ロックマンDASH2 −エピソード2 大いなる遺産−

Text by UHAUHA
20th Dec. 2002

ロックマンDASHシリーズ最新作が登場

有名声優を起用したムービーシーンが随所に挿入される。ムービーシーンだけでもかなりの長さで見応えがあるぞ

 1987年に任天堂のファミリーコンピュータで産声をあげた"ロックマンシリーズ"。それ以降,さまざまなコンシューマ機で「ロックマンワールド」「ロックマンX」「ロックマンEXE」と次々と発売され,今なお人気のシリーズだ。アクション性を重視しており,また可愛いいキャラクター達が登場するということもあって,どちらかというと低年齢層向けソフトの印象が強いが,今年で生誕15周年という長い歴史が物語っているように,社会人の中にも「プレイしたことがある」「実は今でもプレイしている」という隠れファン(!?)が意外と多いのだ。
 そんなロックマンシリーズは,PCでは「ロックマンXシリーズ」「ロックマンDASH」がメディアカイトから発売されている。そして産みの親のカプコンからは,ロックマンDASHシリーズ最新作「ロックマンDASH2 −エピソード2 大いなる遺産−」(以下,DASH2)が発売された。ロックマンDASHのゲームシステムをそのままに,ロックとロールとの新たな冒険が始まるのだ。

 はるか未来,大陸のほとんどが海に沈んだ地球で,人々は残された大地で独自の文化を形成し,生活を営んでいた。そんな人々を支えるのが,ディグアウター達である。彼らは古代文明の遺跡を発掘し,そこからディフレクターと呼ばれるエネルギーを採集する。ロックとロールは,そんなディグアウターを生業(なりわい)とし,「大いなる遺産」の謎を追いかけ世界中を旅していた。行方不明であるロールの両親に,いつか再び会えることを願って……。
 多くのディグアウター達の夢である「大いなる遺産」だが,それが何であるかを知る者は誰もいない。ディフレクターに変わる,無限の力を持つ新エネルギーだという説が一番有力であるのだが……。

 本作では,いよいよこのストーリー後半の山場を迎えることになる。前作をプレイしたことのある人ならば気になるだろう"ロックの出生の秘密"も判明し,さらに意外な展開が待ち受けている。初めて本作をプレイする人は,"あの有名アニメ映画みたいだ"という印象を持つだろう。実は筆者もその一人だ。ストーリー展開,有名声優を使った挿入ムービーなどを見ていると,凄く似ている……と感じてしまった。もう少しハッキリいってしまえば,ロックは"パズー"で,ロールは"シータ"の声。空賊も登場するし,竜の巣みたいなのは出てくるし……。

ダンジョン以外でも戦闘が起きる。これは敵が移動して柵が破壊されてしまったところ。ボスクラスの敵は画面上部にエネルギーメータが表示される ダンジョン内には宝箱が置いてあることもあるが,近づいたら敵だったなんてことも。破壊してディフレクターを手に入れよう ゲーム中にミニゲームをプレイできる。ポクテ村のセクシーな村長さんの漢字テスト100問に挑戦中。はずかしながら,漢和辞典が必須である……

映画の主人公になった気分でアイテム集めに精を出せ

多用するロックオンは,射程距離が短いとロックオンマーカーが赤く表示され,攻撃してもダメージを与えられない。必ず黄色のときに攻撃しよう

 ロックマンDASHは"フリーランニングRPG"と表現されているが,これは3Dシューティングをベースに,RPG要素を盛り込んだものと考えてほしい。ストーリーに沿ってゲームが展開し,パズル的要素が強いダンジョンを歩き回ったり,街の人との会話や売買,さまざまな課題をクリアしていくことにより,新たな話の展開へとつながっていく。シナリオはそれほど難しいものではなく,次にやるべきことはすぐ分かるようになっている。
 ゲーム開始から終了まで,挿入ムービーを含めてすべて3Dで描かれており,またデータロードでゲームが止まってしまうこともなく(フェードアウトでうまく処理している),あたかも映画を観ているような感覚でプレイできるのが気持ちいい
 メインシナリオ以外にも,制限時間のあるミッションやミニゲームなどが用意され,プレイヤーを飽きさせないゲームシステムになっている。笑い系のネタ,セクシー系のネタ(!?)なども採り入れられ「これカプコンが作ったゲームなの?」と思わせるような意外な一面も見せてくれる。

