アメリカンコンクエスト 攻略


 連載最終回では,実際にランダムマップモードを攻略してみよう。対戦カードは「スペインvs.インカ族」を選んだ。その理由は,歴史上実際に戦った相手ということで興味深いうえに,双方ともにプレイしやすく,この2勢力にアメリカンコンクエスト(以下,アメコン)のエッセンスが凝縮されているからだ。このプレイレポートでは,プレイヤーがスペインとインカ族,それぞれの側で1戦ずつの,計2戦のレポートをお届けしたいと思う。
 スペインとインカ族を比較すると,客観的にはスペインのほうが絶対的に強い。しかしこのプレイレポートを読めば,戦い方次第ではインカ族側にも十分勝算があることがわかるだろう。ぜひ参考にしてほしい。スタートオプションは以下の通りだ。
地形の種類
地面の種類
気候帯
初期資源
鉱物
 一つの大陸
 高原
 熱帯
 普通
 普通
  ピースタイム
  勝利条件
  その他のオプション
  敵AIの難易度

 5分
 完全破壊
 標準
 中級



 スペインは砦で育成できる斧槍兵が強力なため,序盤からでも攻撃を仕掛けることが可能だ。とはいえ,相手インカ族の槍兵もなかなか強いし,序盤の国力の伸びもかなりのものなので,ここは腰を据えて防御重視。騎馬士官16cとカノン砲が揃ってから一気に攻めて滅ぼす,という戦略でいくのがよいだろう。長期戦に持ち込めば,強力なユニット群を揃えるスペイン側が圧倒的に有利なのは自明だからである。

(1)序盤:進化最優先だが,最低限の防衛は怠らないように

素早く偵察隊を送り,マップの状況を把握する。鉱山をなるべく早く全部見つけよ
 内政は,連載第2回で解説した方法で基本的には問題ないだろう。石の収集がポイントになるので,石鉱山のアップグレードを急ぐようにしたい。ただし,スペインは「鉄」の重要度がひときわ高い点に注意。主力ユニットとなる斧槍兵の育成に25,騎馬士官16cの育成には40と,消費する機会が非常に多く,不足しがちになるのだ。鉄の鉱山のアップグレードも忘れずに行うようにしたい。

 要塞が建設できるまでは,軍事ユニットは火縄銃兵のみを育成する。すべての建物に火縄銃兵を1人〜2人ずつ入れ,5人ずつくらいでそれぞれの鉱山の護衛に付かせるようにしよう。製粉所と倉庫の近辺など,町の住民が集まっているところも護衛するように。
 敵AIは隙のある地点を容赦なく攻撃してくるので,防衛に関してはできるかぎりまんべんなく,隙のないように兵士を配置したい。もし攻撃されたとしたら,その攻撃された地点が弱い地点ということ。すぐに予備の兵士を派遣して撃退し,その地点の防御を固めるようにしよう。それを繰り返していけば,鉄壁の陣地を構築していけるはずだ。

(2)中盤:焦らずじっくりと,騎馬士官16cとカノン砲が揃うのを待つべし

要塞は敵との国境近く,最前線に建設しよう
 要塞は軍事ユニットの育成施設であると同時に,最強の防御施設でもある。なるべく敵陣に近い最前線に建設しよう。次に強い防御施設は防舎IIだが,これは要塞の中のアップグレード「大砲製造所の建設」を行うことで建設可能になる施設。要塞を2個・防舎IIを3個ずつ,ライン状に建設して国境を固めてしまうのが定石だ。そうしてしまえば,敵は自陣にはほとんど侵入してこれなくなる。
 しかしそれでも,建物同士の隙間などといった,敵の侵入を許してしまう地点は残ってしまうだろう。そういう地点では「パトロール」機能を活用するのがよい。アメコンはすべてのユニットに「視界」が設定されており,ほとんどのユニットは,前方からナナメ前くらいまでしか見ることができない。そのため,背後から近づく敵には反応できないという特徴があるのだ。パトロール機能を使って2地点間を移動させれば,視界の死角の問題は解決する。非常に重宝する機能なので,積極的に使っていくようにしたい。
 中盤からは,斧槍兵と火縄銃兵を交互に育成し,要塞では騎馬士官16cのみを育成していくのが基本となる。騎馬士官16cが溜まってくると,ついつい攻めたくなるものだが,ここは焦らずじっくりと。最低でも100騎単位で運用していくように心がけよう。

