― 特集 ―

 

なんだよ,もうここまで出来ているじゃないか

Text by Iwahama

 今年のE3の印象は,「なんだよ,もうここまで出来ているじゃないか」である。


 「Age of Empires III」にしろ「Hellgate:London」にしろ「The Movies」にしろ,ちっとも情報が出てこないから発売まで時間がかかるのかと思ったら,E3ではサラッとプレイアブル展示されていて,ビックリ。まぁ嬉しい驚きではあるのだけれど,メディアに携わる人間としては,「E3まで隠しておかないで,もうちょっと早く情報出してくれてもいいのに」と思わずにいられなかった。

 しかもE3で大々的にやるのならともかく,どれも比較的"さりげない"展示。話題作ばかりなのに,もったいなくない?


 さて,E3 2005で気になったタイトル。今でも目をつぶるたびに脳裏に蘇ってくるのが,「The Elder Scrolls IV:Oblivion」の映像だ。アポイントのある人だけが入れるクローズドのシアターで見たのだが,もう,「見事」のひと言。とてつもなく世界が広大なことで有名な同シリーズだけに,もう少し大ざっぱに作っても良さそうなものなのに,1本1本の剣の文様まで丁寧に描き込まれていて,ため息ものだった。
 どこかの会社で,日本語化してくれないものだろうか……。テキスト量,ハンパじゃないだろうけど。せめて"日本語マニュアル付き英語版"としてでも出してくれればと思う次第。


 渋いところでは,「Agatha Christie:And Then There Were None」。そう,「そして誰もいなくなった」だ。原作は幼少の頃に読んで,ラストでは子供なりに驚いた記憶がある。
 ゲーム版は展開によってエンディングが変わるマルチエンディングとのことなので,果たして大人になった私をも驚かせてくれるのか,期待している。


 いきなりプレイアブルで展示されていて驚いたタイトルといえば,「Gauntlet:Seven Sorrows」も忘れてはならない。And Then There Were Noneとは違う意味で,"子供の頃に楽しんだ"ガントレットを,また新たな気持ちで楽しめるとは……。まぁあのときと同じ興奮は味わえないだろうものの,今年の期待作ではある。


 それ以外だと,「F.E.A.R.」「Star Wars Battlefront II」「Civilization IV」あたりが,実際に会場で見て気になったタイトル。逆に展示されていなくて気になったのが,「Divine Divinity 2」だ。E3直前に画面が公開されただけに,何かしら出してくるとは思ったのだが……。
 しかしこれ,ちょっとした情報を入手したので,近々最新情報をお伝えできるだろう。お楽しみに。

 

 

まだまだ次世代機には負けてもらいたくないものである

Text by Kawamura

 昨年のE3 2004で思い知らされたのは,Xboxの台頭である。PCとXboxの両プラットフォームで発売されるタイトルの多さ,そして展示されているのはほとんどXbox版であった事実。「ああ,PCゲームはもうだめなんだなぁ。田舎で鶏でも飼おう」とぼんやり考えた。


 そして今年のE3 2005。コンシューマ主要3メーカーの次世代機発表と,「今年のPCゲーム出展は極端に少ない」という噂が相まって,いよいよ「もうだめだ。鶏だ」という気持ちはピークに達していた。ところがフタを開けてみると,今年のE3はPCゲームが地味に健闘していたのである。考えてみれば,次世代機発表というこの微妙な転換期は,逆にコンシューマゲームの新作リリースにブレーキがかかるのは当然なのであった。自然とPCゲームが目立ち,4Gamer取材班は今年も割と忙しかったのであった。
 私は個人的にFPSがお好きで,とくにSF系よりもミリタリーモノがお好きである。昨年のE3はベトナム戦争ラッシュだったが,今年のミリタリーFPSはせいぜい「Call of Duty 2」ぐらいで,これもそれほど大きな展示とはいえなかった。「バトルフィールド2」など4Gamerでは無理やり大きく取り扱っているが,本当は発売目前のタイトルなど,すでにE3の目玉ではない。実際,ほとんど放置気味にプレイアブル展示されていた程度である。


