「信長の野望 蒼天録」のすべて == システム編 2/2==

Text by Iwahama 

季節ごとに巡る,政略フェイズと軍略フェイズ

 ここでは,より具体的にシステムを説明していこう。
 蒼天録では,1年を四つ……つまり四季に分け,それぞれの季節ごとに行動を決めることができる。簡単にいえば,1季節が1ターンだ。一つの季節は,さらに,政略フェイズ軍略フェイズに分かれている。

 政略フェイズは,プレイ武将の立場によって若干できることが違ってくるが,基本的には内政,外交といったことを行うフェイズである。
 このフェイズ内に限っていえば,嵐世記とそう違いはない。たとえば内政は,"商業"や"開墾"などを行う担当武将(奉行)を決めるだけである。もちろん蒼天録でも諸勢力との交流は重要で,このあたりは,嵐世記ユーザーならすんなりと楽しむことができるだろう。

 立場が大名の場合のみ,"大名家としての外交"を行ったり"軍団ごとの攻略目標"を決めることができる。このとき,全軍団長と一部の城主を集めて意見を聞く(評定)ことができる。逆にいうと,軍団長の立場では評定で意見をいうことしかできないわけだ。
『この評定にリアリティを出すため,"発言力"というパラメータを作りました』
 つまり,大名に自分の意見を採り入れさせるためには,発言力を上げる必要があるようだ。では,どうすれば上がるのか?
 『それはやはり実績です。働きがよければ(勲功をたくさん稼げば)上がりますし,逆に働きが悪い(軍団長なのに,配下の城主のほうが勲功を稼いだときなど)と下がります』
 ……リアルだ……。

 政略フェイズでもう一つ重要なのが,「下克上コマンド」だ。これに関してはNewsに詳しく書いたので,「こちら」を読んでもらいたい。

 軍略フェイズでは,実際に軍勢を動かすことができる。
 城主であれば自分の城に,大名&軍団長なら軍団内の城に,出陣命令を出すことができる。軍団長か大名の場合は,同じ大名家のほかの軍団か他家の軍団に,援軍を要請することもできる。
 で,ここが面白いのだが,この軍略フェイズは疑似リアルタイムとなっているのだ。コマンド入力時など,いつでも時間を止めることはできるのだが,基本的には見ている間にどんどん時間が進んでいく。そこで各軍勢の状況を見ながら,随時新たな指示を出していくわけだ。たとえば,他家の軍勢が攻め寄ってくるのを確認してから他家に援軍を要請する,といったことができるし,逆に攻め入ろうとした城に強力な援軍が到着するのを見て目標を変更したりということもできる。

 そして,軍勢同士がぶつかれば合戦に,軍勢が城に到着すれば,攻城戦へと移る。

評定では,大名の考えに意見を述べることができる。日頃から発言力を高めておこう 蒼天録でも諸勢力は重要だ。中でも国人衆は合戦に参加できるため,敵に回すとやっかいな存在である 軍略フェイズは,城や拠点が表示された日本地図の画面で進む。スクロールさせて遠方を見ることも可能だ 軍略フェイズでは,随時時間を止めて城や軍勢に指示を出すことができる

嵐世記とはまったく違う,新感覚のリアルタイム合戦

 リアルタイムの合戦というとどうしても嵐世記を思い出してしまうが,蒼天録ではまったく違うシステムになっている。
 嵐世記では,"移動"と"攻撃"が同一フィールド内で行われていた。いわばAoEに代表されるRTSのシステムだったわけだ。しかし蒼天録では,移動は軍略フェイズにて行われている。軍勢同士が出会ったあと,もしくは軍勢が城に到着したあとをクローズアップしてよりダイナミックにしたのが,蒼天録の合戦といえるだろう。

