さて，本作は「BEATMANIA」や「Dance Dance Revolution」といった一連のリズムアクションゲームとは，ゲーム性が異なるものの，音楽で遊べるという点では共通している。となると，どんな楽曲でゲームを遊べるのかも気になるところ。というか，それこそがポイントであるとも言える。

 

 

4Gamer：
　このゲームで一番気になるポイントって，やっぱり音楽だと思うんですよ。どんな音楽で遊べるんだろう？　という。

 

島嵜氏：
　そこはですね，現在のところインディーズレーベルや，複数の大手レーベルと提携交渉中です。

 

4Gamer：
　となると，ヒットチャートをにぎわすようなJ-Popで遊べるようなことも？

 

島嵜氏：
　やっぱりそういう風にしていきたいですね。まだ具体的に発表できる段階ではないんですが……。

 

4Gamer：
　最近，日本でもK-Popが人気を集めたりはしていますが，やっぱり一番聞き慣れたもので遊びたいと思う人のほうが，圧倒的に多いと思いますし。

 

高井氏：
　ええ。K-Popとかインディーズも悪くはないんですが，そっちだけに偏ってしまうと，どうしてもメジャー感が出なくなってしまうので，大手レーベルともきっちり組んでやっていこうと考えています。

 

島嵜氏：
　ダンパラでは，ゲームをプレイしていなくても，楽曲をフルサイズで聴ける「ミュージックステーション」というモードを用意しているので，ジュークボックスのようにも使ってもらえるかもしれません。

 

 

4Gamer：
　それでヒット曲が楽しめたりすると，画期的な話ですね！　……あれ？　ダンパラでは，ゲーム内での楽曲販売というのは行わないんですよね。

 

島嵜氏：
　ええ，行いません。友達と一緒に同じ楽曲で遊ぶには，双方が同じ楽曲を購入しておかないといけないような状態だと，ゲームで遊ぶときのハードルが高くなってしまいますからね。

 

4Gamer：
　ということは，どんな大手レコード会社の楽曲であろうとも，全部無料で遊べてしまうし，ダンパラを起動しておけばジュークボックスとしても使えてしまうと。でも，楽曲使用料や著作権料の支払いを，全部御社が負担する形になるわけですよね。

 

高井氏：
　そうですね（苦笑）。基本的には，アバター用のファッションアイテムの売り上げでビジネスを成り立たせるように考えています。

 

島嵜氏：
　当社としては，弊社が多少リスクを負う形であっても，プレイヤーの皆さんにはダンパラを好きな曲で遊んでもらいたいんです。そして，ダンパラも好きになってもらいたいなと。

 

4Gamer：
　好きになったら，アイテムも買ってね！　ってことですね。

 

島嵜氏：
　それが理想的な展開ですね。

 

高井氏：
　基本的には無料で遊べるということで，とにかく大勢の人に集まってもらえれば，メディアとしての力も持てると思うんですよ。ゆくゆくは，ダンパラでCDのプロモーションができるような形にしていきたいですよね。そうやってレコード会社とも信頼関係を築いていくことができれば，より多くの楽曲を提供してもらえるでしょうし。

 

4Gamer：
　となると，ゲーム内広告で収益を成り立たせるようなビジネスモデルも考えているのですか？

 

高井氏：
　将来的な可能性については否定しませんけど，日本のオンラインゲーム市場の規模を考えると，まだそこには至っていないと思うんですよ。それよりもまずは，集客するということを考えていきたいです。例えば，ダンパラでメインで扱った曲がヒットして，その曲を聴きたいからということでまたダンパラのプレイヤーが増えて……という形がうまくできれば，そこからさらなるビジネスチャンスが広がると思うんです。

 

4Gamer：
　では，その流れが完成してから，有料広告も考えようかな？　というぐらいですか。

 

高井氏：
　まさにそういうことですね。

 

4Gamer：
　NEXONポイントを使って，ゲームの中から気に入った曲のCDを買えるようになったりしても面白いですよね。

 

高井氏：
　そういう形にまで持って行ければ最高ですね。

　本作の特徴の一つに，キャラクターにさまざまな服装をさせて楽しめる，ファッション性というものも挙げられる。「Myアイテム」（インベントリ）は無制限で，その気になれば全アイテムを保持することも可能だというから，着せ替えが好きな人ならば相当嬉しいはずだ。
　とはいえ，カジュアルゲームでアバターアイテムを購入できるものは少なくない……どころか，かなり多い。アバターという点に限れば競合するタイトルが多い中，本作のファッション性については，どういった層をターゲットにし，どういったアプローチをしていくのだろうか。

 

 

4Gamer：
　ダンパラのターゲットは，どのあたりなのでしょうか？

 

島嵜氏：
　15〜22歳ぐらいの女性がメインターゲットです。

 

4Gamer：
　けっこう思い切ってますねぇ。

 

島嵜氏：
　そうですね，今までゲームをほとんどやっていない層だと思うんですよ。だからこそ，新たなライト層として開拓していきたいんです。

 

4Gamer：
　これまでにも，さまざまなゲームが狙ってはいるものの，あまり成功していない層でもありますよね。ですが例えば，着せ替えができるアバターという点では，それよりもさらに下の層の女の子達の間で，「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」がはやっていたりするわけですから，むしろそのあたりを狙うほうが親和性は高いとも思うのですが。

 

島嵜氏：
　もちろん，そこも狙っています。ただ，先に下を狙ってしまうと，上がついてこないんですよね。ですからまず，上を狙って，そこから下が付いてくるような形になるといいなと。

 

4Gamer：
　下の層には，オンラインゲームの存在を知らせるところから始めなければいけないわけで，プロモーション的な工夫も必要になりそうですよね。

 

島嵜氏：
　現時点では詳細をお話できないんですが，今までにないアプローチの仕方で，15〜22歳ぐらいの女性に興味を持ってもらおうと計画しています。そのプロモーションで，さらに下の層も興味を持ってくれたらいいな，と。

 

4Gamer：
　ほう！　それは，秋葉原でイベント……とかじゃないですよね（笑）。

 

島嵜氏：
　違います（笑）。まずは公式サイトに来ていただきたいというのがあるんですよ。女性が公式サイトに来るような，ちょっとしたきっかけを。

 

4Gamer：
　それがどんな形なのか，凄く気になります。

 

高井氏：
　おそらく，4Gamerさんが今までに見たことがないような形のプロモーションになると思いますよ（笑）。「ダンパラ」っていうフレーズを定着させつつ，最終的には「ダンパラといえば音楽が聴けるダンスゲームなんだ」とイメージしてもらえるようなプロモーションプランを考えています。

 

4Gamer：
　ますます分からないですねぇ……。女子中高生に人気のダンスユニットなんかを起用しての展開とかですか？

 

高井氏：
　それも考えました（笑）。今のところ，それをメインにやっていく感じではないですね。一部，絡むかもしれませんけど。

 

4Gamer：
　うーん，気になります。

 

高井氏：
　オンラインゲームのプロモーションって，いま過渡期にきていると思うんですよ。だからこそ，いい意味で遊べる時期じゃないかな，とも考えてます。あんまり，ゲームっぽくないような。

 

4Gamer：
　そういう道ってコンシューマゲームが通ってきたような気がするんですよね。でも，広告だけは認知されたけれど，ゲームは……っていうケースも少なからずあったような。

 

高井氏：
　ただ今回の場合，音ゲーみたいなものがすでにある程度，認知されている状況ですよね。つまり，ゼロからのスタートではないんですよ。ヒントはこれぐらいですね。

 

4Gamer：
　分かりました，悩んでおきます（笑）。