 欧米でMMORPGが凋落し,大作FPSの狭間にある今年のE3では,むしろRTSや箱庭系,そしてアドベンチャーゲームが目立っていた。GTAタイプのゲームも多かった気がする。
 そんな中,注目したいのが「The Movies」と「HITMAN:Blood Money」だ。「The Movies」に関しては,昨年からずっと注目し続けてきたタイトルなので,今年とくに心を奪われる新要素を見つけたわけではない。MODやキャラクターSkinが充実すれば,ロングセラー作品となるのも夢ではないと思われるので,ぜひ頑張ってもらいたい。
 一方の「HITMAN:Blood Money」は,純粋に会場で心を奪われた。どちらかというと,シリアスさを極めるよりはイロモノに走ったという気がしないでもないが,表面的には本来のクールなスタイルを崩すことなく,裏側に隠された遊び心を巧みに広げたあたり,このシリーズの発展系としては間違っていないように思われる。


 今年は中堅〜超の付かない大物タイトルが多く,とても全展示品は見て回れなかったが,まだまだ次世代機には負けてもらいたくないものである。

 

 

MMORPGが一部を除いて一掃

Text by Gueed

 2004年まで量産に継ぐ量産で足の踏み場もなかったMMORPGが一部を除いて一掃され,個人的には実にすっきりさわやかなE3 2005。おかげでMMORPG以外のジャンルが例年通りの落ち着きを取り戻しており,……ってイヤイヤ取り戻してちゃダメでしょ。というのが本E3での感想だ。


 元々筆者はMMORPGというジャンル自体にそれほど期待していなかったが,"目的意識を共有できる,確認する場を与える"という要素だけは,ほかのジャンルにも必要不可欠なものだ考えていた。それを踏まえて,E3 2005ではゲームそのものよりも,ゲームを楽しむためのインフラを提供するようなタイトルや仕組みに期待していたわけだが……。
 結果的には,ほぼすべてのタイトルが,グラフィックスやシステムの進化だけに囚われて(いやもちろん大事なんだけど),MMORPGが残した遺産(言い過ぎな気もするけど)をほとんどと言っていいぐらい活用していなかったように思える。こんな状態だから"MMORPGで遊ぶしかないじゃないか"というのが,筆者のネガティブなほうの感想である。


 話は変わって,筆者の気になったというより遊んでみたいと思ったタイトルは,別に生モリニューからハッカ臭い爪楊枝をもらった(詳細は「こちら」)からというわけじゃないけど,エレクトロニック・アーツの「Black&White2」と,「Prince of Persia 3」「Advent Rising」「Matrix:Path of Neo」というアクションタイトル3本。
 最初の一本は,純粋にエポックメイキングさを求めて。あとの3本は,21世紀にもなったのに一向に遊ぶインフラを整える気配を見せないPCゲーム業界に嫌気がさして焼けクソ気味に選んだ極めてコンシューマライクなアクションゲームであるというのは6割ぐらいウソで,とりあえず触ってみて,ハズレのなさそうなものを選んでみた。とくに「Advent〜」と「Matrix〜」は面白さのベクトルが似ている。ゲームエンジンを汎用的に作っておけば,活劇系のアニメや映画の版権タイトルを量産できそうだ。嬉しいかどうかは別として。


 最後にどのメディアも書いていないので特筆しておきたいのが,Funcomのアドベンチャーゲーム「Dreamfall:The Longest Journey」における,キャラクターの尻グラフィックス。主人公の女性キャラクターが動くたびにモッヘモッヘと上下動する尻の振動シミュレーションは必見である。なぜかその部分だけ異様に作り込まれていてブース取材中ずっと気になっていたのだが,「この尻はいったいどういう仕組みで揺れているのでしょうか?」と聞くこともできず,不満が残っている。購入を考えている人は,念頭に置いておくといいだろう。別に置かなくていいけど。