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印刷2011/05/16 17:57

業界動向

Access Accepted第303回:果たしてソーシャルゲームは,バブルなのか?


 最近の欧米ゲーム/IT業界では,「ソーシャルゲームはバブルなのか」という話がよく交わされる。誰もが驚くほどの急速な成長をとげ,今やトラディショナルなゲームをしのぐほどに成長したソーシャルゲームだが,それに不信感を覚える業界関係者も少なくないのだ。今週は,ソーシャルゲームの巨人Zyngaをテーマに,最近の事情と今後の行方を占ってみよう。



アクティブユーザー数1億人という,驚異のゲーム


2010年12月にローンチされて以来,大ヒットとなっている「CityVille」。2011年4月時点で月間アクティブユーザー9600万人という,膨大な数のプレイヤーを獲得している。日本でも,ジンガジャパンの「まちつく!」がヒットしており,Zyngaの勢いはとどまるところを知らない
Access Accepted第303回:果たしてソーシャルゲームは,バブルなのか?
 Zyngaといえば,飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けるソーシャルゲームのメーカーとして,日本での知名度も急上昇中だ。同社は2007年,複数のベンチャーキャピタルから2900万ドル(約23億4000万円)の投資を受けたマーク・ピンカス(Mark Pincus)氏によって,サンフランシスコに設立された新しい企業だ。設立からわずか4年で,北米の大手ゲームメーカーであるElectronic Artsを企業価値で追い越し,現在の資産評価額は約100億ドル(約8071億円)に達するとされている。
 日本では2010年,ソフトバンクとの合弁でジンガジャパンを設立したが,日本以外でも,インド,中国,ドイツなどでの展開を発表し,その地歩を固めつつある。成長のテンポは2010年も鈍らず,昨年だけで従業員数が倍近い800人増え,現在の総数は1500人になった。

 Zyngaのゲームとして有名なのは,やはり同社の看板である「Ville」シリーズである,中でも最新作にあたる「CityVille」は,2010年12月にローンチされて以来,わずか1か月で1600万人のアクティブユーザーを獲得。41日目には実に1億MAU(月間アクティブユーザー)を得るという記録を打ち立てた。
 Facebookのユーザーは世界総計で6億人といわれているので,6人に1人がCityVilleをプレイするため,毎日のようにアクセスしていることになる。

 もちろん,ZyngaにはCityVilleだけでなく,「FarmVille」(月間アクティブユーザー数:5100万人)や「Texas HoldEm Porker」(同:3800万人)などがあり,Facebook向けゲームの人気TOP 5に3つの作品を並べている。
 また,2010年10月にiOS向けの「We Farm」を開発したテキサス州ダラスのBonfire Studios(現Zynga Dallas)を買収し,また同年12月にはスマートフォン向けタイトルのデベロッパであるNewtoy(現Zynga with Friends)を傘下に入れるなど,Facebook向けではないゲーム市場に乗り出していることも興味深い。

 さらに,この5月に制作が発表され,注目を集めているのが「GagaVille」だ。これは,奇抜なファッションで知られる世界的なシンガー,レディ・ガガとZyngaがタッグを組んだもので,FarmVilleの“ネイバーフッド”というアドオンとして組み込まれる。
 北米時間の5月17日にローンチされるGagaVilleには,ユニコーンや水晶など,いかにもレディ・ガガらしいアイテムが散りばめられた独特な世界になっており,さらに25ドル分のZyngaゲームカードを購入すると,5月22日にリリースされる予定のニューアルバム,「Born This Way」のダウンロードができたり,コンサートチケットの抽選券が獲得できたりするタイアップも行われている。今後,このパターンでさまざまなビジネスが展開できそうだ。


欧米の大手ゲーム企業は静観


人気スター,レディ・ガガとのタイアップによって生まれた「GagaVille」だが,実はレディ・ガガとZyngaは東日本大震災の復興支援に揃って協力を申し出た仲であり,当時から何かのプロジェクトが進行しているというウワサがあった。Zyngaの新たなビジネスモデルの開拓となるだろうか
Access Accepted第303回:果たしてソーシャルゲームは,バブルなのか?
 もっとも,急激な成長を続けるZyngaのソーシャルゲーム,さらにはFacebookなどのソーシャルネットワークサービスそのものに不安を覚える人達もいる。あまりにも急速に資金やユーザーを集めていることや,数字ばかりが先行する発表が多いことから,「ソーシャルゲームは,バブルではないのか」というわけだ。

