バトルフィールド ベトナム

Text by 松本隆一
24th Mar. 2004

■大人気ミリタリー系マルチプレイアクションに続編 
    今度の戦場はベトナムだ!

死ぬとこのように一瞬にして墓が建つ。ちょっと気が早すぎるような気がしないでもないが,ま,分かりやすいといえば分かりやすい

 日本を含め,世界中でスマッシュヒットしたFPS,「バトルフィールド1942」(以下,BF1942)に待望の続編が登場した。それが「バトルフィールド ベトナム」(以下,BFV)だ。かなり勘の鈍い人でもすぐ分かると思うが,今度の戦場はなんとベトナムだ!
 これまでBF1942には「ロード・トゥ・ローマ」「シークレット・ウェポン」という2本の拡張パックが発売されているが,今度のBFVは完全な新作。BF1942本体がなくても起動し,またBF1942との互換性などはない。開発はこれまで同様,DICEことデジタル・イリュージョンで,発売も同じくエレクトロニック・アーツ。
 「BF1942の続編としてベトナム戦争をモチーフにしたソフトを開発中」というDICEからのアナウンスは,実は意外に以前からされていて,いっとき方々のフォーラムなどでも話題が盛り上がっていた。しかしその後は拡張パックのほうに興味が集まり,BFVはあまり注目されなくなったように記憶している。それが,ようやく形が見えてきた最近になって,再びファンの間で期待が高まり,ついにこの2004年3月に発売となったわけだ。まあ,あまり前から真面目に予告しててもダメってことですね,みんな覚えてられないから。

 ご存知のように,BFシリーズはマルチプレイに特化したFPSだ。一つの戦場と各種の武器,兵器が与えられ,ネットワークを介して敵味方に分かれたプレイヤーがしのぎを削る。倒されても,すぐにリスポーンしてゲームを続けれられるので,兵士の総数は参加プレイヤーの延べ人数,つまり何百人もいる大戦争のように錯覚されるというわけだ。勝敗を決める方法はいくつかあるが,基本的に相手側のチケットと呼ばれる数字を減らし,ゼロにしたほうが勝ちだ。ネット上のサバイバルゲームと表現されることが多いが,まったくそのとおり。
 もちろん,シングルプレイも用意されているが,どちらかといえば戦場や兵器に習熟するための練習モードというムードが強い。「オレはBFのシングルモードではめっぽう強いんだぜ」などと自慢しても,あまり感心してもらえないと思う。とはいえ,今回のBFVではシングルモードにもいくつか見直しがはかられている。そういう点も含め,さっそくプレイしてみよう。レッツ,ロックンロール!(*1)

(*1)ベトナム戦争のころ,M16のフルオート一斉射撃を,ロックンロール! と呼んだ。最新型のM16はフルオート機能が省かれて3点バーストしかできなくなっているから,ロックンロールしても意気が上がらないことおびただしいんじゃないかと。

陣営は"アメリカ"か"NVA"のみとはいえ,マップごとに部隊が異なるというのが今回の特徴。アメリカ軍の代わりに南ベトナム軍が出るマップもありますな 輸送ヘリは,戦車やボートをこんな感じで吊り上げて空輸できる。はるか上空から落とすと木っ端微塵なので,そっと降ろしてあげよう F4ファントムは赤外線追尾のミサイルを搭載。これなら多少ヘタっぴでも空戦が可能だ。ただし敵味方の識別はしてくれないので注意

■アメリカ一敗地にまみれるベトナム戦争をリアルに再現

今回の兵科は4種類で,各兵科に2種類の装備が用意されている。衛生兵はなし。マップも恐ろしく入り組んだところが多い
 ベトナム戦争とは,1950年代末から1975年のサイゴン陥落まで続いた戦争で,南北ベトナムの統一を目指す北ベトナム軍(NVA)や南ベトナム解放戦線(いわゆるベトコン)と,アメリカを主体にした多国籍軍(とはいえ,ほとんどはアメリカ軍),および南ベトナム政府軍の間で戦われた。典型的な非対称型戦争で,ジェット機やヘリコプターなど近代的な装備を誇るアメリカ軍と,そうした装備を欠いたNVAとでは勝敗は明らかだと当初は思われていた。だがNVAは正面戦闘を避けて小規模なゲリラ戦に徹したため,戦争は長引き,またアメリカ国内でも反戦世論が高まったため,最終的にアメリカ軍は全面撤退。NVAはその後,停戦協定を破って南ベトナムに進軍,全土を掌握した。とまぁ,そんな感じの戦争だ。これを読んでいる人の多くは違うと思うが,私はリアルタイムでベトナム戦争を見たクチ。ニュースで厳しい戦場の様子が流れるたび,「うひゃー」と思ったものだが,そのベトナム戦争がこうしてゲームになって,その記事を書くことになるなんて,なんだか複雑な心境。

