Text/Photo 星原昭典

 信Onで選択可能な職業は,「侍」「僧」「神職(神主/巫女)」「陰陽師」「忍者」「鍛冶屋」「薬師」の7種類だ。種族という要素はなく,キャラクターはすべて戦国時代の人間として生を受ける。
 しかし,すべてキャラクターの初期能力値が同じかといえば,そうではない。種族による初期値の変化はないが,そのキャラクターが所属する勢力によって「勢力ボーナス」が付加される。
 織田家であれば「魅力」と「火属性」にそれぞれ+1のボーナスがある。今川家は知力に+2,水属性に+1のボーナスがあり,耐久力が−1になるといった具合だ。それぞれの大名の性格や個性,歴史などとの関連を考えるのも面白い。

 キャラクターの能力値は,職業ごとの基本能力値に,この勢力ボーナスと,任意に割り振れる10ポイントのボーナスを加算することで決定する。
 能力値は,今後の能力の伸び方に関わってくる。そのため能力を決めるときには,どういった職業で,さらにどのような個性を持ったキャラクターを育てたいのか,ある程度イメージを固めておく必要があるだろう。


 信Onに用意されている職業を見極めるうえで重要なのは,「それぞれの職業が極端に専門化されているわけではない」ということだ。「回復力は僧がイチバンだから,僧がいないと話にならない」とか「盾役としての侍がいないと狩りに出かけられない」などというバランスでは作られていないのである。
 回復は僧にも薬師にも安心して任せられるし,鍛冶屋は侍に負けない盾役になれる。場合によっては僧が盾役になることもできる。攻撃術は陰陽師が,味方強化は神職が最も得意とするが,ほかの職もそれに近い技能を持っている。その徒党がうまく連携を使いこなせられれば,ほとんどの術使用者が攻撃の要になれるのだ。
 無論,それぞれの職業しか持っていない特技も存在する。全体として,どのような徒党でもきちんと楽しめるようにバランスが調節されているようなので,共に遊ぶグループが作りやすいゲームだといえるだろう。

 それでは各職業の特徴を解説していこう。


 侍の仕事は,味方への直接攻撃を身代わりとして受ける「守護」や,敵の注意を自分に惹きつける「挑発」「一所懸命」といった技能を使用して,身を挺して仲間を守ることだ。
 甲冑を身に着けた侍がダメージを受けるのと,防御力の低い後衛がダメージを受けるのとでは,被るダメージに大きな違いが出る。そのため徒党を組んでの戦いでは,「侍がいかにダメージを引き受けるか」が重要になる。
 「護衛」や「守護」系技能には,術動作に入った味方が敵からの攻撃によって詠唱を中断させられてしまうのを防ぐという重要な役割もある。

 もちろん侍は,攻撃のプロでもある。一回の攻撃で複数回のダメージを与える「連撃」系技能や,両手に武器を装備する「二刀流」を組み合わせれば,相手に大ダメージを叩き込むことが可能だ。

 さらに,侍独自の目録である「軍学」や「陣形」で修得可能な,テクニカルな技能や味方全体を強化する技能も見逃せない。敵の攻撃力を下げる「拙攻の計」や,味方全体の速度を上昇させる「車懸の陣」などである。
 弱体化や味方サポートは,専門職の使う技能には及ばないが,あるとないとではやはり戦果は異なってくる。侍はただダメージを受けて与えるだけではないスタイルでの戦い方も可能なのだ。

 「伐採」技能で木材系アイテムを採集し,木工具を使って加工するというのが侍の生産スタイルだ。ほかの職業が生産で必要とする材料を作成できるほか,弓と矢も作り出せる。弓矢は弓術を得意とする神職に売る以外に,勲功値をもらうために自国に納入するのもいいだろう。
 どうやらほかの職業に比べて,侍は生産でお金を稼ぎづらいという傾向があるようだ。そのためか,βテスト中には「侍にはアイテムを安く売ります」という広域チャットも見られた。




 徒党における僧の主な仕事は,回復だ。単体の「回復」と「全体回復」をうまく使い分けて,徒党をバックアップしていくことになる。とはいえ,攻撃が不得意だというわけではない。「退魔」「紅蓮」「凍気」といった各属性の攻撃術は連携の起点にもできるので,うまく党員と協力できれば攻撃の要となることも可能だ。

 さらに防御力が高いことも僧の特徴である。自身の防御力を上げる「存命術」や「護身の法」を使えば,かなり打たれ強い僧になれる。
 加えて,仲間の代わりにダメージを受ける「仁王立ち」,敵の注意を惹きつける「捨身飼虎」といった技能も使用可能なので,徒党の盾役として活躍することもできるのだ。これにダメージシールドである「罰当たり」などを組み合わせれば,敵にとって非常にイヤな存在になれるだろう。