 単なるアクションゲームのワクに収まらない面白いポイントが,集めたアイテムをロールに渡すと装備などを開発してもらえるところだ。例えば"ロケット花火"と"追尾攻撃"で"ホーミングミサイル"を,"壊れた掃除機"と"強力モーター"で"バキュームアーム"を作ってもらえる。なお各アイテムは決められた場所でしか入手できないので,ゲームが進まないと開発できないアイテムもある。アイテムは,"スーパーボール"や"伝説のピカピカぼう"などといった,ユニークなネーミングの材料ばかりで,ゲームに面白みを持たせている。
 ところで特殊武器の交換やパワーアップなどもロールにお願いすることになるが,これには膨大なゼニー(お金)が必要になってくる。「ちょっとロールちゃん!! ボッたくってんじゃないの?」なんてレベルのゼニーが必要になることもあるので覚悟されたし。DASH2では経験値によるレベルアップがない代わりに,ゼニー(お金)で自身を強化していくわけだ
 ゼニーはパーツ購入などで必要になってくるのは当然として,特殊武器の強化,カンパ,予定外出費(笑)など,何かと必要な場面が多く,仕事でもあり趣味でもある遺跡探検で入手するディフレクターを集め,せっせと所持金作りに精を出さなければならない。敵を倒すとさまざまな大きさのディフレクターが飛び出し,それを集めると自動的にゼニーに換算される。出現したディフレクターや回復アイテムは一定時間が過ぎると消えてしまうので,急いで集めよう。また冒険中にさまざまな場所(ゴミ箱など)を調べるとゼニーやアイテムが入っていることもあるので,気になる部分はどんどん調べておこう。

マップの移動中にも敵と遭遇する。序盤は装備も揃っていないので慎重に戦わなくてはならないが,移動しながらロックオンで攻撃すればなんとかなるだろう 何度か登場するミッション系のモード。条件を満たさなければ先に進めない。連続してミッションをこなす場合もあり,いかにダメージを少なくクリアするかがキモ フル3Dゲームだけあって,敵が上空から攻撃してくる場合もある。こんなときには射程距離を伸ばすバスターパーツを装着すると楽だ

少々ややこしく,慣れると快適な妙な操作感

 ほかの3Dアクションシューティングゲームと比べて使用するキー(ボタン)が多く,独特の操作体系となっているため,最初はとまどうかもしれない。なおWindows版ということもあり,キーボードとマウスを併用してのプレイも可能なので,好みに応じて使い分けるといいだろう。

厳しい"中ボス"との戦い中も,ザコキャラを含めた混戦になることがある。ザコキャラとて手強いので,さまざまなテクニックを駆使して戦うべし

 攻撃時には,自動的に一番近くにいる敵を照準を合わせるロックオン機能が便利。ロックオンボタンを押し続けている間はずっと照準が合っているので,敵の周囲を移動しながら攻撃することも可能だ(前作では停止状態でのみロックオンできた)。しかし武器には射程距離があり,ロックオンマーカーが黄色の場合に攻撃しなければ,攻撃は敵まで届いていないということになる。
 とまぁなんとも便利なロックオンだが,常にロックオンを使って攻撃するというスタイルはよろしくない。別方向に移動している敵や高速で移動している敵には,ロックオンせずに敵の移動する方向へ予測射撃をするなど,使い分ける必要がある。また複数の敵に囲まれている場合は,ロックオンボタンを押すたびに違う敵が捕捉されてしまい,一掃するのに時間を無駄に使ってしまったなんてこともある。便利な機能な半面,実は使いどころが難しいのがロックオンである。
 通常の武器であるロックバスターは,さまざまな特性を持つバスターパーツを組み合わせてチューニングし,攻撃特性を変えられる。例えば射程距離が短い代わりに攻撃力を高くしたり,また逆に攻撃力を下げる代わりに射程距離を伸ばし連射性を強化したりできるわけだ。戦闘中でも変更可能なので,試行錯誤しながらベストなバスターパーツの組み合わせを見つけ出し,戦闘を有利に進めよう。また無制限に使用できるロックバスターとは違い,エネルギーにより使用限度のある特殊武器攻撃は,効果的に使っていきたいところだ。なお,特殊武器攻撃は"持ち上げ"と切り替えて使用することになる。