『蒼天録の野戦は,部隊同士が押し合うイメージで作っています』
 との言葉通り,野戦が始まると,両軍3部隊ずつが画面上で押し合いをしている状態になる。敵軍の真ん中の部隊を押し切るか壊滅させた場合,または敵軍総大将の部隊を壊滅した場合に勝利となるわけだ。
 ならば真ん中の部隊だけ押していけばいいのかというと,そうでもない。そうなると,こちらの真ん中の部隊が敵の3部隊から集中的に攻撃されることになるからだ。やはり3部隊の息を合わせてじわじわと押していこう。

 戦闘中の3部隊は,どんどん士気が落ちていく。そこで,タイミングを見計らって部隊をどんどん交代していこう。また部隊には相性があるため(騎馬隊は槍隊に弱く,足軽隊に強いなど),相手の兵科によっても交代したほうがいいだろう。交代して後陣に下がった部隊は士気が回復していくので,また前線に出すことも可能だ。
 ただし,あまり交代させすぎるのも問題である。交代せずにずっと戦っていると,士気が落ちる代わりに"戦意"がたまっていく。また,相手部隊が交代したときにも戦意がたまる。そしてこの戦意がある程度たまると,先述の"必殺戦術"が使えるのだ。必殺戦術は状況を一変させることも少なくないため,できるだけ戦意をためるためにも,また相手部隊に戦意をためさせないためにも,交代は本当に必要なときにだけ行うようにしよう。

 ちなみに部隊の"強さ"は,率いる武将の"統率力"によって決まる。しかし蒼天録の野戦ではもう一つ重要な要素として,"進軍力"というものがある。文字どおり,相手部隊を押して進む力だ。これは,部隊の兵数によって決まる。たとえ統率力の高い武将が率いた部隊でも,兵数が少なければあっさり押し切られて負けてしまうだろう。

 そして野戦が終わると,また軍略フェイズに戻る。勝ち戦に浮かれていると,また別の敵軍勢にやられてしまいかねないぞ。

 攻城戦では,6部隊を率いて戦う。こちらは野戦と異なり交代ができない。とはいえ城の周りに残りの部隊が待機しているので,軍略フェイズに戻ったあとに別の6部隊で城を攻め,この繰り返しで最終的に落城させよう。どの城も"本丸" "二の丸" "三の丸"の三重構造になっているため,本丸攻撃用に最初は主力部隊を残して攻撃するといった戦略が必要になってくるだろう。ちなみに蒼天録には,大砲を扱う兵科は存在しない。
『その代わり,家宝として大砲があるんですよ。その家宝を持つ武将が攻城戦に参加していれば,非常に有利となります』
 また海岸沿いの城であれば,仲のよい水軍衆に船から砲撃してもらうこともできるようだ。

最初に敵軍と当たる3部隊は,とくに慎重に選ぶようにしよう 戦意がたまり次第,必殺戦術を繰り出そう。ただしそれに気を取られて交代し忘れないように 3D&ハイカラーで,城がより美しくなった! 城には門が二つある。敵軍の動きを見て,6部隊の振り分け方を考えよう


完成度と新しさが同居したシステム

 ここまでで,蒼天録のシステムのほとんどを紹介できたと思う。全体的に見て思うのは,大きい部分ではまったく新しいシステムに生まれ変わっているということ。そして細かい部分では前作までで培われてきた伝統と経験が生きていることだ。新しいけど,懐かしい。信長の野望は,10作めにしてまた階段を一つ上ったようである。

 追って小川氏へのインタビュー記事もUp予定。プロデューサーが語る"今後の信長"など興味深いネタ満載! 「こちら」のScreenShots集と併せてお楽しみ下さい。

関連リンク
「信長の野望 蒼天録」公式サイト
「信長の野望 蒼天録」インタビュー編
「信長の野望 蒼天録」Screenshots集
「信長の野望 蒼天録」初出し情報

信長の野望 蒼天録
■発売日:2002年春発売予定
■価格:1万1800円
■メーカー:コーエー
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,Pentium II/333MHz以上(Pentium III/500MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量800MB以上

 

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