 倒れてしまった仲間を戦闘後に復活させる「転生」も,僧の大切な仕事の一つ。この術があれば,徒党の立て直しが容易になる。

 野山で綿花や皮革などを「材料採集」して,手芸品を作成できる。烏帽子や頭巾といった頭装備が作成可能なほか,細紐,組み紐といった紐類,そして袋を生産可能だ。
 紐類は多くの職業が生産材料として求める製品なので,売り手に困ることはないだろう。容量の大きい袋や特殊効果の付いた袋は,すべての職業に求められる品だ。
 ほかに僧だけが作れる生産品としては,茶器や絵画が挙げられる。これらは特殊スロットに装備可能なもので,キャラクターの能力値をアップしてくれるアイテムだ。




 味方を強化することにかけては,神職の右に出るものはいない。防御力を上げる「防御付与」,攻撃力を上げる「攻撃付与」,速度を上げる「高速化」といった術を駆使して徒党メンバーをサポートするのが戦闘中の主な仕事だ。
 術使用型のキャラクターには,準備動作を省略できる「詠唱付与」をかけてあげると喜ばれるだろう。ただし,準備動作がなくなるということは,その術が連携に使えなくなるということなので,使用時には注意が必要だ。

 攻撃面では,「退魔」や「雷撃」といった攻撃術を連携のトリガーにすることで貢献できる。また弓矢による攻撃が得意なことも神職の特徴の一つ。技能を鍛えていけば,多数の敵に一度にダメージを与えることもできるようになる。

 さらに,神職のサポート能力の及ぶ範囲は,戦闘中だけにとどまらない。「雅楽」目録で修得できるさまざまな"唄"には,フィールドマップ上で非常に役に立つものも多い。
 味方全体の気合回復速度を上げる「大地の唄」,党員全員の足を速くする「行進曲」,徒党を周りから見えなくさせる「神隠しの唄」などがそれだ。

 神職が生産可能なのは,まず自身も得意とする弓矢だ。それに加えて,宝飾道具を使った首当や髪飾りの生産が可能となっている。
 とくに首装備は神職だけが生産可能なので,多くの人に求められるだろう。そして,神職生産の真骨頂ともいえる製品が,"付与石"である。
 付与石とは,武具に組み合わせることで特殊な効果を追加できるアイテムだ。高性能な武具を求めるすべてのプレイヤーが必要としている一品である。ただ,付与石は非常に材料が高価なうえに作成難度も高いため,実際に生産できるのは,相当レベルが上がってからになるだろう。




 陰陽師は敵にダメージを与える攻撃術のプロフェッショナルである。「雷鳴」「冷気」「火炎」「風刃」というように,土・水・火・風のすべての属性に対応した攻撃術を次々に修得していく。
 戦う敵に合わせて使い分けられるようになれば,最強のダメージディーラーとなれるだろう。

 陰陽師のもう一つの特技は,敵の行動を制限することだ。近接攻撃を一定時間封じる「呪縛」,敵1体を行動不能にする「金縛り」,眠らせる「催眠」,さらにはこちらの味方に付けてしまう「魅了」といった術を覚えていくため,戦場をコントロールするという面白さも楽しめる。

 さらに,信Onの陰陽師には召喚術師としての側面もある。武具を召喚して味方に手渡したり,式神を呼び出して共に戦わせたり,自身が犬神に変身したりできるようになるのだ。

 陰陽師の生産技能は,機織器を使った裁縫だ。これにより布製の衣類を生産できる。
 胴に装備する衣は,僧や薬師,神職,陰陽師に,腰装備の帯などはすべての職業にとって必要なものだ。材料は自分で野山に行き「材料採集」できるほか,紐類を多く必要とするので,それを扱う僧のプレイヤーなどから購入しよう。




 忍者は直接攻撃への参加も術の使用も可能という,多彩な能力を持った職業だ。唯一の泣きどころは防御力の低さだが,それは「回避術」を実装したり,「忍結界」を使用することでカバーできる。
 徒党内では,基本的には攻撃を担当することになる。直接攻撃面では,攻撃を当てることで自身の回避力も上昇させる「霞斬り」や,ダメージを与えたうえに行動不能効果を付与する「痺れ斬り」といった技能を使って敵を追いつめる。
 術攻撃面では,「土遁の術」や「火遁の術」などの忍術を駆使してダメージを与えていく。攻撃忍術には相手に状態異常を付加する効果もあるので,多くの敵を相手にするときは重宝する。忍術はダメージも異常付加効果もそれぞれの専門家には及ばないが,一度の動作でそれが行え,さらに準備動作が必要ないという利点を持っている。この特徴は,忍者という職業の特徴をそのまま表しているようでとても興味深い。

 属性付与の術を使う敵や,初めから強化効果がかかっている敵と戦うときに,「結界破り」で敵の張った結界を無効化したり,「看破」で敵にかかっている強化術を剥がしたりすることも,忍者の重要な仕事である。