 ともあれ,ベトナム戦争といえばジャングルというイメージが強いが,実際には市街地や丈の短い草の生い茂る高原地帯,さらにはメコンデルタと呼ばれる湿地帯など,戦場は意外にバラエティに富んでいる。用意されているマップは14枚で,いずれもベトナム戦争の激戦地や有名な作戦が選ばれている。マップの広さは,ものにもよるが,全体的に小ぶりな印象だ。BF1942にあった海空戦がなくなり,徒歩による地上戦が主体となるので,そうなったのだろう。そのぶん高低差が複雑だったり,建物内部が作り込んであったりと,無駄な空間が少なくなり密度が濃くなっていると思う。


個人技が問われる市街戦。通りの角からいつ敵が飛び出して来るかわからない緊張感が魅力だ。一瞬の判断が生死を分ける 植物の効果が大変いいベトナム具合である。兵士は伏せれば草の陰に隠れられるし,車両は木々のおかげで航空機から見つからないのだ

■ヒューイ,ファントム,シェリダンなど,新兵器を惜しみなく投入

F-4ファントム戦闘機はもちろん登場。ベトナムといえばファントム,という感じさえする。ナパームや枯葉剤をまき散らしたので,悪名も高い

 しかし,マップの狭さは飛行機乗りには大変かも。ファントムやミグなどのジェット戦闘機が出てくるが,前作のレシプロ機にくらべて速度が速くなっているのにマップが小さめだから,より高度な旋回テクニックが必要になる。でないとすぐに「おまえは戦場から逃げようとしている」といちゃもんをつけられて,飛行機に乗っているのになぜか銃殺されてしまうのだ。また,木や草が邪魔で敵兵を上空から直接視認できないケースも多く,地上攻撃も技術が必要。そのため戦闘機の役割は,地上攻撃よりもエアカバー,つまり敵戦闘機やヘリコプターの撃墜がメインになりそうだ。
 事実,マルチプレイでは「フレーミング・ダーツ作戦」などには飛び派が集中するようで,戦闘そっちのけで飛行場に行列作って負けてるのを何度も見かけました。

 とはいえF4ファントムは,これまたベトナム戦争の代名詞の一つとなったナパーム弾(*2)を投下可能で,熟練パイロットの手にかかると,地上軍に対する重大な脅威となる。しかも,アメリカ軍だけが航空機を使えるというマップもあり(敵飛行場を占領してしまえばその限りではないが),NVAでプレイすると貧しい軍隊の悲哀を火だるまになって感じることができ,これはこれで歴史的意義が高い,かもしれない。

(*2)内部に粘性の高いゼリー状の燃料が入っていて,爆発するとあたり一面を燃やし尽くすという非人道的兵器。朝鮮戦争でも使われたが,大規模に使われたのはベトナム戦争において。映画「地獄の黙示録」で,ちょっとキれてるキルゴア大佐が「朝,ナパームの香りを嗅ぐのが好きだ。ナパームの香りは勝利の香りだ」と,ふざけたことをおっしゃっていた。

もちろん戦闘機や攻撃機は今回も大活躍。しかしジェット機なものだから,敵機よりも戦闘区域離脱のほうが気になっちゃって神経を使うかも 初心者でも空に地上にそこそこ攻撃できるF4ファントムも魅力だが,上級者はMig-21フィッシュベットの空中格闘に酔いしれたいところ

