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Access Accepted第307回:ベテランゲームジャーナリスト,奥谷海人の見たE3 2011
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印刷2011/06/20 15:45

業界動向

Access Accepted第307回:ベテランゲームジャーナリスト,奥谷海人の見たE3 2011


 欧米ゲーム業界最大のイベント,Electronic Entertainment Expoが終わった。「Wii U」「PlayStation Vita」という注目のハードウェアのほか,2011年末を彩る各社の看板タイトルや新作ソフトが紹介された。今回は,そんなE3の裏で見られた,欧米ゲーム業界のさまざまなトレンドを,E3の総括として紹介したい。


盛り上がったが,ちょっとこぢんまりとした印象に


 現地時間の2011年6月7日〜9日,カリフォルニア州ロサンゼルスにおいて,17回めとなるElectronic Entertainment Expo 2011(以下,E3 2011)が開催された。特集記事を見てもらえば分かるように,開催前からプラットフォームホルダーや主要パブリッシャによるカンファレンスやイベントなどが行われるので,実際は4日以上にわたるイベントとなる。

 やはりE3 2011の目玉は,任天堂が発表した次世代ゲーム機「Wii U」と,Sony Computer Entertainmentの新たな携帯ゲーム機「PlayStation Vita」だろう。大きめのスクリーンがついたコントローラと本体が連動するWii U,そして背面にタッチセンサのついたVitaのユニークさは,多くのゲーマーに「あの機能を使ったゲームは,どんなものになるんだろう?」という夢を与えたに違いない。
 新しいハードウェアの発表がなかったMicrosoftは,Kinectにリソースを集中していた。さすがに欧米を中心に1000万台以上を売ったヒット商品だけのことはあり,Microsoftブースには,昨年(2010年)のE3以上にさまざまなKinect対応ゲームが展示されていた。さらに,Electronic Artsの「Mass Effect 3」での音声認識や,Ubisoft Entertainmentの制作する「Tom Clancy's Ghost Recon: Future Soldiers」におけるGunsmithシステムなど,コアなタイトルが機能の一部としてKinectを利用するパターンも増えていくかもしれない。

昨年(2010年)より9000人ほど多い,約4万6800人の業界関係者が,世界108か国から集まったE3 2011。新作ハードの発表や,大作感のある各社のラインナップの公開でかなり盛り上がったが,内容的には物足りない印象もあった。2012年にロサンゼルス市との15年契約が終了するため,2013年以降のE3は,ロサンゼルス市以外で開催される可能性がある
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 新作タイトルに関しては,すでに制作発表が行われていたものが多く,「E3発表の新作タイトル」があまりなかったのが残念だ。
 任天堂3DS向けの「マリオカート (仮称)」「ルイージマンション2」。Microsoftの「Fable the Journey」といったプラットフォームホルダーが制作する専用タイトルに加え,サードパーティの発表で「サプライズ」といえそうなのは,Ubisoftの「Brothers in Arms: Furious 4」,Electronic Artsの「Over Strike」,そしてEidos Interactiveの「HITMAN ABSOLUTION」あたりで,そのほかのほとんどは,昨年のE3や,事前に制作が発表されていた作品だった。
 そういう意味で,今年のE3からは,盛り上がっていた割にはこぢんまりとした印象を受ける。各ゲームメーカーにとってE3は「2011年末〜2012年初めに発売するタイトルを,いかにプッシュするか」が重要なイベントであり,かつて見られたお祭り的な要素のない,非常に実際的なものになったと言えるだろう。

 今週は,そんなE3 2011で見えてきた欧米ゲーム業界のトレンドを紹介したい。

「E3 2011」特集ページ

E3 公式サイト



Go Big or Go Home


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 「Go Big or Go Home」は,アメリカのスポーツ界でよく使われる言い回しで,「派手にやらないなら,帰れ」という意味だ。2011年の欧米ゲーム業界は,まさにそういう雰囲気だった。前回の連載「E3 2011プレビュー 〜後編〜」でも書いたように,今年のショッピングシーズンは相当な激戦が予想される。Activision Blizzardの「Call of Duty: Modern Warfare 3」やElectronic Artsの「Battlefield 3」,Bethesda Softworksの「The Elder Scrolls V: Skyrim」やUbisoftの「Assassin's Creed: Revelations」,そしてWarner Bros. Entertainmentの「Batman: Arkham City」など,いずれも膨大な開発費をかけ,予想販売本数も数百万といった,各社のビッグプロジェクトが派手に激突することになる。

