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印刷2010/05/17 13:54

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第263回:ゲームのオープンソース化時代到来

奥谷海人のAccess Accepted

 「ゲームのソースコードを公開する」と聞けば,ほとんどのゲーム開発者は目玉が飛び出すほどビックリするだろう。だが,これは今,欧米で注目されている一つのムーブメントだ。今週は,「World of Goo」で知られる2D Boyなどのインディーズゲームメーカーや,オープンソース化されることになったMMORPGの話などをお伝えしたい。

第263回:ゲームのオープンソース化時代到来

 

6本のゲームを,自分が決めた値段で買おう
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5月11日時点のデータによると,売り上げの合計は127万ドルで,購入者数は14万人ほど。つまり一人当たり平均9ドルほどで「The Humble Indie Bundle」を購入したことになる。購入者の半分以上を占めるWindowsユーザーの平均購入価格は,約8.05ドルと最も低く,全体の25%ほどを占めるLinuxユーザーの平均は14.53ドルだった。売り上げのうち,約40万ドルほどがチャリティに贈られる予定になっている

 アートや音楽,映像などの分野における新しい動きは,しばしば“インディーズ”から始まる。もちろん,ゲームも例外ではない。欧米のインディーズ系ゲーム開発者の活発な動きは,本連載でも何度か書いてきたので,読者の皆さんもよくご存じだろう。
 大手企業や投資家に縛られることなく自由にゲームを制作し,かつ開発資金も回収できる場としてインディーズゲーム市場が見直され,活気を帯びているのだ。
 この状況,サロンに受け入れられなかったフランスの若者達が,浮世絵などの影響を受けた従来とは異なる作品で画壇に反旗を翻した,19世紀の「印象派」の登場とダブって見える,というと言い過ぎだろうか。

 ともあれ,そうした独立系メーカーの中で最も過激なのが,「World of Goo」(グーの惑星)で知られる2D Boyだ。本連載の第237回「ゲームの値段はあなたが決めてください?」でもお伝えしたように,大企業を辞めて2D Boyを設立し,World of Gooを空前のヒット作に仕上げた二人は,ゲーム制作手法や流通形態だけでなく,「ゲームの値段の付け方」においてもさまざまな実験を繰り返してきた。
 そんな2D Boyを筆頭にいくつかの独立系メーカーが集まり,また面白いことをしたようだ。それは,「ゲームの値段はあなたが決めてください?」の拡大版ともいえるもので,World of Gooを含むインディーゲーム6本がバンドルされたパックを,プレイヤー自身が付けた値段で購入できるというキャンペーンが行われたのだ。

 このバンドルパック「The Humble Indie Bundle」に含まれていたのは,World of Gooのほかに,2007年のIndependent Game Festivalで大賞を受賞したBit Blotの「Aquaria」,2005年に同大賞を獲得したChronic Logicの「Gish」,Wolfire Gamesが制作したアドベンチャー「Lugaru HD」, Fictional Gamesが手がけた一人称型のホラーアドベンチャー「Penumbra Overture」,そして独特なアートスタイルに定評のあるAnimata Designの「Samorost 2」と,なかなか豪華なセット。バラバラに買うと合計80ドル(約7400円)ほどになるが,それを一まとめにしたパックを,消費者が自分が付けた値段で購入できたのである。

 このキャンペーンには,二つの意図があったようで,一つはチャリティ。売り上げの約30%が,長期入院している子供達のためにオモチャを配布する,Child's Play Charityと,ゲームにおける言論,表現,利用の自由を求めるElectronic Frontier Foundationに寄付されることになっていたのだ。

 そして二つめが,そのElectronic Frontier Foundationが推し進める, DRMフリー運動を啓蒙するというもの。バンドルされたタイトルには,これといったDRM(Digital Rights Management=不正コピー防止機構)が使用されていなかった。2D Boyらの訴えは「DRMはありませんし,価格もあなた自身が決めたはず。だから,違法コピーをしたりネットに流したりしないでね」ということだったのだ。
 しかも,今回のキャンペーンを期に上記の6作品のうち,World of GooとSamorost 2を除く4作品がオープンソース化したというのだから,驚かずにはいられない。

