|
|
![]() |
| 旧敵Skaarj。近くまで来るとエネルギー弾を連射してきてあまり本体が見えないので,遠距離からスナイパーライフルのスコープで覗いて撮影した。相変わらず,やる気満々の異星人だ |
本作で驚かされたのは,今や当たり前となったオンライン対戦モードを完全に撤廃してしまったこと。シングルプレイでのステージ攻略モード一本に絞り,ストーリーや数々の仕掛けを楽しんでもらおうという設計になっているのだ。
まあ,対戦モードがないのは当然といえば当然で,対戦に特化したスポーツ系FPS「アンリアルトーナメント」シリーズが分家として存在しており,本家で無理して対戦モードを搭載する必要はないのだろう。対戦モードをつけるぐらい手間はかからないだろうと思う人もいるかもしれないが,対戦用のステージはシングルプレイ用のステージを100%そのまま流用できるわけではないし,練習相手となるBOTの思考ルーチンを搭載する必要もある。それやこれやでバランス調整に時間を取られ,ステージ攻略のほうがおろそかになっては意味がない。よって,シングルプレイFPS好きを自認している筆者的にはこのシングルプレイ専用という作りは大賛成。それだけステージ攻略が期待できるというものである。
前作や追加ミッションパック「Return to Na Pali」は,危険極まりない異星人Skaarjと人類が対峙していた"ストライダー戦争"の真っ最中を舞台にしていた。アンリアルIIでは,その戦いも終結して8年が経過した,再び人類が宇宙に広がり始めた時期を舞台にしている(具体的には,24世紀)。
外部に敵がいなくなると,人間同士で争い始めるのが人類の困ったところ。宇宙探険と新たな惑星開拓で力をつけた巨大企業は,中央政府の影響力が弱まってきたこともあって,辺境宙域で傭兵による軍隊を組織し,軍事力を使って権力を掌握しつつあった。
そんな"力こそが正義"という時代に,プレイヤーはTCA(テラン植民機構)の執行官ジョン・ダルトンとして,中央政府の法執行を担って戦っていくことになる。
ちなみに執行官というのは,アメリカの西部開拓時代の保安官的なイメージの役職。辺境宇宙のパトロールを任務とする警察的なTCA内でそれなりの立場(署長クラス)の人間なんだけど,人手不足なもんだから,ほとんど一人で体を張って戦っているのだ(前作の主人公の囚人とはまったく関係がない模様)。
![]() |
| クラウドプリーザーと呼ばれる,M700 12G セミオートマチック・ライオットショットガンによる攻撃シーン。これはサブ攻撃で,着弾箇所のあちこちが火を噴いている |
FPSというと,仕掛けをクリアしながら敵を次々と撃ち倒し,先へ先へと進んでいくイメージが強いが,本作はそうした従来のステージに加え,拠点防衛や味方の援護なども用意されている。
異星人が作り出した謎の工芸品"アーティファクト"を探すために,異星人(Skaarjも再び出てくる!)や敵対する傭兵などを倒しつつ進むこともあれば,味方の技術者の作業を守るために,基地の出入り口に砲台やバリアを設置して敵の侵入を防いだり,悪党どもの拠点に潜り込んで爆破活動を行ったりと,ステージは実に多彩である。オラオラと一辺倒に突き進むわけではないから多様な緊張感を味わえ,実に飽きがこないのだ。
ただ,ちょっと気になったのは,なかにはすぐに終わってしまう"短い"ステージもあるということ。なにも長ければいいというわけでもないが,拠点防衛など緊張するステージなどで次の敵はまだかまだかと待っていたら,実は終わりだった,なんてこともあった。まあ,その来るか来ないか分からないという緊張感が続いて,結局来ないことがあるからこそ,来ちゃったときがたまらないわけだ。
ミッションとミッションの合間は,母艦のAtlantis内で,登場人物中紅一点のAida(情報担当)から次の任務のブリーフィングを受ける。なお,この会話は選択肢の中からセリフを選ぶシステムとなっており,選択の仕方によっては若干反応が異なったりする。さらにミッション自体のクリアの仕方によっては,ストーリーも変化。同じステージのはずなのに,展開が少々異ることがあるのだ。
前作で筆者が最も惹きつけられたのは,ステージの"美しさ"と"広大さ"。アンリアルIIでは新たな描画エンジンが搭載されており,これらの点も大いにパワーアップしている。ステージの景観は,やや単調だった前作とは打って変わって,かなり多種多様になった。陽光がさんさんと降りそそぎ,流れる水が目に優しいステージもあれば,"狂人的天才デザイナー"ギーガーの作品を思わせる,不気味な景観の異星人の建造物内のステージもある。そのほか,SFテイスト満載の未来的な人類の建物内のステージや,惑星自体が一つの生き物のようなとても気色の悪いステージ,巨大生物の白骨が転がる荒涼とした砂漠のステージなど,実に多彩なのだ。ステージが変わるたびに景観があまりにもガラリと変わるので,筆者などはスタート時は見とれてしまい,ゲームを進めずにわざと関係ないところへ足を進めてしまうほど。実に冒険心をそそられるのである。
