4Gamer:
公式サイトによると,“闘技場”が追加されるそうですね。これは何をする場所なのでしょうか? PvPかな? とは思うのですが,そもそもこのゲーム,戦争という大規模なPvPがウリになっているだけに,不思議に思いました。
前島氏:
FE0でもやはり,50vs.50の戦争が最大のウリです。でも,戦場に入れなかった場合,ちょっとしか人数が居ない場合などに,5vs.5ぐらいで戦える小規模なスペースを用意しようと考えたんです。これが闘技場です。ルールも従来の戦争と同じようなものだけでなく,例えば建築物はなしで戦うとか,小さなフィールドで少人数……一騎討ちも面白いかも知れませんね,そういうことをするための場所です。
4Gamer:
誰かがルールを設定して,対戦ルームを立てるような感じですか?
前島氏:
そういうイメージです。また,現在は同じ国の兵士同士では戦えませんが,これにも対応する予定です。
マッチングにしても,レベル制限を設定できたり,参加可能クラスを限定できたりといった形で,フェアな戦いを実現できるようにしたいと考えています。“部隊対抗の競技会”みたいなイベントも開催できるかもしれませんよ。
4Gamer:
その闘技場では,ほかの国の人達と戦えるんですよね?
前島氏:
その予定です。
4Gamer:
となると……あれ? 闘技場って,ワールドマップ上のどこに作られるんですか?
前島氏:
それはまだ秘密です(笑)。
4Gamer:
そうですかぁ……。これも秘密なのかもしれませんが,先ほど見せていただいた資料に,「カジノ実装」なんて予定が書いてあったんですが,これは一体?
前島氏:
実は,戦争から離れて楽しめるリゾート/アミューズメントパークみたいな場所を作ろうという計画があります。そしてそこに,カジノや賞品がもらえるミニゲームなどを設置して遊べたら面白いかなと思いまして。
4Gamer:
ふむ……。それはつまり,そのためのゾーンというか街が増えるということですか?
前島氏:
そうなりますね。いままでの世界って,各国の首都と戦闘用のフィールドしかなかったんですよね。敵国の首都には入れませんから,他国のプレイヤーとは戦うことでしか交流できないような状態でした。そこで出てきたアイデアが,闘技場やカジノなんです。で,そういうものを設置するため,だれでも入れる街,中立の街を作ってしまおうと……こう言うと闘技場もその街に設置する予定だってことがバレバレですね(笑)。
4Gamer:
バレバレです(笑)。実装時期は……?
前島氏:
未定です。せっかく街を作るので,カジノや闘技場だけでなく,うまい人同士の戦闘をムービーで見られる“シアター”など,いろいろな建物と機能を追加していけたらいいなぁ……と考えています。
4Gamer:
なるほど。どこに街ができるんですかねぇ……。ワールドマップ上に空いている土地があったような気もしますが,詮索はしないでおきます。
4Gamer:
このほか,何か変更される要素などはありますか?
前島氏:
プレイヤースキルに合わせて,称号が得られるようにしたいと思っています。例えば戦争のとき,クリスタル集めをがんばる人は「クリスタル集めの名人」のような称号がもらえたり,建物を壊すのが得意な人にはまたそれが一目で分かるような称号が得られたりですね。
4Gamer:
「レッキングクルー」とか。
前島氏:
それはないです(笑)。
前島氏:
ほかにも,装備品を購入するとき,試着をして装備時の外見を確認できる機能を付けます。ゲーム内の購入画面の横に,試着用ウインドウが追加されるような感じです。いろいろなコーディネイトも試せるので,衣装選びはしやすくなると思いますよ。
4Gamer:
実費購入できるアイテムも試着できるんですか?
前島氏:
FE0では,実費購入用のアイテムもゲーム内で購入できますから,それも可能です。
4Gamer:
え,では決済処理もゲーム画面からできるということですか?
前島氏:
そうです。
4Gamer:
じゃあ,事前に公式サイトのショッピングモールにログインしてアイテムを購入して……といった手順は必要ないんですね。フルスクリーンのゲームだと,ほかのアプリケーションを立ち上げるといろいろトラブルも発生しがちですし,かゆいところに手が届いているような印象です。
前島氏:
あ,FE0ではクライアントのウィンドウ化にも対応しているんですよ。FEはフルスクリーンのみでしたが。
4Gamer:
そうなんですか!
「プレイ中に知人からメッセンジャーが飛んでくるとゲームが落ちる」みたいな話もありましたもんねぇ。
前島氏:
外部ツールでコミュニケーションをとりながらプレイする人も多いでしょうから,ウィンドウ化は待ち望まれていた機能ではないかと自負しています。
4Gamer:
Skypeでボイスチャットをしながら戦争をするような人もいるかもしれませんね。
ところで,フィールドにいるモンスターに関しては何か変更はありますか? FEは「モンスター狩りでもレベルアップできるが,基本的には戦争に参加したほうが成長は断然早い」というバランスでしたよね。
前島氏:
そこはまだこれから手をつけるところですが,「戦場にうまく入れないときは狩りをすることでもレベルアップはできるよ」といった程度のバランスにしたいとは思っています。
また現状だと,モンスターの動きが単調で狩りがあまり面白くないですよね。そこは手を入れていきたいところです。そういう要望もたくさん届いているんですよ。
4Gamer:
そんな要望には,どういう形で応えるのですか?