 

ゲームのソースコードを公開してしまう,新たなムーブメント
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Linuxばかりでなく,WindowsやMac OSでもオープンソース化されることとなったファンタジーMMORPG「Ryzom」。プログラムの知識があれば,「Ryzomの設計図」からさまざまなノウハウを得ることが可能になる。このオープンソース化により,これまでMMORPG制作に悩んでいたゲーム開発者や,実力や経験に乏しい学生達が,さまざまなゲームを生み出すことになるかもしれない

 厳密にはさまざまな定義/ライセンス形態があるが,簡単にいうと「オープンソース」とは,ソフトウェアの設計図であるソースコードを一般に公開することを指す。公開されたソースコードは,プログラムの知識がある人なら誰でも改造したり再利用したりできるのだ。一応,作者の権利は守られるべきだとするルールはあるが,公開されたコードをほかのソフトウェアに使ったり,再配布したりすることは自由に行える。
 したがって,ほとんどのソフトウェアメーカーはソースコードを極秘扱いにしており,ごく限られた相手か,有料でソースコードを公開することが普通なのだ。

 The Humble Indie Bundleにパックされたタイトルには,PC版とMac版のほかにLinux版が存在するが,公開されたのは,そのうちのLinux版のタイトル4本のソースコードだ。ちなみに,Linux自体もまたオープンソースのOSとして有名で,誰でもソースコードを入手できる。

 こういったオープンソース化への動きを,ソフトウェア業界では「フリー・ソフトウェア運動」と呼び,Free Software Foundationのような団体が積極的にキャンペーンを行っている。ソースコードをフリー化することによって,多くの人に有効に利用してもらうことや,あるいは誰でも研究ができることが可能になる。こうした動きによって,ソフトウェアに関する人類の知識を高めていくことができるという信条に基づくものだ。
 ソースコードの公開によって企業が利益を得ることはほとんどなく,10年以上 経った古いソフトを公開する程度。そのため,この運動を推進しているのは学者や研究者,もしくはフリープログラマーなどのインディーズ系ゲーム開発者が中心となっている。

 とはいえ,ゲーム開発の現場でもオープンソースのゲームエンジンやミドルウェア,プログラミング用ツールなどが増えてきており,World of Gooがそうだったように,フリーのツールだけでゲームが開発できる環境が整いつつある。
 公開されたソースコードを参考にゲームを作り,成功するインディーズゲームの開発者が登場すれば,やがてオープンソースが大きなムーブメントになっていく可能性もありそうだ。

 ソースコードの公開に関する話を,もう一つしよう。フランスで2004年にローンチされ,ヨーロッパやアメリカで運営が続けられてきた無料MMORPG,「Ryzom」がオープンソースになるという発表が先日行われた。
 もともと「The Saga of Ryzom」というタイトルで運営されていたRyzomは,経営難から2006年にデベロッパであるNevraxの手を離れ,いくつかの運営会社を渡り歩いたのち,現在はキプロスをベースにする,Winch Gateという企業が運営している。
 Ryzomのゲームエンジンである「NeL」がオープンソースになることによって,MMORPGの制作を考えているメーカーや,学生などが恩恵を受けるだろう。さらに,多くの有志の手によって改良を加えられていくことで,Ryzom自身もさらに発展していくかもしれない。
 2D BoyやWinch Gateの試みなど,独立系ゲームメーカーにとってオープンソースは新たな展開への可能性を秘めているムーブメントなのだ。

※2010年5月18日16:00頃 記事中の誤った記載を修正しました

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。サンフランシスコ在住の4Gamer海外特派員。ゲームジャーナリストとして長いキャリアを持ち,多様な視点から欧米ゲーム業界をウォッチし続けている。2004年に開始された本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,4Gamerで最も長く続く連載だ。
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