また,各ステージが「いや」というほど広いのだが,いずれも屋内と屋外の継ぎ目がない点が,改めて凄いと思う。いちいち建物の出入りでロード,なんてことはないのだ。また,平面的に広いだけでなく,高さがある点も忘れてはいけない。高所へ登ったときに見下ろすと,その高さから来る恐怖感はかなりのものだ。男性だけが分かる表現で申し訳ないが,もう,とある部分がキューッときてしまう(笑)。高所から飛び降りて,地面に着くまで数秒かかるゲームなんて,そうそうないはず。この呆れるほどのステージの広大さを,ぜひとも自分の手で実際に感じてみてほしい。
![]() |
| そのほかの武器をいくつか紹介。左上は近〜中距離用途のコンバットアサルトライフル。右上は近距離で絶大な威力を誇る火炎放射器。左下は長距離ならお任せのスナイパーライフルのスコープ画面。右下は通称ショックランスと呼ばれるエイリアンのエネルギーライフルだ |
FPSのレビューで外したら怒られるものといえば,武器。続いては,武器について触れてみよう。
ハンドガン,アサルトライフル(サブマシンガン),グレネードランチャー,ロケットランチャー,ショットガン,火炎放射器,スナイパーライフルといったFPSでお馴染みの武器に加え,拠点防衛用に設置できる自動銃座やミサイル砲台,そして(武器ではないけど)バリアなどが登場する。
また,異星人の武器も入手可能だ。異星人の武器の中には,かなりビジュアル的に奇妙なものもある。弾倉というかエネルギーパックというか,とにかく再装填時に使う予備のパックが,シュルシュルっと多足を動かして銃本体にくっつくという武器があるのだ。この"気色の悪さ"は,つい敵を見ずに手元を見てしまったりするほど新鮮である。
ともあれ,登場する武器の多くはFPSで一般的なもので,使い勝手もメイン攻撃に関しては可もなく不可もなくといったところ。だが,ポイントはサブ攻撃にある。さすがに前作がサブ攻撃システムの元祖だけあって,本作でもひと工夫が加えられているのだ。
個人的に最も気に入ったのは,ショットガンのサブ攻撃。メイン攻撃に比べてサブ攻撃は散弾の拡散範囲が広くなるのだが,オマケ(?)として着弾箇所に火がつくのが特徴である。この二次的な火炎攻撃も含めると近距離での殺傷力は抜群で,屋内など狭い空間が戦場の場合は,この武器だけあれば,まず問題ない。
もう一つ面白かったのが,火炎放射器。サブ攻撃は,直接的な攻撃手段ではなく,燃料のナパームを散布するのだ。要するに,あらかじめ床などにトラップ的に散布しておき,敵がその上を通る瞬間に,銃弾を撃ち込むなどして着火するというわけである。どんな形でトラップを仕掛けるかは,ぜひともご自分で考え出していただきたい。
というわけで,「アンリアルII」の魅力が,少しでも伝わっただろうか。とにかく,美しくて広大なステージを見るだけでも損はしないはずだ。とくに前作や前作の描画エンジンを利用したゲームをプレイしていない人なら,驚くことは確実である。
アナタも,悪党や敵対異星人を殲滅しつつ,異星の観光名所巡りをしてみてはいかがだろうか。目を見張る衝撃を受けたかったら,ぜひプレイすることをお勧めする。
|
■発売元:サイバーフロント Unreal II - The Awakening (C)2002 Epic Games Inc. Raleigh, N.C. USA Unreal and the Unreal logo are registered trademarks of Epic Games, Inc. ALL RIGHTS RESERVED. Unreal II - The Awakening was created by Legend Entertainment, an Infogrames studio and was manufactured and marketed by Infogrames, Inc. New York, NY, under license from Epic Games, Inc. The Atari trademark and logo are the property of Infogrames. All other trademarks are the property of their respective owners. |
![]()