なぜか公式サイトには載っていないが,ちゃんと登場するベルAH-1コブラ。戦闘ヘリコプターというジャンルの走りといえる機体

 しかし,今回の大メダマは,やはりヘリコプターだろう。ベトナムは,ヘリコプターが大量に導入された初の戦争であるだけって,ゲームにも各種ヘリコプターが登場してくる。ヘリならマップの広さは問題ないし,対地攻撃もお手のもの。なによりあの独特なローター音がベトナム戦争の雰囲気にピッタリだ。
 さっそく私も飛ばしてみたが操縦が大変難しく,チームの皆さんには申し訳ないことに,上がった途端まっ逆さまに味方の上に墜落し,直後に私はサーバーから逃げ出した。通常のフライトシムと違い「機種下げ」と「加速」が別だから,慣れないとなかなか飛ばせないのだ。とはいえ,発売直後にも関わらず,戦場には神業のような技量を見せるヘリパイロットが続出し,いつもながらキミたちの集中力と環境適応能力にはあきれて物も言えないよ! と叫びたくもなる。今回,神レベルのプレイヤーを目指すならヘリは欠かせないアイテムになるだろう。
 またヘリコプターには,戦車や装甲車をスリングして運ぶという能力もある。スリングされた車両には人も乗り込め,しかも,そこから発砲することも可能。見ているぶんにはたいそう滑稽だが,効果のほどはさだかではない。

 それ以外にもPBRと呼ばれる河川パトロール用の舟艇や,ベトナム戦場でその欠陥が明らかになったシェリダン戦車,実物は機関銃でも穴のあく薄っぺら装甲の旧ソ連製PT76軽戦車,さらにはマニアが随喜の涙を流すM110,そしてスクーターやZSU対空自走砲など,もしかしたらFPS史上初の'50〜'60年代兵器が次々に登場する。それだけでも史料的価値が高い,と思うのは私だけかもしれないが,ともかく一見の価値ありなんですよ。

ソ連製ジープUAZ-469がNVA側の足として登場する。一人で走るとすぐにやられるので,必ず後部機銃手を乗せること。とはいえ,急いでいるときはそうも言ってられないか 8インチ榴弾砲を乗せた自走砲M110。砲員,操縦手ともむき出しなので,近づきすぎると歩兵にもやられる。砲撃支援に対応し,見えない場所から砲弾を送り込むのが仕事だ NVA側の主力戦闘機がこのミグ17。BFVのジェット機はどれも飛ばしやすいが,なかでもこの機体は小回りが利き,扱いやすい設定

 さらに今回,比較的グッとくるのは,もっぱらNVA側に数多く用意された小道具類だろう。ベトナム戦争といえばブービートラップ。狙撃兵はライフルのほかに,対人地雷か鉄びしを地面にまくことができる。鉄びし? まるで忍者だ。また,工兵が地雷や迫撃砲などを扱えるのはいいとして,地面に竹串を刺してトラップにすることができるのは,すごいんだか変なんだか。やはり歴史的事実として,竹串の先端には人糞が塗ってあるのだろう。
 マップによっては,トゲトゲのついた丸太が上から転がってくる,といったトラップがあらかじめ用意されているものもあり,制作側もかなり楽しんでいる感じがする。もともと「シークレット・ウェポン」のジェットパックのように「事実はともかく,面白いからやっちゃえ」という傾向が強い会社なのではなかろうか。
 とはいえ,戦略的に見てこれらのトラップにどの程度効果があるのかはイマイチ不明。マップ据え置きのものは,いったんバレれば近寄らないだけの話だし,鉄びしや竹串は,ひっかかると大変悔しいが,どう考えても銃で撃ち合ったほうが効率的という説もある。だいたい,トラップを仕掛け,ワクワクしながら待って,誰かがひっかかってワーイ,というぬるい戦場はあんまりないと思う(たいていその前に見つかってやられる)。だが,このへんはマップの研究が進むにつれて,効果的なトラップの使用方が確立されていくかもしれない。

ミグ21はミグ17より高速で武装も強力。ファントムとも十分に渡り合える。グリーンを主体にした迷彩塗装が粋だ PBRと呼ばれる河川パトロールボート。前方に50口径機関銃を装備しているが,これも兵士はむき出しなので,うっかりしていると歩兵や狙撃手にやられてしまう これは旧ソ連の対空自走砲ZSU-57-2。砲塔部分はオープントップで,2連装の57ミリ対空砲をT-54/55を改造した車体に乗せている。対空能力はなかなかのもの

 例外はトンネル掘りだ。ベトナム戦争といえばトンネル。トンネルの使えるマップでは,シャベルを持ったNVAの工兵が,トンネルの出口を,えーとなんちゅうか,持ち歩けるのである。つまりリスポーンポイントの移動が可能となっていて,これは派手さには欠けるもの,これはゲーム的にきわめて戦略的価値が大きい。意外な場所から敵の大軍が出現し,「しまった,どこでもドアだ!」ということが一度や二度ではないのだ。こうした小道具関係で近代兵器の足りないNVAのハンディを補っているのだと思うが,かえってベトコン有利になっているような気もする。というか,はっきりいってNVA,強い。