(3)終盤:カノン砲で敵の要塞と塔を破壊。
         その他の建物は騎馬士官16cで制圧

 要塞1個あたり5門のカノン砲が製造できるので,要塞が2個あれば合計10門製造できる。カノン砲は1門完成するごとに新しく製造するコストが上昇していくので,バラバラに製造するのは非効率。必ず10門まとめて製造するようにしたい。
 アメコンにおいて,攻撃で重要なのはとかく"スピード"である。建物は無償で修理できるので,少しずつ砲撃していては簡単に修理されてしまうし,破壊・占領した後にもたもたしていると新しい建物を建設されてしまう。そこで,ユニットの種類ごとに役割分担を決め,スピーディに敵陣を制圧していくことが重要になるわけだ。
 攻勢時に使うユニットは,斧槍兵・火縄銃兵・騎馬士官16c・カノン砲の4種類。運用について,以下に軽くまとめてみた。

・斧槍兵と火縄銃兵……主な任務は建物の占領。騎馬士官16cが射撃して空になった建物へと突入させることになる。ほかにも,カノン砲の護衛や,何もない平地に派遣して敵が新しい建物を建設するのを防ぐことなども重要な役目となるだろう。

・騎馬士官16c……要塞と塔以外の建物(住居,倉庫,製粉所など)を射撃して,内部のユニットを倒すのが主な任務。屋外に敵ユニットが多い場合は,遊撃隊として勝機を作り出す役割も担う。

・カノン砲……標的を要塞と塔に絞って破壊するユニット。遠くから砲撃していると命中率の点で効率が悪いので,なるべく近づいて砲撃することが大事。相手に修理する時間がないくらい集中砲火を浴びせる使い方がよい。

 さて,これはほかのヨーロッパ系の勢力にもいえることなのだが,建物内部を射撃するのは,基本的には騎兵の仕事になる。なぜかというと,歩兵の銃兵は立ち止まらないと弾丸のリロードができないのに対して,騎兵は移動しながらでもリロードが可能だからである。しかし建物の占領自体は歩兵しかできないので,両者をうまく連携させて,すばやく建物を制圧できるよう配慮する必要があるだろう。
 ちなみにインカ族は軍事ユニットを育成できる施設が要塞しかないので,インカ族が相手の場合は,要塞さえ新しく作らせなければ勝利は大幅に近くなる。

「パトロール」は,広い範囲の地域を警戒するのに最適 素早く建物を占領するには,歩兵と騎兵の連携が重要だ このように要塞と防舎で国境付近を固め,隙間にはユニットを配置すれば敵は容易には侵入できない

 歴史上では,スペインの前に敗北を喫したインカ帝国だが,本作におけるインカも,スペインと正面から激突した場合は不利な戦いを強いられることになる。とはいえ,今回のリプレイと共に紹介していく「対ヨーロッパ戦略のセオリー」に従って戦いさえすれば,勝機を見い出すことはさほど難しくないはず。戦いのコツを把握すると共に,ネイティブ系勢力を扱う面白さを感じてもらえれば幸いだ。
 ちなみに対ヨーロッパ戦略のポイントをひと言で表わすと,「石炭を断つ」という部分に尽きる。それを踏まえた上で,以下の文章を読んでほしい。

(1)序盤:機動力を生かして速攻。石炭鉱山を押さえる

敵の防備が薄い序盤のうちに,石炭鉱山を制圧してしまおう
 ゲームが始まったらまず,すばやく視界を確保することを考えるのが重要だ。槍兵,または弓の射手を数人育成してマップの各地に送り,鉱山,特に石炭鉱山の位置を確認する。既に敵の石炭鉱山が建設されているかどうかに関わらず,その一帯に速やかに兵士を送って制圧するようにしたい。ただ,石炭鉱山にばかりに気を取られていると,本陣を襲われて滅亡……ということにもなりかねないので,本陣の防御は十分に固めておくこと。序盤の時点では,敵の本陣に手をつける必要はまったくないだろう。
 石炭鉱山の近辺から敵ユニットを排除できたら,付近に塔を建設してしまうのがよいだろう。これでひとまず優位を確立できるからだ。軍事ユニットは,槍兵か弓の射手を育成。槍兵のほうが数が揃うので序盤は都合がいいが,後々のことを考えると,弓の射手のほうが便利なので,このあたりのバランスは慎重に。ただ金に余裕があるのであれば,弓の射手のほうを育成していくのがよいだろう。なお弓の射手の数を揃えるためにも,要塞2個め(木3000,石3000)の建設はできるだけ急ぐようにしたい。住居IIよりも先に建設してしまうくらいがよいだろう。