 その一方,各社がそうしたビッグタイトルに開発費や宣伝費を注ぎ込むため,そのほかのタイトルが減り,さらに傘下デベロッパのリストラや統合を進めるという状況にもなっている。上記のような新発表タイトルの少なさは,そのあたりにも理由を見い出せるだろう。
 Go Big or Go Homeには,「失敗を恐れてコソコソやるな」という意味もあるのだが,巨額の投資で産み出されたビッグタイトルが失敗すると,その影響は甚大だ。特定ソフトに一極集中する営業戦略は,失敗の許されない崖っぷちのやり方でもあるわけで,販売実績次第では,業界の再編も含む大きな動きを欧米ゲーム業に引き起こすかもしれない。


AppleやZyngaなくして本当に“ゲームの祭典”なのか?


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 E3は,任天堂,Sony Computer Entertainment,そしてMicrosoftというプラットフォームホルダーが一堂に会し,重大発表などを行うイベントとして非常に重要なのだが,ゲームプラットフォームとしてのiPhoneやiPadを成功させたAppleや,ソーシャルゲームの旗頭として君臨するFacebook,さらに,今やActivision Blizzardに次ぐ規模を誇るZyngaといったメーカーのプレゼンスがないままE3が続いていくことには疑問が残る。

 Appleは,E3 2011の会期中に同じロサンゼルスで自社イベント,Worldwide Developers Conference (WWDC)を開催しており,既存のゲーム業界に対抗しているのではないかという雰囲気さえある。筆者が会場で話したアメリカ人ジャーナリストも,同じような感想を持っていた。
 ゲーム開発とは直接には無関係のFacebookはともかく,Zyngaのようなメーカーなら,ゲーム市場やユーザーへのアピールという点でE3に参加しても利点は多いはずだ。しかし,なにぶんにもソーシャルゲームやモバイルゲームの開発サイクルは速く,6月の段階で年末や来年の新作を発表するのは無理があるという。いずれにしろ,オーソドックスなゲームを中心としたE3は急激に変化するゲーム市場に対応できておらず,このままではイベントの存在価値が大きく減ずるのは間違いないだろう。


ゲーム企業が直接,情報の発信源に


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 今や,E3開催前に行われるプレスカンファレンスがネットでライブ中継されるということが当たり前になった。日本に居ながらにして,ロサンゼルスで行われているイベントを見られるわけだ。
 こうした,大手メーカーが自分でハードやソフトの情報を発信するという状況が加速していることを,今年は例年以上に痛感した。プレスリリースや最新スクリーンショットを公開するといった程度ではなく,自ら制作した“エクスクルーシブインタビュー”などを発表されてしまうと,筆者のようなプレス側に属する人間は「ついに,この日が来たか」とさえ感じてしまう。

 MicrosoftやSony Computer Entertainment,そしてElectronic Artsのような大手メーカーは,どこかのメディアで編集長をしていたというジャーナリストを雇い,自社の特設サイトやブログを頻繁にアップデートさせている。さらに任天堂は,筆者ではセッティングさえ難しい重要人物とのインタビューを,CEOである岩田 聡氏自らが行い,ネットで公開している。
 こうしたメーカーの動きは,従来はメディアを通して伝えられていたさまざまな情報を,よりコントロールした形でエンドユーザーに直接,手渡そうとするものだ。下流では個人ブログがよりニッチな情報を伝え,上流ではメーカーがユーザーにストレートに働きかけるようになった現在,我々のようなゲームジャーナリズムの存在意義がより強く問われているようにも思われる。ネットの発達が紙媒体を飲み込んでしまったという事実を,我々も他山の石とすべきなのかもしれない。

著者紹介:奥谷海人
 本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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