 ちなみに,今回も兵士らは鉄条網に弱く,バラ線ごときにひっかかって「おぅ!」とダメージを受ける。また,やられたときは「あー!」と,なぜか威勢が良くなった。

A-7コルセア攻撃機も登場する。本来は空母から発着するのだが,ゲーム中では地上から。機影がミグに似ていて誤射してしまいそうなのが難点。それは私だけ? 全アルミ製のシェリダン戦車。はっきりいって欠陥車で,現在逐次退役中。実車は152ミリ榴弾のほかに,シレーラと呼ばれる対戦車ミサイルを発射する。これも実際に使ってみたら欠陥だらけのミサイルでした 嘘も隠しもないスクーター。無武装で,走ることとクラクションを鳴らす以外にたいしたことはできない

■ゲーム性に大きな変化はないが,
    各種のモデファイがプレイ性を高める

BFVでは大海原での艦隊戦は楽しめないが,船やボートの重要度が低まったわけではない。タンゴ輸送船はヘリポートも搭載している
 マップモードは,従来どおりコンクエスト,アサルト,ヘッドオン,そしてミッションが用意されている。マルチプレイのモードは,人気のコンクエストとコープが残り,キャプチャー・ザ・フラッグとデスマッチが廃止された。マルチプレイのサーバーを見ても,この二つはほとんどないし(「シークレット・ウェポン」専用のミッションモードを遊べるサーバーもそんなに多くない),これは妥当な選択だろう。
 新たに加えられたマルチプレイモードとしてエボリューションがある。これは「イア・ドラン渓谷」と「アルバニー着陸地点」という具合に,歴史的に関連する二つのマップを連続して戦うもので,前のマップの戦果が次のマップに反映する。前のマップで勝つと,次のマップのチケットに前回分が加えられ,次も勝ちやすくなるのだ。ま,それだけのことで,前マップで負けた側が有利になるほうが面白いような気もしないでもない。
 また,新たに加えられたカスタムモードによって,かなり細かくサーバーの設定ができるようになった。普通はアメリカ軍対NVAで戦うわけだが,それをアメリカ軍対アメリカ軍特殊部隊にして兵器の性能差をなくす,などどいった設定が可能になったのだ。まだそんなの見たことないけど,もしかするとサーバーによっては「NVA対NVAで武器はナイフだけ」なんて地味な戦場もあるかもしれない。やりたくないなー。


今回は狙撃兵ではなく突撃兵が双眼鏡を携帯しているので,砲兵の活躍の場もより増えるはず……。あいかわらず砲撃要請がないと,とてもさびしい
 ゲーム性に関しては,前作とほとんど同じといっていいだろう。戦い方や戦略に大きな違いはなく,その点が不満という意見も見られる。BF1942がかなり完成されたゲームシステムだったということで,こういう判断になったのだろうが,それでもいくつかのルール変更や改良が行なわれている。たとえば陣地の占領をするとき,完了するまでの残り時間の表示が出るようになったが,これは私のようにカップ麺の時間もうっかり計り忘れがちな人間にとっては大助かりだ。また,一人でフラッグに取りつくより,複数で行なったほうが効率が良くなった。一人で40秒かかるところを,二人で行なえば20秒で済む,といった具合だ。誰かが敵地のフラッグに接近しているとき,それを助けに駆けつけて,そこはかとない戦友意識が芽生えたりするので楽しいが,5人ぐらいで黙って旗のまわりに伏せているのは妙な儀式みたいで,なんだか。
 さらに,シングルプレイも楽しめるよう,AIに改善が加えられたとのことだ。だが実際に戦ってみたところ,個人的には,さほど劇的な変化は感じられなかった。相変わらずバイクを見ると乗りたがるし,いったん乗ったら,激しく撃たれても死ぬまで乗ってるし。戦略眼の乏しさも,だいたい同程度。「あんたたちいったい何を考えているの?」という気も。そのかわり命令系が整理され(というか機能するようになり),例えばAIに陣地の確保を命じたり,そこらへんの兵隊を引き連れて突撃できたりするようになった。それだけプレイヤーがイニシアチブを取りやすくなり,今までのあなた任せよりは,ゲーム性が高まっている。
 だが,すでに書いたように,シングルプレイはあくまでマルチのための練習モードというふうに考えたほうがよさそうだ。とりあえず,BF1942未経験の人でもすんなり本作を楽しめるよう,シングルプレイはあってしかるべきモードである。だから未経験者も,なんにも恐がることはありません。

