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クロスゲート

Text by Seal
15th Sep.2001

クリックすると拡大します  インターネットを介して多くのプレイヤーが一つの世界を共有し,コミュニケーションをとって楽しめるMMORPG(マッシブマルチプレイヤーオンラインRPG)。1999年あたりから続々とリリースされてきたこのジャンルだが,エニックスのPCオンラインRPG初参入の「クロスゲート」(以下XG)は,いままでのMMORPGの"定番"ではない要素を数多く持っているのが特徴だ。
 MMORPGと聞くと「海外タイトルばかりで,プレイ時間が長くなりがちなもの」というイメージがあり,ハードルが高くて手を出せなかった人も多いことだろう。しかしXGではそれらの洋ゲーMMORPGに付き物の問題点を微塵にも感じさせない親切なシステムと,アニメ調のグラフィックスによってライトゲーマーでも無理なくプレイできるのが嬉しいところだ。

モンスター討伐だけではない面白さ

 XGの最も特徴的な部分は,モンスターとの戦闘に"エンカウント制"を採用しているということだ。ほとんどのオンラインRPGではフィールド上にモンスターが目に見える形で存在していて,リアルタイムで戦闘が行われるが,この戦闘に関する部分でほかのプレイヤーとの問題(取り合いなど)が発生してしまうことがあった。しかし戦闘をエンカウント制にすることによって,RPGとして最も重要なキャラクターの成長という部分での問題をある程度削減させられるのだ。このことから,"ほのぼの"とした雰囲気に溢れているのがXGの魅力といえるだろう。
 またこの雰囲気は,XGのパーティシステム(グループ)に拠るところも大きい。コンシューマ機でのRPGや古典RPGでの同システムのように,パーティを組んだときにリーダーがそのパーティの進むべき方向をすべて操作するというもの。パーティメンバーが個々に移動することなく,一丸となってフィールドやダンジョンを冒険するのだ。戦闘がエンカウント制ということからこのシステムとならざるを得ないが,パーティメンバーの移動操作が省かれていることによってチャットでのコミュニケーションが取りやすくなっているのである。XGをプレイしていると,キャラクターの成長やアイテムなどにぎすぎすすることなく,みんなで楽しく遊んでいる自分に気がつくだろう
 なおPK(プレイヤーキリング)はシステム上できなくなっている。Duelというプレイヤー同士の戦闘は行えるが,双方の合意がなくては不可能だ。モンスターとの遭遇を除けば,フィールド上にずっとたたずんでいても,危険ではないのだ。この安心感と,モンスターとの戦闘の緊張感のギャップがXGの面白い部分といっても過言ではないだろう。

複雑に絡み合うスキルシステム

クリックすると拡大します  XGのキャラクターはスキルレベルによってその特徴を出すシステムを採用している。習得できるスキルは40以上が用意されており,そのうちのいくつかを選択できるようになっている。キャラクターは10スロット分のスキルを習得できるが,スキルによっては複数スロットを使用するものもあり,単純に10個のスキルをチョイスできない。
 さらにスキルをスペシャライズド化した"職業"も,XGのスキルシステムを奥深くしている一つの要因だ。スキルを複数使用することによって経験値が溜まっていき,一定以上でスキルレベルが上昇する。このスキルレベルの上限が職業によって変化し,例えば騎士よりもきこりの戦闘スキルのスキルレベルは低くなるということだ。ちなみに2001年9月初頭では,一部の職業およびスキルは未導入なのが残念な部分だ。
 XGではプレイヤーキャラクターのほかに,使い魔(ペット)を持つことができる。ペットは,戦闘系のスキルを習得してキャラクターと同じように戦える頼もしい相棒だ。経験値を貯めることによって成長もするので,戦士系以外の魔法使いや神官(クレリック)の職に就いているときには欠かせない。ゲームに登場するほぼすべてのモンスターをペットにできるので,ペット自慢や強さ比較などでもコミュニケーションを取れるだろう。

分かりやすく奥が深い戦闘システム

クリックすると拡大します  戦闘はターン制を採用していて,アタック,防御,魔法使用などのコマンド類から一つを選択する。アタックを選択してからモンスターをターゲットすれば戦闘アクションが開始されるという簡単さだ。パーティを組んでいるときはすべてのプレイヤーがコマンドの入力を終了すれば,実際の戦闘アクションの応酬が開始される。
 このコマンド入力は,30秒以内に行わなければならないが,XGでは単調にならないような工夫も見られる。それは1ターンに2つのコマンドを入力できることだ。これによって自分より素早いモンスターを相手にしているときは1コマンドめに防御をして2コマンドめに攻撃をしたり,弱いモンスターを相手にしているときは攻撃×2ということもできるのだ。  魔法は1ターンに1回の制限があり,またプレイヤーの手足のようにつかえるペットがいるときはプレイヤー1回,ペット1回となってしまう。このように戦闘パターンを増やすことによって,さまざまなシチュエーションを生み出し,単調作業となりにくくなっているのである。
 魔法は攻撃魔法,補助魔法,回復魔法など用途によって大きく分けられるが,分かりやすくしているためかその数は少ない。地水火風の4種類の元素に属した攻撃魔法は,ターゲットが単体と複数の二種類の計8種類が用意されている。回復魔法も単体用と複数用の二種類だ。

 離れたところにいるプレイヤーと連絡を取るための"メール"システムなどチャットシステムも整備されていて,プレイアビリティは悪くない。入手できる経験値がすべて2倍になるバーストタイムという繰り返し遊びたくなる要素もある。
 ほのぼのとした雰囲気の中でコミュニケーションするにはうってつけのこのXGは,コアゲーマーにとっての惹きは弱いものの,MMORPGを始めてプレイするという人にはぜひともプレイしてみてほしい。MMORPGの面白さを体感できるかもしれない。

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■発売元:エニックス
■価格: 6800円 (2001年9月20日発売予定)
■問い合わせ先:エニックス TEL 0570-057-050
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/233MHz以上(Celeron/400MHz以上推奨),メモリ64MB(128MB以上推奨),空きHDD容量900MB以上,DirectX 7.0a以上

(C) DWANGO・ENIX 2001

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