Zwei!!(ツヴァイ)

Text by 川村ハルト
14th Feb.2002

海外タイトルに追いつき,追い越せ!

ポックルの剣とピピロの魔法を,使い分けて戦え。冒険にはさらにもう一匹,犬か猫が同行する

 日本ファルコムが2001年の年末商戦に投入した,完全オリジナルアクションRPG「ツヴァイ!!」。本作品は,まさに日本ファルコムの本気が凝縮された真剣勝負作品だ。コンシューマゲーム機などで国産ゲーム慣れした日本人でさえ,圧倒的なパワーを持つ海外ゲームに移行しつつある昨今。もはやファンの熱心な愛情だけでは太刀打ちできない!
 そう,いままでの国産ゲームを超えるクオリティの作品が必要なのだ。だからこそ日本ファルコムはツヴァイ!!を作ったのである(だと思う)。そして,10年以上に渡って「ゲーム性やグラフィックスはちょっぴりお粗末だけど,泣けるシナリオとカワイイ女の子を用意したから許してね」とユーザーに甘え続けてきた国産ゲームに,喝を入れるがごとく登場したタイトルといってもいいだろう。そう,ツヴァイは"楽しくて美しい豪華なゲーム"に仕上がっているのだ。

日本ファルコムお得意のパステルカラーなファンタジー

 大自然と魅惑的な遺跡に恵まれた浮遊大陸アルジェス。ここにただ一つ存在するプック村に,14歳の少年と少女が住んでいた。ある日,この浮遊大陸に招かれざる来訪者が現れ,神殿から6体の神像を奪うと姿を消してしまう。村にとっては大事だけれど,お宝としての価値には少々乏しい神像をわざわざ盗むなんて……? と弱り顔の村人たち。そこで,好奇心旺盛なお年頃のポックルとピピロが立ち上がる。彼らは無事,神像を取り戻す事ができるだろうか!?
 とバックストーリーはこんな感じである。さほど深刻ではない村人たち,おちゃらけ三昧のピピロとポックルのコンビのやり取りがコミカルに展開されるが,しかしそうした雰囲気をよそに,裏では少々シリアスに事件が進行していく……。
 こうして冒険が始まるわけだが,日本ファルコムならではのパステルカラーなグラフィックスがなかなかにイイ感じで,各フィールドやキャラクター達はポップで優しいタッチに仕上がっている。また,ゲーム中には画面中を埋め尽くすような派手なエフェクトなどもふんだんに盛り込まれているが,筆者のマシン(*1)ではパフォーマンス落ちすることもなくスピーディなアクションゲームに仕上がっている点も評価できるだろう。

(*1)
Pentium4/1.5GHz,GeForce2MX,メモリ512MB
※ちなみに,編集部のCeleron/800MHz,GeForce2MXで動作チェックしたところ,派手なエフェクト処理をしていても軽快にプレイ可能

ダンジョン内は敵との戦闘ばかりではない。さまざまなトラップやパズルなども待ち受けているのだ 例えば森一つとっても,緑が生い茂ってたり紅葉だったり暗かったり雨だったり,色とりどりで美しい フード10個を,より経験値の高い高級フードと交換してくれる"フード交換システム"。後半は回復アイテムが惜しいのがツラい 大陸に伝わる神話伝承と,ポックルたちの冒険がだんだん深くかかわるようになってくる。そしてついには……!?

途方もなく広がっていく冒険浪漫にワクワク

 アルジェスには森,洞窟,火山,庭園など数多くの冒険の地(ダンジョン)が待ち受けており,ダンジョンの中はさらに何本ものルートが枝分かれしている。各ルートの入り口には,"レベル"が記載されたプレートが敷かれ,主人公のレベルに準じてダンジョンの難易度があらかじめ判断できるようになっている。例えば「カパヤの森」に入ると,レベル0,レベル3,レベル10,レベル20,レベル33と計5本のルートに分れているといった感じだ。こうしたレベル表示のおかげで,初心者であっても遊びやすいのである。
 こうした冒険スポットは,戦闘の舞台となるダンジョンだけではない。冒険心をくすぐられる巨大遺跡,伝説の人物の墓,底に古代都市が沈む砂漠のオアシス……こうした土地では,この先に待ち受けるはるかな物語を連想させるような,幻想的なオブジェクトがゴロゴロ眠っている。アルジェス内は,最初からほとんど制限なく好き勝手に歩き回れるが,物語が進むとさらに意外な場所から道が開けたりもする。進めば進むほどそのフトコロの深さが味わえるだろう

ユニークなアイテムが多い。フードも,回復力に秀でた物から経験値が豊富な物までいろいろ。外見からはちょっと予想できない 衝撃! ある場所の地下に存在する,メイドさんばかりのダンジョン。お金がたくさん手に入る 凛々しいピピロとポックルと猫。ポックルのしっぽは獣人というわけではなく,彼流のファッションらしい とてもよく動くボスモンスター。日本ファルコムから,フル3DのアクションRPGが出る日も近いか!?