 ゲームパッドを使っても複数のボタンを同時に操作する必要があり,ちょっと取っ付きにくい操作性になっている。しかしチュートリアルも用意され,少しプレイすれば簡単に操れるようになるだろう。最初はとまどっていた操作も,慣れてくると実に気持ちのいい操作感になってくる。

ポリゴン剥き出しじゃダメですか?

 高品質のグラフィックスが求められる現在では,DASH2のグラフィックスは古くさく感じられるが,ゲームをプレイしてみるとまったく気にならないのは,キャラクターに個性があり,一人一人が活き活きとしているからだろう。確かに手はグーのままだし,ポリゴンにテクスチャを貼っただけのような感じもするが,とても味のあるグラフィックスなのは間違いない。このグラフィックスがロックマンDASHシリーズであり,ロックマンDASHシリーズは,このグラフィックスなしではダメなんじゃないかと思えてしまうのは,ほかのゲームにはない魅力を持っているからだろう。

アクションゲームの傑作と呼ぶのにふさわしい1本

 DASH2は,前作をプレイした人にお勧めできるのは間違いなく,また前作をプレイしたことのない人でも,話の流れが十分理解できるように作られているので,問題なくロックマンDASHの世界にひたれるだろう。3Dアクションシューティングとしてみても完成度が高く,そこに良質のストーリー,興奮するゲーム展開の数々,カッコいいBGMも手伝って,まさに冒険活劇映画さながらの出来映えだ。低年齢層向けアクションゲームというイメージが強いが,プレイしてみれば前作,本作を含めロックマンDASHシリーズが"面白い" "傑作"と名高い理由が分かるはず。年齢を問わず,3Dアクションゲーム好きの人には,ぜひプレイしてほしい一本である。PCにはあまり見かけないジャンルだし,これを機に,ぜひ。

 なお2002年12月20日付けで,最新パッチが登場している(ダウンロードと詳細は「こちら」)。これは「かんたん」モードが,さらに"簡単"に修正されるパッチだ。どうしても先に進めなかったという人は,今すぐアップロードして,再挑戦してほしい。

拾うと所持金に加算されるディフレクター。一定時間で消えてしまうので急いで拾うこと。赤いキューブ型,水色のダイヤ型はエネルギーが回復される 戦闘中に特殊ダメージを受けることがある。画面はエネルギー漏れが起きているところ。方向キーを激しく動かすことでダメージ時間が短縮される ロールちゃんに新しいアイテムを開発してもらう。組み合わせに必要なアイテムが決まっているので,アイテム集めにも自然と気合が入る
バスターパーツを組み合わせて装着することでロックバスターを強化することが可能だ。たくさんのバスターパーツが登場するので状況によって使い分けよう ショップでは,装備やパーツ以外にも妙なアイテムを買うことができる。誰だってプレゼントをもらえば嬉しくないはずはない!! 次々に新たな課題が与えられ,行動範囲が広がっていく。これも大いなる遺産を見つけるために必要なこと。一つ一つこなしていこう

 

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■発売元:カプコン
■価格:4800円
■問い合わせ先:カプコン TEL 052-760-0335
■動作環境:Windows 98/ME/2000/XP,PenriumII/233MHz以上(PentiumII/350MHz以上推奨),メモリ64MB以上,空きHDD容量 最小3MB以上,標準40MB以上,フルインストール350MB以上
Screenshots集
■2002年12月20日付けパッチは「こちら」

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