ネットクルーのMMORPG「コルムオンライン」は,3000個というダンジョンをプレイヤー同士で争奪するのが特徴のMMORPG。本作は2004年1月1日からオープンβテストがスタートしていたが,「こちら」のNewsでお伝えしたように2004年7月1日15時から"第二次オープンβテスト"を開始すると発表している。
この第二次オープンβテストでは,クライアントだけでなく,サーバープログラムも入れ替えられる。クローズドβテストでクライアントを変更することはMMORPGというジャンルでは珍しいものではないが,オープンβテスト中に行われるということで,一部で大きな波紋を呼んでいることも確かだ。
さて,"クライアントを入れ替えるほどの変更"という部分だけをクローズアップしてみると,キャラクターモーションのクォリティやバトルダンジョンでの駆け引きを根底とするゲームシステムがさらにパワーアップするということで,気になっている人も多いのではないだろうか。公式サイトにも変更点はいろいろと掲載されているが,本日(6月23日)東京赤坂にあるネットクルーのオフィスにお邪魔して,テストサーバー上で実際に動いている新バージョンを見られたので,細かく紹介していこう。
習得方法が大きく変わったスキルシステム
旧バージョンでのスキルは,レベルアップでの上昇とスキルポイント(レベルアップ時に1ポイント得られる)の割り振りでマスタリーが増加し,それがそれぞれのスキルに設けられている数値以上になれば習得可能というシステムとなっていた。この仕組みでは,序盤にマスタリーに多くのポイントをつぎ込むことによって,比較的低いレベルで強力な効果を持つ"オーバードライブ"が使用可能となり,レベルアップ速度を早めるということも可能だった。
一方新バージョンでのマスタリーは,"スキルに割り振ったポイント数"となり,スキルポイントはすべてスキル習得に使われるようになった。スキル習得の可否はマスタリーの数値で決まることは旧バージョンと同じだが,マスタリー自体にポイントをつぎ込めなくなった(つぎ込む必要がなくなった)ことで,いろいろなスキルを(ある程度)自在に習得できるようになったというわけだ。
またこの仕様変更によって各スキルのバランスが見直され,あまり使われなかった(習得する人が少なかった)スキルが強力にパワーアップしている。スキルレベルの上限はLv25ということで,ここに関しては変更されていないが,スキルレベルに応じたエフェクトグラフィックスが用意されるなどの細かい部分で,"キャラクターが強くなった"と感じられる要素が盛り込まれている。例えばファイヤーボールなどは,最初は火の玉が一つのエフェクトで,スキルレベルが上がるごとに三つ,六つ,数十,という具合にエフェクトがグレードアップしていくのだ。
さらに旧バージョンでは,"自分のクラス"以外のクラスのスキルもマスタリー次第で習得できたが,新バージョンでは一部を残し撤廃された。具体的には,"他クラスが習得できるスキル"という項目がそれぞれのスキルに付与され,戦闘シーンでどのクラスのキャラクターでも同じスキルを連発しているという構図にはならなくなった。しかしながらキャラクターの個性を出しにくいかといえばそうでもなく,そのクラスで習得できるスキルにバリエーションを出して,それによって個性が出せるようになっているのだ。例えば,プリースト(旧バージョンでも成長の方向性が出せたので,例えとしては適切ではないが)だと,回復と補助をメインとしたキャラクターと攻撃をメインとしたキャラクターに成長させることができる。
新スキル |
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フラストショック |
ラウンドレインジ |
オードスラム |
分かりやすくなったアイテム強化システム
習得していくスキルでのキャラクター成長と双璧をなすほどの強力な要素となったのが,"アイテム強化"システム。これは旧バージョンでも採用されていたシステムだが,"分かりづらい","ドロップ品でかなりまかなえる"という理由から手軽に行われるものではなかった。今回はそこにもメスが大幅に入れられ,簡単に装備品を強化していくシステムに改変されたのだ。
新バージョンで装備品を強化するためには,3種のアイテムが必要となる。
まず一つめは,強化スクロール。新バージョンの装備品には,その強さに応じてGrade1〜5の5段階のパラメータが付与されているが,アイテム強化にはそれに対応した強化スクロールが必要となる。強化スクロールはショップで購入できるとのことなので,いきなり入手で困ることはないだろう。
二つめは,アビリティリキッド。これも強化スクロールと同様に,ショップでの購入が可能で,強化するアイテムのGradeに対応したものが必要となる。
最後は,アイテム強化のキーとなるステータスエディションと呼ばれるカード状のアイテム。これはショップで購入することはできず,モンスターを倒して入手するしかない。このカードには,STRを上げるものやDEXを上げるもの,また強化できるアイテム種類に制限があるなど,組み合わせによって複数の種類があるようだ。説明をしてくれた日本人GMに話を聞いた限りでは,このカードのドロップ率はそれほど低いというわけではなさそうなので,アイテム強化が比較的しやすく,またプレイヤー同士でのトレードも盛んに行われるだろう。
アイテム強化10回までで,回数を重ねるごとに失敗率が上昇したり,強化に失敗した場合はロストしたり……というのは旧バージョンと同様。しかし,強化に必要なアイテムが比較的簡単に入手できるので,もしもロストしたとしても(悲しいけど)呆然とするほどとはならないという感じを受けた。
なお,このアイテム強化は序盤から頻繁に行ったほうが,サクサクとゲームが進展するという(お得な?)情報も得られた。Gradeが低いアイテムほど失敗率が低く抑えられているらしいので,最大まで強化をしたアイテムをメインの装備品とするという感じだろうか。