(2)中盤:攻撃目標は敵の要塞

弓の射手と吹矢の戦士は比較的士気が高く,対ヨーロッパ戦では頼りになる
 本作では,建物内部から射撃するときには射撃コストを必要としないのが基本。しかし例外が一つだけあって,それがヨーロッパ系勢力の要塞である。この要塞だけは,一発あたり鉄10/石炭10の射撃コストが必要になるのだ。しかしこれを相手側の視点で考えれば,要塞に攻撃させるだけで,ヨーロッパ系国家の鉄と石炭の消耗を強いることができるわけで,まさに戦略上で注目したいポイントだといえる。
 石炭鉱山を全部押さえていれば,スペイン側の石炭収入はゼロ。そこで敵要塞を執拗に攻撃し要塞に撃たせていけば,その敵の石炭の所持量を減らしていくことができるという寸法。これは対ヨーロッパ戦略の基本中の基本だといえる。
 石炭が尽きて要塞が沈黙してしまえば,もはやただの木箱も同然。あとは弓の射手を大量に送って要塞内部のユニットを倒し,占領することができるのだ。またここで大切なのは,要塞を占領した後で爆破してしまわないようにし,きちんと修理すること。要塞は近辺にいるユニットの士気を高める効果があるが,それは奪った敵の要塞でも例外ではない。敵の要塞を占領・維持できれば,士気の面で大いに有利になれるのである。
 中盤では,弓の射手と吹矢の戦士を交互に育成。弓の射手は建物攻撃用,吹矢の戦士は建物突入用として扱っていく。弓の射手には,攻撃力と防御力のアップグレードをこまめに行い,野戦でも有利に戦えるようにしておきたい。

(3)終盤:鉱物資源を断てば敵は自滅する

石炭の供給を断ってしまえば,敵の要塞は攻撃できない。あとはこちらの思うままに攻め立てよう
 対ヨーロッパ戦術(石炭封鎖)をしっかり実施しているならば,終盤までにはかなりの優位を確保できているはず。しかし油断せずに,最後の"詰め"を行っていこう。
 石炭を断つことができても,敵の本陣周辺には,金/鉄/石の鉱山が一個ずつまだ残っている。これらが残っている限り,スペイン側は,斧槍兵と騎馬士官16cを揃えて反撃してくるので注意しなければならない。
 逆をいえば,本土付近を攻撃して資源を完全に断たない限り,いくら敵のユニットをたくさん倒して建物を占領したとしても,すぐに盛り返されてしまうことを意味する。そのことからも勝負の"詰め"の段階では,「敵のユニットを倒す」ことよりも,残った鉱山を破壊/制圧することに集中していくのがよいだろう。
 攻撃時の主力は,弓の射手。インカ族の弓の射手は騎兵に対する恐怖を持っておらず,騎兵の攻撃によってパニックになることがない。この点は,騎馬士官16cを擁するスペインと戦うときには非常に大きなメリットだろう。200人〜300人程度でまとめて使い,建物に向かって一斉射撃を行えば,建物内部の敵をあっという間に一掃できるだろう。
 敵の鉱山を全部破壊することに成功すれば,間もなく敵は軍事ユニットを育成できなくなるはず。そうしたら,あとは残ったユニットを掃討すれば勝利となる。

建物突入用のユニットは,町の住民でも構わない。ただしその場合は護衛をつけること 敵の要塞を奪取できれば前線に拠点を得たことになり,士気の面でかなり有利に

コラム
〜銃弾と弓矢を発射する建物の違い〜
銃弾を発射する建物の近く,とりわけ敵が攻めてくる側には,味方ユニットを置かないようにしよう
 アメコンでは,建物はすべて防御施設として機能し,内部に籠もって敵を迎え撃つことができるが,その攻撃手段は,銃と弓矢の2種類がある。この両者の違いはどこであろうか。

 一つは,攻撃力の違いである。銃のほうは,攻撃力は建物によってまちまちである。例えば町の公会堂は50で,かじ屋は100,防舎Iは20など,建物の種類によって大きく異なってくるのだ。さらに銃兵の場合,内部により多くの銃兵を駐留させていくことで,攻撃力を上昇させていくことができる。内部に籠もるユニットすべてを銃兵で占めると,町の公会堂/かじ屋/防舎Iならば,それぞれ120/180/145まで攻撃力がアップするのだ。
 一方,矢を発射する建物は,その攻撃力は200で固定。内部にどのユニットが入っても攻撃力に変化がない。ここは大きな違いといえるだろう。

 またもう一つの違いとしては,命中精度の違いがある。銃は命中精度が悪く,敵が射程内に入り次第撃ちまくるので,ターゲットに必ず当たらないばかりか,味方ユニットにも銃弾が当たることがある。その代わり,動いている敵ユニットにもダメージを与えやすいという利点があるのだ。
 逆に弓矢は命中精度が高く,静止している敵ならほぼ100発100中という長所を持ち,なおかつ味方に当たることもない。ただその代わりに,走っているユニットには命中させにくいというデメリットがあり,騎兵などを相手にする場合には苦戦を強いられてしまうのである。
 どちらにも一長一短あるわけだが,ランダムマップでは,建物を巡る攻防がゲームの大きなポイント。両者の違いを正しく理解し,うまく使い分けられるようにしておきたい。

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