=forGamer.net独占インタビュー=
Windows版PSOに息づく中 裕司氏の思想のすべて 3/5

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2001/09/18

Text by Kazuhisa

■「UOやEQなどと勝負するつもりなんか全然ないんです」 −中 裕司氏

クリックすると拡大します  基本的にはVer.2をベースに,対応言語の追加やPCならではの描画など,いくつかの追加機能をプラスするというのが,開発の方向性のようだ。
 しかし。いままでの攻略法や個人のWebサイトなど"情報がまんべんなく流通していること"を筆頭にメリットも多くあるが,強豪ひしめくPC市場で"そのまま"というのは,逆にデメリットになったりしないのだろうか。そのあたりはソニックチームとしてはどのように考えているのだろうか。

forGamer.net:
 PC版はVer.2をベースに開発しているということですね。でもそれだと,商業的成功は厳しいように感じてしまいますが……?

中:
 うーん,それはよく言われることですが,僕はそうは思いません。そもそもPSOはドリームキャスト独自のゲームでしたよね。それでも,あれだけの人が遊んでくれたんです。このせっかくの"マルチプラットフォーム戦略"でPC版で出す以上,ドリームキャストで成功したあの作品を「そのまま持ってくる」のはアリだと思うんですよ。コンシューマとは全然違う広がり方をしているPC市場において,より幅広い人に遊んでほしいんです。

forGamer.net:
 意図的に内容変更をしていない,ということでしょうか?

中:
クリックすると拡大します  PSOは,日本発の「地球規模で気軽に遊べるオンラインRPG」なんです。14個もの賞をいただいたり30万人の人に遊んでもらえたりして,作品としてはかなり成功を収めることができました。でもそのせっかくのPSOも,ドリームキャスト自体を持ってなかったとか,ネットワークにつなげていなかったとか。興味があっても,そういういろんな理由でいままで遊んだことのない人,そういう人に改めて遊んでほしいということです。

forGamer.net:
 PCにはUltima OnlineやEverquest,Diabloなどの"オンラインRPG"の強豪は多いですが,そのあたりはどうお考えですか?

中:
 うん,それもよく言われます(笑)。でもね,僕らには「コンシューマでゲームを作ってきた」という自信があるんですよ。PCのネットワークゲームって,どう見たって普通のプレイヤーには"入っていきづらい"ものですよね。コアな人が面白いといって遊んでいるのは承知していますけど,とにかく入っていきづらいものが多いと思うんですよ。別にそれは"英語がメインなので日本人が入っていきづらい"とかそういう理由だけではなくて,世界的に見てそうではないかな,と。
 僕らは,UOやEQなどと勝負するつもりなんか全然ないんです。というより,土俵自体が違うんですよ。僕らが持っている最大の武器である「分かりやすいシステム」をうまく生かして,まだネットワークゲームに触れたことがない人にこそ遊んでほしいんです。

forGamer.net:
 コアなゲーマーは対象ではないと考えてもいいですか?(笑)

中:
クリックすると拡大します  いや,そういう言い方もちょっと……(笑)。でも,せっかく自宅にPCがあってもWebサーフィンしたりメールしたりするだけではもったいないじゃないですか。じゃあゲームでも,と思うと,PCのゲームは難しいものばかり。ネットワークゲームとかいうものが評判なので遊んでみたいなぁと思って,簡単そうに見えるPSOで遊んでみたいけど,ドリームキャスト買ってまではなぁ……という人はいっぱいいるんじゃないでしょうか。
 そんな人にこそ遊んでほしいです。ドリームキャスト版のほとんどのプレイヤーは,PSOが"初めてのネットワークゲーム"だったんですよ。PC市場でも,ぜひともそれを再現したいですね。

forGamer.net:
 それを世界規模で再現するというわけですね。

中:
 うん,そうですね。ぜひとも世界に広げていきたいです。
 こないだの6月23日はソニックの誕生日だったので,中国で正式に発売したんですよ。で,当日はWebサイト上でイベントみたいなことしたんですけど,あまりにアクセスが集中してサーバーがダウンしたぐらい人が集まりました。それが引き金というわけではないですが,中国市場にも足を伸ばしていきたいなぁ,とか考えてますね。今回のPC版で中国語と韓国語がサポートされるのはそういう理由も一つにはあります。

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