 「メタルギアソリッド ザ・ツインスネークス」「Too Human」などで知られるカナダのゲームデベロッパ,Silicon Knightsの創設者であるデニス・ディアック(Denis Dyack)氏は,アメリカのオンラインゲーム情報サイトIndustry Gamesのインタビューに答え,「昔からのゲーム市場が,ソーシャルゲームの成長によるダメージを受けているのは事実ですが,今後,ソーシャルゲームがどのように成長していくのかは,誰にも予想できません。私には,このトレンドがやがて大きなバブルとして破裂してしまうように思えます」と警告している。

 ディアック氏のコメントにもあるように,これまで既存のゲーム産業に流れていた資金は現在,その多くがソーシャルゲームに流れており,トラディショナルなメーカーが資金不足に陥っているのは事実だ。上に,Zyngaの資産評価額がElectronic Artsのそれを超えたと書いたが,そのElectronic Artsは,過去3年間に約22億ドル(約1776億円)も資産価値を下げている。

 興味深いことに,25%の雇用者削減を含む大がかりなリストラを実施してソーシャルゲームへの多額の投資を行っているElectronic Artsを除いて,欧米の大手のゲーム企業は静観の構えを見せている。Activision BlizzardやRockstar Games,Ubisoft Entertainment,そしてTHQなどは,現在もソーシャルゲームからある程度の距離を置いているし,ソーシャルゲームに対するスタンスを発表することもあまりない。
 2K GamesがFacebook向けの「Sid Meier's Civilization」をサービスしているが,どちらかといえばテスト的な印象を受ける。また,Activisionは「業界のリーダーが,ソーシャルゲーム市場に参入しないのはおかしい」という批判を受けたことがあるが,それでも静観の立場を崩しておらず,それなりの考えを持っているのは間違いない。


今後の成長はZyngaにとっても課題


資産評価額が約8000億円というZyngaだが,今後はどのように成長していくのかが注目されている。ちなみに,Zyngaの社名とロゴの犬は,同社の創設者であるピンカス氏が,昔飼っていたアメリカン・ピットブルの名前と雄姿であるそうだ
Access Accepted第303回:果たしてソーシャルゲームは,バブルなのか?
 Zyngaの資産評価額が8000億円を超えるとはいえ,業界関係者の分析によれば,2010年の売り上げは約8億5000万ドル(約688億円)ほどだという。月に60億円近いのだから,ほかのゲームメーカーにしてみればうらやましい限りだろうが,Zyngaの主力であるFacebook市場では,Facebookが売り上げの30%を持っていくうえ,人件費や広告費,運営費などで50%ほどが差し引かれることを考えると,実際には月に10億円から15億円ほどと見積もられている。そのため,事業を拡大させるにはベンチャーキャピタルなどからの追加投資に頼らざるを得ず,それが本当に「100億ドルの資産価値」なのか,あるいは投資マネーの爆弾投下を受けるほどなのか,というのがバブル派の言い分になるだろう。

 しかし,Zyngaのようなソーシャルゲームメーカー,そして現行のソーシャル関連メディアが,2001年に崩壊した“インターネット・バブル”と異なるのは,運営者の多くが10年前の失敗に学び,「いかに利益を出すか」に苦心していることだ。ユーザーの数といった数字だけにとらわれ,当たり前のように無料サービスが行われた頃と違い,ZyngaやFacebookなどは実際の利益を生み出している。このことから,ソーシャルゲームがバブルであるという意見を否定する向きも少なくはなく,ベンチャーキャピタルの投資も続けられているのだ。

 Zyngaのビジネスモデルは,ゲームそのものは無料もしくは安価に売り,例えばCityVilleなら建築費用,FarmVilleなら植物の種といった形でプレイヤーからわずかずつ徴収していくアイテム課金方式だ。プレイヤーが払う1ドル,2ドルの積み重ねが,月に約60億円に達することは驚きだが,そのため,プレイヤー数が増え続けなければ成長はとまってしまう。
 また,CityVilleのサービス開始後にFarmVilleのプレイヤー数が急激に減少したという事実もあり,新作が出るたびに同じプレイヤーが集団(ものすごい数ではあるが)で新作に移行しているだけという状況も見え隠れする。それゆえ,GagaVilleのようなテコ入れ策が必要になるのだろう。

 Zyngaがソーシャルゲームバブルを意識していようといまいと,成長を続けていくのはすべての企業に課せられた使命だ。Facebook以外のソーシャルネットワークサービスへの参入や,モバイルゲームへの進出,そしてアーティストとのタイアップなど,さまざまな方向性を模索する同社は,今後しばらく北米のゲーム産業の台風の目であり続けるだろう。我々としても,今後さらに注目せざるを得ない。

著者紹介:奥谷海人
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,北米ゲーム業界に知り合いも多い。この「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年に連載が開始された,4Gamerで最も長く続く連載だ。バックナンバーを読むと,移り変わりの激しい欧米ゲーム業界の現状が良く理解できるはず。
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