見た目からは想像もつかない驚きのゲーム性

敵モンスターは,なぜか異常にカワイイ。最初は輪になって踊ってたりと,妙なやつばかり!
妖精の森は,各ルートに存在する。閉ざされた道は,ここで切り開かれることが多い

 戦闘の基本は,歩き回って敵を攻撃するだけ。実にシンプルでオーソドックスだ。しかし,ツヴァイ!!ならではの独特でユニークなルールが,ゲーム性を愉快なほどに高めている。
 ポックルは剣で,ピピロは魔法で戦う。二人はどんなときでも常に一緒だが,プレイヤーが操作するキャラは常に一人。非操作キャラはAIが担当し,積極的に前に出て戦いはしないが攻撃に対して無敵となる。操作するキャラの切り替えはゲーム中いつでも可能だ。もちろん場面によってポックルが有利だったりピピロが有利だったりするわけだが,どちらを使うか? という問題は少々複雑であったりもする。
 ポックルの特徴は,自分の攻撃のタイミングに合わせて敵の魔法攻撃を吸収し,自分の魔力にチャージできること。チャージした回数だけポックルも魔法攻撃が可能になるのだが,とにかく防御手段としての魔法吸収がこのキャラの重要な戦術となる。一方,ピピロは最初から魔法攻撃が無限に使用可能。しかも走りながらドバシドバシと撃てる。怒涛の魔法連射による強引な中央突破ができるのだ。その半面あらゆる攻撃に無防備なので,どちらかというと殺らなきゃ殺られるタイプのキャラである。

 ツヴァイ!!において特筆に価するユニークなモノは,なんといっても「レベルアップシステム」。ゲーム中には"おにぎり"とか"たこ焼き"とか,何十種類もの回復アイテムが登場するのだが,これら回復アイテムはダメージの回復能力以外に,なんと"経験値"なるパラメータを持っているのだ。ただ敵を倒しただけでは経験値は増えない。倒した敵が残す回復アイテムを使用することで,初めて経験値が追加されるのである。でも実はコレ,「体力を回復するだけで経験値まで増えていくなんてウレシー!」などという優しいルールではないことぐらいは分かるだろう。"回復か経験値か"という,究極の二者択一を迫る鬼のシステムなのである。
 回復アイテムを使えば使うほどレベルアップするというシステムの狙いは,単純な経験値稼ぎの回避のためであろう。どうしても難しくて進退窮まったとき,ムダに敵を殺戮しまくってレベルを上げちゃえば解決! という,ほとんどのRPGに共通する攻略法がツヴァイ!!には通用しないのだ。あらゆる局面で,回復アイテムを使わなくても戦えるくらい"プレイヤー自身の腕前"がレベルアップしないと,先には進ませないというのである。 ハッキリいって今後すべてのRPGが追随して同じシステムを採用されるのは困るが,ツヴァイ!!独自のレベルアップシステムとしては大変興味深い。

 回復アイテムのほか,装備アイテムの扱いもユニークだ。確かに"紙のヘルム"や"タイトみに"などラインナップも面白いのだが,それだけではない。アイテムはアイテム袋という場所にストックして持ち運ぶが,それ以外に"装備グリッド"というスペースがある。ここはいわゆる使用アイテムのショートカットで,マウスのクリックかファンクションキーで即座にアイテムが使用できる
 より効率よく戦おうとすると,戦闘中にいくつもの装備品を切り替える必要が出てくる。各攻撃には火・水・風など全6種類の属性があり,これらは攻撃・防御とも装備品に影響されるからだ。対属性のモンスターには大ダメージを与えるという,まぁゲームではお馴染みのルールではあるが,本作もこの属性システムを活用しない手はない。だが憎たらしいことに,同じエリアに属性の異なる敵モンスターが登場することはザラで,そのため素早い装備品の付け替えが必要になるのだ。
 まず次なるルートを選抜し,マップとモンスターを吟味して,計画的に操作キャラや装備品を切り替え,回復アイテムの使いどころを見極める。これらの要素がツヴァイ!!を単なる突撃アクションではない,戦術的アクションへと昇華させているといえるだろう。

 全体的にツヴァイ!!はここ最近の日本ファルコム作品の中では格段にクオリティが高い。これらの技術は,今後の日本ファルコム作品の明るい未来を強く予感させてくれる。ニュースのリリースから発売までにわりと長く待たされてしまったが,これほど大規模な新作が用意されていたとは,ファンも幸せではないですか。

村の神殿に祀られていた6体の神像を取り戻すのが,とりあえずの目的だ。アルジェス中を駆け回れ 各ダンジョンの奥には,ボスモンスターとの対決もある。ボスは3Dグラフィックスで描かれ,攻撃方法も多彩 レベル別の難易度以外にも,各ルートを閉ざす防壁は数多く存在する。突破の糸口を探し出すのも冒険の目的の一つだ 各属性の力を宿した"魔法石"も,ダンジョンの奥深くで手に入る。戦闘力が一気にアップ!
各ルートの最深部では,人との出会いが待っていることもある。この技を伝授してくれる謎の人物の正体は…… 美しい浮遊大陸アルジェス。冒険の舞台だ。半年に1度,地上から飛行機(!)で物資が運ばれてくる 村の人たちとのコミュニケーションも結構重要。みんなあちこち歩き回っているので探すのが大変なこともある プック村の泉にはこんな秘密が……。やり込み要素が随所に仕込まれたゲームなので,とことん遊べるぞ

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■発売元:日本ファルコム
■価格:オープンプライス(新パッケージ版:通販価格6980円)
■問い合わせ先:日本ファルコム TEL 042-527-6501
■動作環境:Windows 9x/Me/2000/XP,PentiumII(またはCeleron)/400MHz以上(PentiumIII/500MHz以上推奨),メモリ[Windows 98/Me] 96MB以上(64MB必須), [Windows 2000/XP] 128MB以上,空きHDD容量1.2GB以上
■体験版:http://www.4gamer.net/patch/demo/zwei.html
■壁紙:http://www.4gamer.net/patch/files/main.html
■ムービー(高解像度版):http://www.4gamer.net/files/movies/zwei_high.avi
■ムービー(低解像度版):http://www.4gamer.net/files/movies/zwei_demoDL.wmv

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