 忍者の生産目録「忍びの匠」で作れるのは,忍具全般だ。苦内やマキビシに始まり,脇差や忍者鎧など自分で使う装備を自分で作成可能になる。さらに「毒仕込」に長けていけば,武器に塗る毒を作れるようになる。
 忍具は忍者にしか需要がなく,毒のような消耗品は売りづらい。しかし,忍者が儲けづらい職業かといえばまったく逆で,最も稼ぎやすい職業だといわれている。
 なぜなら忍者は,全職業の中で唯一,四つの生産材料採集技能(「材料採集」「伐採」「採掘」「植物採集」)をすべて修得できるからだ。さまざまな素材を集め,売りさばくことで富を築けるのである。




 鍛冶屋と薬師は生産が得意な職業だが,これは戦闘が苦手ということではない。上記5職業が戦闘も生産も楽しめるように,鍛冶屋と薬師も両方不足なく楽しむことができる。

 徒党プレイにおける鍛冶屋は,防御力および直接攻撃力に長けたキャラクターである。「守護」「挑発」「仁王立ち」といった仲間を直接攻撃から守る技能を備えているので,侍に並ぶ徒党の盾役として活躍できる。
 攻撃面では「連撃」や,体力が半分以下の敵に大ダメージを与える「追込撃」といった直接攻撃技能を使用可能だ。さらに鍛冶屋の攻撃力を支える強力な武器として,鉄砲がある。本当に強力な武器である鉄砲を扱えるのは侍と鍛冶屋のみ。しかし,鉄砲本体もその弾薬も非常に高価であるため,お金を稼ぐのが苦手な侍はなかなかこれを使えない。だが,生産技能に長けた鍛冶屋であれば,稼いだお金を使ってこの鉄砲を使用できるのだ。

 さらに,鍛冶屋には「味方の武具を修理できる」という長所がある。連戦していると党員の武具はだんだんくたびれてきて,性能が落ち始める。しかし徒党内に鍛冶屋がいれば,その場で修理できるので,攻撃力/防御力の低下を気にすることなく戦い続けられるのだ。

 多くの冒険者にとって必須の武器防具を生産できるため,鍛冶屋は最も儲かる職業だといえる。稼いだお金で鉄砲を使用するなどして徒党に貢献するのが,周りにも喜ばれる理想的なプレイスタイルだろう。
 生産可能なアイテムの数はほかの職業の比ではない。自分では採集できなかったり,作れなかったりする材料も多いが,それはほかのプレイヤーから売ってもらえばよい。売ることも買うことも楽しめる鍛冶屋は,生産という行為自体の面白さを存分に満喫できる職業だ。




 鍛冶屋と薬師は生産が得意な職業だが,これは戦闘が苦手ということではない。上記5職業が戦闘も生産も楽しめるように,鍛冶屋と薬師も両方不足なく楽しむことができる。

 鍛冶屋と並ぶ生産職の薬師だが,鍛冶屋ほど生産に寄った職業ではないようだ。実際,ゲーム内でも薬師は「薬を売る人」というよりも「(戦闘で)回復役として活躍する人」というイメージが強い。

 回復技能としては,単体の「治療」「全体治療」に加えて,対象の生命力を徐々に回復させる「活身」がある。この三つをいかに使い分けるかが,薬師の腕の見せどころだ。

 もちろん回復だけが薬師の仕事ではない。味方を強化する「攻撃付与」「防御付与」,敵を弱体化する「攻撃呪霧」「防御呪詛」など,味方を補佐し,敵を弱める技能を使用できる。
 僧が「回復+攻撃/防御」の職業であるのに対し,薬師は「回復+サポート」の職業だといえるかもしれない。

 倒れてしまった味方を復活させるのも薬師の特技だ。薬師の場合,僧も使う「転生」を使用できるのに加え,「蘇生」という技能も修得可能であることは特筆すべき点だろう。
 転生はフィールドのみ,蘇生は戦闘中のみ使用可能な技能だ。つまり,戦闘中に仲間を復活させられるのは薬師のみ。しかも,転生使用時はキャラクターが一定時間能力値の下がった「怪我」の状態になってしまうが,蘇生にはそのペナルティがないのだ。


 「植物採集」で材料を集め,足りないものはほかのプレイヤーから購入し,「調合」や「処方」の技能を使うことで薬を生産していく。生命力を回復させる薬から,能力値を上げる薬,果ては毒まで実に多くの薬を作り出すことが可能だ。
 ただ,消耗品はいささか売れにくいという傾向があるようなので,うまく店への売却を利用して技能を高めていくのがセオリーとなっているようだ。しかし高価な薬には高い効果が期待できるので,合戦に参加するときやボスクラスの敵に挑むときにはぜひ使用したいと考えるプレイヤーも少なくない。

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