MMORPG「シールオンライン」:KESPI代表取締役 澤 紫臣氏インタビュー

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Text by halen

 2004年4月1日より正式サービスが開始された「シールオンライン」(原題:Seal Online)は,韓国のGrigon Entertainment社が開発したMMORPG。βテスト時から日本での運営はGBMが行っていたが,6月に運営権がKESPIに譲渡され,現在に至る。

 ゲームは,アニメ風のグラフィックスを採用しており,BGMと調和された和やかな世界観が特徴的。バイル(モンスター)との戦闘を重ねてキャラクターの成長を楽しめるのはもちろんだが,シングルRPGをベースに制作されたMMORPGなので本格的なメインストーリーも盛り込まれている。
 コンボシステムを用いた派手でアクション性の高い戦闘面も本作の醍醐味の一つで,コンボにしても各キャラクターに数十種類が用意されている。コマンドをタイミングよく押して,最終的に全コマンドを押し終えるとコンボの名前が表示されるというものだ。
 また初心者にとってはとっつき易い本作だが,コアプレイヤーにとってもペットシステムや精錬システムといった奥深い要素が多数存在する。満足のいくキャラクターに育て上げるには,かなりの努力と運が必要だ。

 さてそんな本作だが,本国韓国では10月を境目に,既存のシステムにメスを入れる大幅アップデートが実施されている。ただ,大幅すぎるが故に,韓国では多くのバグやバランス問題など,満足のいく出来に仕上がっていないのが現状。
 まさに変貌を遂げようとしている本作だが,日本の運営元は今回のアップデートに関してどういった形で実装するのか,また導入のタイミングはいつなのか? 今後の展望も含めて,お馴染みKESPIの代表取締役兼GMの澤 紫臣(Sionic)氏に伺ってみた。

澤 紫臣
28歳。大学卒業後,ベンチャー系ソフトハウスにてITバブル崩壊の直撃を受け,その経験を元にプロジェクト企画,製品企画のコンサルティングに携わる。現在,SealOnlineを運営する株式会社KESPI代表取締役。

 

ゲームに纏わる話

---- 澤さんはGBMでゲームマスター(GM)として「シールオンライン」に関わっていましたが,KESPIの社長に就任してからいかがでしょうか? 就任当時の日記では社長と立場を公にするのを懸念しているとおっしゃっていましたが。

澤紫臣氏(以下,澤氏):
 元々GMのみを専業でやっていたわけではないんですよ。どちらかというと会社の経営企画など,総務的なことをするためにGBMに入社したんです。そこで「シールオンライン」というプロジェクトに足を踏み入れたときに,立ち上げなどで忙殺される日々が続きまして,部署云々にとらわれず,みんなが何でもやるという状況になっていました。私は総務の業務の傍ら,GMとしての業務を行っていたので,多くのプレイヤーの目に触れていたのしょうね。

 最近ではユーザーの皆様とは多少距離を置いています。先日のコミュニティチャットイベントには参加しましたが,表に出るときというと定例会見くらいですね。でも私は何も表に出たくないのではなく,本音は現場の仕事をやりたいんです。それがGM業務であれ広報業務であれ,関係なくです。
 ただその半面で社長という立場上,やはりある程度構えていなければならないとも思っています。そういった兼ね合いも合って,頻繁にゲーム内に参加することはなくなってきました。
 
---- そういえば最近,ゲーム内でGMを見かけないのですが。

澤氏:
 毎日イベントに参加していますよ。ただ,監視の方法をかえておりまして,元々はGMによる巡回を行っていましたが,最近は要所をおさえて姿を現すといった形ですね。例えば10月2日の夜にチートらしきばら撒き行為がありましたが,そのときは表に出ています。巡回には姿を出さず監視を行い,変わりにイベントでは姿を出すという,まぁ見せ方を変えたということです。

---- 開発元のGrigon Entertainment社との連携はどのように行っているのでしょうか?

澤氏:
 ローカライズチームは毎日コンタクトを取っていて,週一回ペースで要望書を投げています。私は週に一回遠隔ミーティング会議に参加しています。内容は主に国内の現在の状況説明や問題点の提示,今度の方針などですね。

---- 要望書とありますが,例えば日本のプレイヤーが斬新なアイデアを出した場合,その意見が正式に採用されることもあるのでしょうか?

澤氏:
 ありますよ。例えば今韓国では大型アップデートが行われていますが,その中にも日本から要望を投げた要素がいくつか含まれていますし。それ以外にも,もちろんあります。まぁ,どれに関してもグローバル展開されているタイトルなので,明確に日本のプレイヤーが考案したと公表されることはありませんけどね。

---- 正式サービスがスタートしておよそ7か月が経過しましたが,現在の有料会員数を教えてください。

澤氏:
 数字は社外に出さない方針なので,お答えできません。

---- 先日とあるところで有料会員数を見かけたのですが(笑)。

澤氏:
 ○万人というやつですね(笑)。う〜ん。あれに限りなく近いものとお考えください。

---- ここ最近新規プレイヤーが増えている傾向にありませんか? エリムやその近辺など,低レベル向けマップでよく初心者プレイヤーを見かけるのですが。

澤氏:
 そうですね。プレイヤー層が入れ替わる時期に移行してきていると考えています。正式サービス開始後にスパートをかけたプレイヤーが一時休止し,入れ替わりで新規プレイヤーが入ってきているといった形でしょうか。
 また正式サービス開始から半年が経過しているので,ある程度キャラクターが育ってきたことが見受けられます。レベル80くらいになるとグラシス平原にアクセスの良いマデリンを拠点にするじゃないですか。で,もっと上がると地下墓地に行くためにエリムに集まる。最近はエリムも活性化の傾向にありますね。

---- 初心者プレイヤーの多くはエリムから始めるので,上級プレイヤーと出会い/交流があるというのはいいことですね。初心者プレイヤーにアイテムをプレゼントしている気さくな方もいますし。

澤氏:
 公式サイトにも記載しているのですが,「シールオンライン」は"コミュニケーションMMORPG"という表現を使っています。一人でももちろん楽しめますが,同作を一つの媒介として,プレイヤー同士の交流があれば本望ですね。

---- 国内のプレイヤーの平均レベルはどのくらいでしょうか?

澤氏:
 作成したままのレベル1キャラクターが多いことや,露店や銀行スキルを取得後育成を止めてしまうケースが多いので,おそらくかなり低くなります。おおよそではありますが,レベル20までが団子状態で,それ以降ですとレベル50周辺で最初の山があり,70レベルで次の山があります。その次の山が90くらいとなっているので,面白い傾向ではありますが大体20レベル毎に境界線があるようです。

---- プレイヤーの年齢層と男女比を教えてください。

澤氏:
 年齢層に関しては20代が多く,18歳から35歳くらいまでがボリュームゾーンになります。ただ幅は広く,下は小学生,上は50代でプレイされている人もいらっしゃいますね。中には親子でプレイされている方もいらっしゃるようです。ボリュームゾーンについては他社のMMORPGとさほど変わりはありませんが,ゲームシステムのとっつきやすさから,かなり幅の広い層の方に遊んで頂いています。男女比は,女性3割前後といったところでしょうか。

---- 女性が多いですね。やはり可愛らしいグラフィックス,和やかな世界観が女性の好まれる理由でしょうか。

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