーター・モリニュー氏「Godus」リチャード・ギャリオット氏「Shroud of the Avatar: Forsaken Virtues」ジェーン・ジェンセン氏「Mobius」,そしてクリス・ロバーツ氏「Star Citizen」のように,業界の大者達がクラウドファンディングに参戦し,新規プロジェクトを立ち上げている。
 稲船敬二氏率いるComceptの「Mighty No.9」や,植松伸夫氏が参加する「Project Phoenix」など,日本のゲーム開発者がKickstarterを利用するケースも増えてきた。

 クラウドファンディングの意義は,ゲーム開発者がパブリッシャと契約し,開発資金を借りてゲームを作るという従来のサイクルを打破したことだ。パブリッシャからのプレッシャーが軽減される分,スケジュールや資金の管理,そして広報活動など一切をゲーム開発者側が行わなければならないという負担はあるが,ファンの共感を得たタイトルを開発するという,かつてないスタイルが生まれつつあるようだ。

■Steam
Access Accepted第398回:ValveはPCゲーム業界の救世主になるか

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 オンライン配信サービス「Steam」を使ってValveが行おうとしていることは,本当に面白い。MicrosoftがXboxに力を入れ,Appleが携帯端末やタブレットに未来を求める中,取り残されたPCゲームを救うのはValveだと感じるのは,筆者だけではないはずだ。
 最近の発表によれば,登録アカウントの総数は6500万に達しており,コンシューマ機に引けを取らない巨大なコミュニティ,あるいはプラットフォームを構築している。

 Steamは,サービス拡張においては常に挑戦者であり,既存のルールを破壊し続けてきた。2008年には,それまで最大でも50%オフ程度だったセールを一気に最大80%オフにまで引き下げ,売れなくなった古いPCゲームでも利益をあげられるという事実を証明してみせたし,最近は最大10人までの家族や友人とソフトをシェアできる「Steam Family Sharing」というサービスに挑戦している。

 2011年10月には自社の「Team Fortress 2」を実験台に,より簡単にファンメイドのMODにアクセスできる「Steam Workshop」を立ち上げ,現在では「The Elder Scrolls V: Skyrim」「Portal 2」「Sid Meier's Civilization V」など,64タイトルがサポートされるまでになった。
 2012年に入ると,インディーズゲームの販売の是非をファンが投票して決める「Steam Greenlight」や,ソフトの1つ1つに専用ページを用意した「Steam Community」,そして家庭のHDTVでPCゲームをプレイしやすくする「Steam Big Picture」などの新サービスを展開している。
 さらにLinuxをベースにした「SteamOS」,そしてこのSteamOSを搭載し,家庭用テレビに接続することを念頭に置いた「Steam Machine」の発表が行われている。Steam Machineは2014年初頭に発売される予定だが,果たしてValveの大胆な狙いはうまくいくのか。彼らの動きについては,今後も注視し続ける必要があるだろう。

著者紹介:奥谷海人
 4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。
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