前島氏:
貴重なアイテムを落とすボスモンスターを用意するとか,先ほどもお話ししたように世界観やストーリーを生かしたクエストと絡めるなどして,単調さを解消するつもりです。
狩りのときだけパーティボーナスをつけるとかそういうやりかたもありますしね。「今日は仲間内でチャットしながら狩りしようか」みたいな楽しみ方もできるゲームにしたいです。
4Gamer:
このあたりのアップデートは,時期的にはいつ頃になるのでしょうか。
前島氏:
FE0で一番のウリは,やっぱりPvPなんですよね。プレイヤーからの要望も,PvPのバランス調整を求める声がはるかに多いですし……。
4Gamer:
つまり,優先順位としては少し低め……ということですね。
4Gamer:
これもちょっと気になっているのですが,1アカウントで作成可能なキャラクターの数は何体になりますか?
前島氏:
クラスが三種類あるので3体にする予定です。
4Gamer:
既存のプレイヤーが心配していることの一つに,無料でアカウントが作れると,敵国にキャラクターを作ってわざと死んだり怠けたりすることで本当の自分の国を有利にする,みたいなことをする人が出てくるのではないか,というのがあると思います。こういった声に対しては,どうお考えですか?
前島氏:
当然ながら,対策は考えています。それもβテストでは,実際にその対策がどのように機能するのかを試してみて,さらに練り込んでいく予定です。
4Gamer:
具体的には?
前島氏:
例えば,敵国のキャラクターでログインして,わざと壊されやすい場所に建物を建てるといった妨害行為があるんですね。ただ,こういう行為をするキャラクターのレベルは低いことが多いんです。なので,クリスタルを掘れる量を低レベルの間は制限して,ほかのプレイヤーからクリスタルを分けてもらわないと建物を建てられないようにしたりといったことを考えています。
4Gamer:
ああ,なるほど。MMOならではの,コミュニティ性を利用するわけですね。
前島氏:
ええ。ほかにも,低レベルキャラクターが死亡したときの重要度を調節するようなことも検討しています。
既存プレイヤーの中には,無料化によって“荒れる”ことを心配している方が多いようです。キャラクターを作るのに料金がかかるワールドを作ってほしい,基本無料はやめてほしいといったご意見もいただいています。ですが,こちらとしては基本無料という線は外したくないんですね。なんとかシステム面でフォローして,既存プレイヤーも満足していただけるような形にしたいと思っています。
4Gamer:
ぜひ,がんばってください。
それでは最後に,新たなスタートを切るFE0に期待している人たちへ,メッセージをお願いします。
前島氏:
クライアントも基本プレイ料金も無料ですから,これまでにFEに興味を持っていたという人は,ぜひともプレイしてください。そして一緒にFE0を盛り上げていきましょう。私達も,全身全霊を持ってプレイし,運営していきます。もちろん皆さんからの叱咤激励も,全身全霊で受け止めていきます。
運営が移管されるということを,ネガティブなイメージで受け止めている方もいると思いますが,ゲームをより面白くするための,ポジティブなものなんです。それを分かっていただけるように,精一杯がんばっていきます。どうぞご期待ください。
今回の運営移管に際しては,ただ単に課金体系が変更になるというだけではなく,それに合わせてさまざまなな変化が起こるようだ。基本プレイが無料になれば,集まってくるプレイヤーの性質が変化する。
運営サイドはそれを見据えて,イベントやアップデートを計画する。どうやらFE0は,GMキャラクターを中心としたライブイベントや,小刻みなアップデートを頻繁に繰り返すゲームへの変化を企図しているようだ。
本作は,似たタイトルがあまりない,独特のゲームである。そこに,“よく見かけるMMORPG”のような運営スタイルをそのまま適用していいものかどうかは,いまのところわからない。
ゲームバランスに大きく関わるようなスキルの追加や効果変更,あるいはクラスの追加などが,高頻度で行われることに対しては,古くて頭の固い筆者のようなゲーマーはつい心配になってしまう。
しかし反面,慎重になりすぎて身動きがとれなくなってしまうよりは,軽快で大胆な決断により物事に変化を与えていったほうが良い結果を生むことだってあるのも確かだ。
いずれにせよ,基本プレイが無料になることでプレイヤーは増えるはずだし,オンラインゲームは基本的には人が多いほど楽しいものだ。そのような“場”を作り上げたあとに,いかにうまく舵取りをしていけるか? ゲームポットの手腕が問われるのは,まさにそのタイミングだろう。(2006年10月24日収録)