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Wizards&Warriors
Text by 朝倉哲也
22nd Nov.2000

クリックすると拡大します  Wizards&Warriors(以後W&W)は,Heuristic Parkが開発した最新3DダンジョンRPGだ。開発には,あのWizardryシリーズを手がけたD.W.Bradleyが携わっていることには,特に注目したい。Bradleyは,コンピューターRPG史上に燦然と輝く金字塔ともいえる,Sir-Techの後期Wizardryシリーズ「WizardryV:Heart of The Maelstrom」「WizardryVI:Bane of Cosmic Forge」「WizardryVII:Crusader of Dark Savant」の3作品を開発したことで有名なゲームデザイナーだ。また開発会社であるHeuristic Parkも,Diablo風アクションRPG「NOX」や,Unreal公式追加ミッションパック「Return To Na Pali」のキャラクターアニメーションや背景などのモデリング・プログラミングを行った会社。どちらも話題になった作品だけに,技術力の高さはいうまでもないだろう。
 W&Wのゲームスタイルは,一人称視点の3D RPGとなっている。背景,アイテム,キャラクターなどがすべて3Dポリゴンで構成されており,不要なアイテムを地面において道しるべとしたり,視点変更などもマウスで自由自在に行うことなどができる。またゲーム内は"完全リアルタイム"となっており,ただ立っているだけでも昼から夜へと刻々と時間は過ぎてゆく。ゲームにポーズ(一時停止)をかけるという概念自体がないので,マップを見ているときや,アイテムの整理をしているときなどでも背後から近寄ってきたモンスターに手痛い一撃を食らうこともある。流行りのオンラインRPGのように,フィールドに出たら,常に回りに気を配っていないと危険である緊張感漂うものに仕上がっているといえよう。


キャラクターメイクだけでかなり楽しめそう
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ゲームをスタートさせて最初にする事は,パーティキャラクターの作成である。W&Wでは6人までのパーティを組むことが可能で(もちろんたった一人での冒険も可能だが,非常に難易度は高くなるだろう),キャラクターも種族で10種類(人間[Human]のほかにElf,Dwarfなどお馴染みのものから,象のようなOomphz,虎のようなWhiskahs,猪のようなGourks,ネズミのようなRatlingsなど)・職種で15種類(最初に選べるのはWarrior,Wizard,Priest,Rogueのみ)と多岐にわたっており,無数といえるほどの組み合わせが可能だ。
 キャラクターに関しては,WizardryVI/VIIでのキャラクターシステムをさらに発展させたものだといえるだろう。選んだ職種によってSkillやTraitsと呼ばれる特殊能力が付随してくるのだが,Skillは技能,Traitsは性質とでも訳せばよいだろうか。Skillには,剣での攻撃判定に大きく関係するSwords,魔法の能力を上げるSorcery,トラップの解除能力を決めるTraps&Locksなど30以上,Traitsには,攻撃時に敵に奇襲をかけるBackstab,攻撃を避けるDodge,攻撃ダメージの倍付けDoubleStrikeなど50以上が用意されている。
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  職種に関しても,最初に選べるものこそ基本的な4種類に限られるが,転職(転職のときは能力に一定の条件が必要で,かつクエストと呼ばれる依頼をこなさねばならない)することで,上級職8種類(Barbarian,Monk,Ranger,Warlock,Ninja,Samurai,Paradin,Bard),最上級職3種類(Assasin,Valkyrie,Zenmaster)が選択できる。戦闘を繰り返し,経験値をため能力を上げては転職を繰り返し,あらゆるスキルを身に付けていくこのキャラクターシステムこそが,W&W最大の特徴だといえるだろう。最初は空振りばかりのへなちょこ剣士が,Skillを上げて強くなっていくことをハッキリと実感するときに,プレイヤーは無上の喜びを感じるに違いない。


戦闘システムは2段階
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  "RPGゲームの華"ともいえるモンスターとの戦闘は,プレイヤーの好みでリアルタイム制とターンベース制を選べるようになっている。リアルタイムにしておくと,それこそFPSゲームのように右に左に飛び回りながら攻撃をかけることが可能だが,残念ながらアクション性自体はあまり良くないので(移動−攻撃−移動のようにスムーズな動作の移行がやりにくい),ターンベース制を選択しておいたほうが無難だろう。
 ゲーム進行はリアルタイムなのに戦闘がターンベースってどういうこと? と疑問に思われるかもしれないが,リアルタイムからターンベースへの移行は自動的に行われるようになっている。あまり詳しいプログラミング的なことは分からないのだが,剣が届くような距離まで接近したところで切り替わっているようなので,モンスターとプレイヤーパーティの間の距離によって決まるようだ。ターンベースに切り替わると,敵味方双方の能力・装備・装備重量などによって攻撃の順番が決定され,以後それにしたがって,双方入り乱れての乱戦となり,どちらかが全滅するか,あるいは逃げ出すまで続くこととなる。戦闘に勝利すれば,晴れて経験値と何がしかのアイテムを獲得できるわけだ。


基本に忠実,それでいて華やか
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ゲームストーリーは,蘇った悪の親玉を倒すために,唯一の対抗手段であるMavin Swordと呼ばれる剣を捜し求めて,世界中を冒険するという,ありがちなストーリー。しかしストーリーに添った形でいくつものクエストがあり,ストーリーと直接には関係しないサブクエストなども含めると100以上と膨大な数が用意されており,ゲームに彩りを添えている。またアイテムの数も膨大で,めったに手に入らないレアアイテムの存在も噂されているなど,コンプリートに200時間以上はかかるといわれるW&Wの世界の冒険を途中であきらめさせないような配慮がされている。
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  グラフィックスは,1024×768までの高解像度に対応しているとはいえ,最近のゲームのクオリティから見れば多少不満の残るところではある。また,英語で交わされる会話(字幕は表示される)を理解できる程度の英語力がないとつらいものがあるだろう。しかし,それを補って余りあるキャラクターレベルアップの充実感,戦略性のある戦闘シーン,無数にあるアイテムを蒐集する楽しみ,ちりばめられた多くのクエストなど,過去のRPGゲームのいいところをすべて凝縮したようなWizards&Warriors。本格的なRPGゲームを愛する真のRPGファンにこそ楽しんでいただきたい作品だといえるだろう。

■発売元:Activision
■価格: 実勢価格7000円前後(並行輸入品のみ)
■動作環境:Windows 95/98,PentiumII/233MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量890MB以上
■ムービー:http://www.zdnet.com/gamespot/filters/products/0,11114,913882,00.html
Wizards&Warriors is a trademark of Heuristic Park, Inc. © 2000 Heuristic Park, Inc. Published and distributed by Activision. Activision is a registered trademark of Activision, Inc. The ratings icon is a trademark of the Interactive Digital Software Association. All other trademarks and trade names at the properties of their respective owners. All rights reserved.