|
|
![]() |
| ダンジョンに囚われていた少女フィーナ。彼女は記憶を失っているが,実はストーリーに大きく関わってくる |
「イース」パートでは,エステリアの地に漂着した主人公アドルが,"古代王国イース"にまつわる冒険をしていくことになる。
この王国イースは,元々二人の女神と徳の深い六人の神官によって治められていたが,700年前に災いの嵐が吹き荒れた。そこで女神と神官たちは神殿とその周辺の土地を大空へと舞い上がらせて,災いの狂気から逃れたのだ。アドルは,冒険の途中で美しい少女「フィーナ」と「レア」に出会うことから,エステリア(=かつての"イース"の天空に上らなかった地域)に突如発生したモンスターや,その背後の人物などを知る。そしてアドルは,エステリアと天空の"イース"を邪悪なる者から守るために,神官たちの思いが記された6冊の"イースの書"を集める旅へと出立する……
このような奥深いストーリーをバックにゲームは展開していくが,ゲーム性は非常にシンプルだ。操作は基本的にキーボードかマウス,あるいはゲームパッドのいずれかを使って"移動"するのみ。つまりモンスターを攻撃するためのなにかしらのキー操作や,技を出すための複雑な入力などは一切必要ないのだ。
攻撃は,モンスターに体当たりするだけ。ただし,単に真正面から向かっていったのでは反撃を受けてしまう。当時の攻略法として有名な「半キャラずらし」(モンスターと半キャラクター分ずらして体当たりするテクニック)は本作でももちろん健在なので,これを利用すればダメージを受けずに倒していける。ほかにも,よりスムースに移動できるようになったり,"ダッシュ"が使えるようになったりと,操作性面の向上によって本作では斜めからの体当たりも効果的になっている。
またアクションRPGならではのボスモンスターも当然用意されている。ボスモンスターは要所要所に配置されており,倒すためにはある程度のレベルが必要だ。各ボスモンスターの攻撃のバリエーションは豊富で,攻略も一筋縄ではいかないのも本作の醍醐味の一つといえよう。
![]() |
| ボスモンスター戦はテクニックを駆使して戦おう。微妙な"避け"も必要だ |
続編の「イースII」パートは,イースの書をすべて集めたアドルが,その力で天空高くに浮いている"イースの神殿"へと運ばれるところから始まる。イースの民の子孫たちが暮らしているそこでは,地上での異変と同じくしてモンスターが出現し始めていた。一連の元凶である存在を倒すためにアドルは冒険を続けていく……という,連続したストーリーとなる。
イースIIでのアドルは,イースの神官たちの力を得て魔法を使えるようになっている。時間を一時的に止めたり,ファイアの魔法でモンスターを倒したりなど,戦い方にバリエーションが加えられているが,それでもシンプルな操作性は失われていないのはさすがといえる。またレベルアップの上限が高くなり,フィールドやボスモンスターを大幅に増やすことによって,総プレイ時間も増加している。
「イースII」パートならではの機能としては,ゲーム進行状況を日記という形式でいつでも参照できることや,モンスターやキャラクターの図鑑などがある。前作に登場したキャラクターのマスコットを"メイン画面の縁にぶら下げられる"というのも,面白いアイデアだ。
本作は,アクションRPGの"分かりやすさ"を推していることから,武器や防具などのアイテム数は少なめだ。経験値を稼いで成長していく過程を楽しむオーソドックスなRPGといえるだろう。ただしイベントシーンでは,画面から溢れるほどの大きさでキャラクターが表示されて,強烈なインパクトを与えてくれる。また通常のシーンでも,3枚の絵をずらしてスクロールさせることによって遠近感を出す手法など,かなりのこだわりとなっている。
ほかにも「EASY」「NORMAL」「HARD」「NIGHTMARE」と4種類の難度が用意されており,たとえばEASYではサクサクとゲームが進展するからストーリーのみを楽しみたいときにうってつけだ。一方最高難度のNIGHTMAREでは,モンスターを1匹倒すのにも熾烈なテクニックを要求するほどとなる。イースシリーズを初めてプレイするのであれば,まずEASYでストーリーを楽しむことをおすすめしたい。
さらに本作では,ゲームを一度クリアすることでプレイできるようになる「タイムアタック」モードが追加された。これは,ボスモンスターが連続で出現し,その全てを倒すまでの時間を競うものだ。クリアしたあとの"お遊び"的な意味合いだけでなく,自己の限界に挑戦できるのが面白い。
完成度の面からでもゲーム性の面からでも,本作は文句なしにアクションRPGの代表作といえる。どこでもセーブ可能で,気軽にプレイできるのも評価できるポイントだ。アクションRPGファンには満足できるクオリティを提供し,ゲーム初心者でも手軽にプレイできる環境を提供している本作は,ぜひプレイしてもらいたい一本だ。
|
■発売元:日本ファルコム (C) 2001 Nihon Falcom Corporation |
![]()