アイテム種類の見直しで
コーディネイトが楽しめるように
アイテム強化の簡素化によって,"エクストリーム","セット"といったアイテム種類が廃止された。旧バージョンでは,これらの追加効果があるアイテムを装備することによって多大なる恩恵を受けられ,逆にそれがゲームバランスを難しくしていたというのも少なからずあったと思われる(一部のアイテムが高額で取引されていたため)。
そこに対しても"分かりやすく"というキーワードで改変が行われた。以前のマジックアイテム扱いとなるのはレアアイテムのみで,また装備レベルという制限が取り払われたのだ。装備レベルの制限がなくなったこと,さらにショップでほとんどの装備品が購入できるので,序盤でも金銭の工面ができればGrade5の装備を身に着けることが可能というわけだ。各レベル帯で同じような装備になりがちだった旧バージョンから,個性豊かな装備でハンティングが楽しめるようになったといえるだろう。
新らしく追加される装備
とはいえ,すなわちイコールで「Lv1から超強力装備」というわけにはいかない。なぜなら,アイテムには「重量」の概念があり,最大重量を上げるには,Lvを上げたり,Lv上げによるステータスをSTRに振ったりする必要があるからだ(最大重量はLvとSTR数値で上下する)。
「重量システムっていつも別に大して重要じゃないからなぁ」と考えるプレイヤーが大半だと思うが,新生コルムはかなりキツい。間違いなく「いきなり強力アイテムを装備する」ことは不可能だろう。持てる最大重要の80%以上で「自然回復なし」「移動速度低下」になり,100%を超えるとその二つのペナルティ(移動はまったくできなくなる)に加えて,ポーションを使うときのディレイが大幅に増えることになるのだ。ちなみに,初期キャラクターの最大積載重量は「1000」。そしてGrade5(最上級)の槍などは,1本で800オーバーの重さだ……。
なおアイテム種類の変更は少し分かりづらいので,以下に表でまとめておこう。
旧バージョンと新バージョンのアイテム
ドロップアイテム |
旧バージョン |
新バージョン |
白袋 |
装備品 |
消耗品(換金専用アイテムが追加) |
青袋 |
装備品(補正:小) |
なし |
レアアイテム |
装備品(補正:大) |
装備品(補正:小) |
セットアイテム |
装備品(補正:大) |
なし |
店売りアイテム |
装備品(補正:なし) |
装備品(補正:なし) |
と,つまりは,モンスターがドロップする効果付きのアイテムが減り,その代わりとしてアイテム強化をしていく……というプレイスタイルとなるようだ。
AIスクリプトの種類が増え,
モンスター戦の単調さを払拭!
旧バージョンでは,どのモンスターもアクティブ(攻撃的)で,キャラクターが成長してもモンスターのグラフィックスと強さが異なるだけで,ハンティングに単調さ付いて回っていたことが否めない。しかし新バージョンでは,モンスターの行動を決定するAIスクリプトの種類を増やすことによって,冒険の緊張感,ドキドキ感を出すようにしてということだ。また,一つのマップに出現するモンスターの種類が2種類固定から複数となり,よりスリリングな戦いができるようになった。これは旧バージョンでレベル100を超えた猛者でも,新バージョンからプレイしてみようという人にとっても嬉しい改善点といえるだろう。
モンスターには,アクティブのほかに,こちらから攻撃をしなければ無害の"ノンアクティブ",同種族が近くで攻撃されると攻撃的となる"リンク"(ほかのMMORPGで採用されているものとほぼ一緒だ)の3種類が存在する。このうち気になるのはリンクだと思うが,パーティを組んでハンティングをしているときでも,"攻撃をしたキャラクターに対して反撃をし,さらにそれにリンク"するという単純なシステムだ。分かりやすいかどうかは微妙だが,以下に図を用意したのでそれでイメージをつかんでほしい。このリンクシステムが本当なら,ソーサレスについてはかなりツラい戦いを強いられることになるだろう。
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ファイターとレンジャーがパーティを組んでいるときに,リンクするモンスターを攻撃した場合,攻撃をしたファイターにモンスター2体が攻撃的となる(図1)。ファイターを攻撃しているモンスターの1体に,レンジャーが攻撃をする(図2)と,そのモンスターだけでなく2体すべてがレンジャーを攻撃するようになる(図3)。 |
また,一つのマップにこれらの3種の行動癖を持つモンスターが組み合わされて配置されるので,出現モンスターすべてがノンアクティブというマップもあるし,アクティブ+リンクのモンスターとアクティブのモンスターだらけで,通り抜けるのも大変というマップもある。"このレベルではこのダンジョン"という単純なものではなく,自分のクラスの得意なマップでハンティングしていくというのが,新バージョンのハンティングスタイルとなるだろう。
このように,コルムの新バージョンは,いろいろな面白い要素がふんだんに盛り込まれており,旧バージョンプレイヤーでも楽しめるのはほぼ間違いないだろう。キャラクターデータが消去されるということは,長時間プレイしているプレイヤーになるほど悲しいことだとは思うが,新バージョンをプレイしてみれば少なからず納得させられる部分があると思う。この部分の細かい話については,明日のインタビュー記事で掲載する予定なので,引き続きお楽しみに。(Seal)
※6月24日,本家韓国版でのアップデートでリンクシステムの改変が行われたことにより,記事も修正いたしました。
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