「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ最新作
「Lord of the Rings:Return of the King」開発者インタビュー

文/写真・奥谷海人

ニール・ヤング氏
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのプロデューサーとして抜擢される以前には,インターネットからFAXまでを駆使するというコミュニケーションゲーム「Majestic」を担当していたこともあるというので,名前を聞いたことのある人もいるかもしれない

 「ロード・オブ・ザ・リング」といえば,"映像化は絶対不可能"とまで言われてきたJ.R.R.トールキンの不朽の名作ファンタジー小説「指輪物語」をテーマにし,世界中で絶賛された映画である。映画第一作め「ロード・オブ・ザ・リング」が31億ドル(約3,600億円),第二作め「ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔」も現在までに34億ドル(約4,000億円)という大成功を収めているだけでなく,壮大なニュージーランドの大自然と最先端の映像テクノロジーに支えられた映像美は,映画史に残る3部作となるはずだ。
 アメリカでは,映画シリーズの最終章となる「Lord of the Rings:Return of the King」が2003年12月17日に公開される予定になっており,日本では「ロード・オブ・ザ・リング:王の帰還」として,2004年の春に劇場公開が予定されている。
 ちなみに,指輪物語とは関係ないが,監督ピーター・ジャクソンとグラフィック開発を担当したWETA社は,2005年に向けて古典的SF映画の名作「キングコング」のリメイクを製作する予定にもなっているという。

 

アメリカEA本社三階にディスプレイされていた,ロード・オブ・ザ・リングのジオラマ

 さて,エレクトロニック・アーツがニューラインシネマ社と提携し,「ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔」をPlayStation 2用にゲーム化したのは2002年10月のこと。全世界で400万本という大ヒットとなり,"映画のゲーム化は売れない"と言われてきた,ゲーム業界の悪しき伝統に終止符を打った。
 ゲームの雰囲気は,日本や海外でも人気のPS2作品「三国無双」シリーズを思わせるもので,アルゴルンやレゴラスなど,指輪物語のヒーロー達が,多くの敵が群がるマップ中を駆け回って行く。ライセンス作品らしく,映画のクリップが30分ほど挿入され,ぐっと臨場感が高まるようになっている。ウルク・ハイ(サルマンの戦士)との闘争や,ヘルムズディープでの合戦も描かれており,映画ファンだけでなく,アクションゲームファンにはたまらない内容だろう。
 この「Lord of the Rings:Return of the King」は,XboxやGameCubeでも発売されるばかりか,PCでもリリースされることが決定した。指輪物語の最新ゲームがPCでも楽しめることになったわけだ。

 今回,インタビューを行ったのは,エクゼクティブ・プロデューサーであり,ディレクター業務も兼任しているニール・ヤング(Neil Young)氏だ。
 インタビューが行われたのは,建設されて1年にもならないというエレクトロニック・アーツ本社新館の三階部分で,すべてのフロアが「ロード・オブ・ザ・リング」チームのために使われていた。とはいえ実質的な開発は,ゲーム開発会社であるStormfront Studios社なので,EA本社部分ではテスティングやカスタマーサポート,マーケッティング業務などが中心に行われているようである。ゲーム内のマップを再現したと思われるジオラマ,数々のトロフィー,俳優達のサイン入りポスターなど,目移りしてしまうグッズのあふれるフロアの一角にある,Shire(ホビット庄)と呼ばれる会議室でヤング氏に話を聞いた。

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