大変分かりづらいだろうが,ファントムが投下するナパームの威力はすさまじい 勝負はもう決まったし敵の陣地は遠いしで,占領地で遊ぶ人たち。自分で投げた手榴弾でどれだけ高く吹き飛ばされるかを競っている。おいおい。戦場で見かけた心温まる風景

■改良された描画エンジンが,
    ベトナムの熱帯雨林を妖しく美しく見せる

アメリカ兵の皆さん。第二次世界大戦では見られなかった黒人のかたもいらっしゃいます。筋肉の隆起が,お好きな人にはたまらない感じ

 BF1942は,そのグラフィックスの美しさでも定評があったが(そのかわり,PCに対する要求がいささか高いが),BFVは前作に使われたその独自のグラフィックエンジンを改良したものが使用されている。おそらく樹木の生い茂るジャングルを表現する必要があったためだろうが,たしかに,鬱蒼とした夜のジャングルなどはいい雰囲気だし,広い戦場をストレスなく一望できるのは優れもの。草木の表現もいいし,霞のかかったような遠景も,熱帯の温気を感じさせる。最新のFPSに見られるような光と影のリアルな表現と比べれば,確かにややシンプルな感じはするが,美しい部類のグラフィックスである。
 視界の狭いジャングルの中では不期遭遇戦が起きやすく,緊張感は高い。丈の高い草の陰に隠れて匍匐前進し,こちらに気づかない敵を倒すのはスリル満点だし,どこから狙撃手の弾が飛んでくるかわからない市街地での戦いは,各所で煙をあげる戦車や車両の残骸がムードを高めてくれる。爆発のエフェクトなどもさらにリアルになったし,水面の表現も改善され,東南アジアの戦場にいる雰囲気がさらに高まった。

 というわけで,期待の続編だったが,予想したとおりの出来で安心だ。個人的に何より嬉しいのは,たぶんこれが「ベトコン兵(*3)になれるゲーム」だというところである。上半身ほぼ裸,しかも裸足でヘルメットの代わりに編み傘をかぶった兵士になれるなんて,ゲームならではじゃん。しかも音声もベトナム語(と思うが)でムードも抜群。これでニワトリとかブタとか連れて歩けて,自転車に乗れて,アオザイを着た女兵士なんかいればもっといいのに,とつい高望みしてしまう。

(*3)南ベトナム解放戦線を指す「ベトコン」とは「ベトナム共産党(ベトナムコミュニストパーティー)」に由来するが,もともと南ベトナムには共産党がなかったから,言葉として正確ではなく,やや蔑称に属する。あまり連呼すると眉をひそめる人もいるので注意。

対戦終了後に表示される最優秀兵士。基本的に,敵を殺した数によるようだが,占領回数とかも考慮してほしい。なんかの間違いで一度ここに名前が出てしまうと,もうやめられない 島と島が細い橋でつながっているような戦場では,その橋が激戦地になりがち。うっかり飛び出すとたいてい撃ち抜かれる


■BGMもクール。
    最近多いベトナムものゲームのトップランクは確実

 結論として,やはりこれは必買リストの上位に位置するゲームである。すでに多くのサーバーが立ち上がって対戦相手に不足はないし,実際にプレイしてみると,ついついやめられなくなる面白さがある。クラシックや当時の音楽をライセンスしてBGMに使っているのも高得点だ。「ワルキューレの騎行」を鳴り響かせながらヘリコプター部隊が進撃してくるのを見ると,さすがの私もゾクゾクしてくる。
 がちがちのシミュレーションというわけではないので,ベトナム戦争のことを知らなくても気軽に楽しめるし,簡単操作の割には戦略の奥が深く,しかも相手が人間であるだけに,同じマップで遊んでも一つとして同じ展開にならない。PCに対する要求はちょっと高めだが,BFVのためならマシンの買い替えも考慮していいんじゃないかと,かなり無責任に断言してしまおう。それでは,ロックンロール!


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■メーカー:エレクトロニック・アーツ
■価格:7980円
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/933MHz以上(Pentium4/2GHz以上推奨),メモリ256MB以上(512MB以上推奨),空きHDD容量2GB以上,64MB以上のVRAMを搭載したビデオカード(VRAM128MB以上推奨),DirectX9.0以降
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