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ウィザードリィ クロニクル(β)
Text by Sealiss
27th Feb.2001

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  今から約20年前に発売された"ウィザードリィ"。シンプルなゲームシステムにも関わらず,レアアイテム収集や無限に成長していくキャラクターに魅せられた多くのプレイヤーに支持されている,"古典"ともいえるRPGだ。続編やオリジナル作品もさまざまなプラットフォームで多数リリースされているので,コアなゲーマー以外でも,ウィザードリィの名前はどこかで見かけているはずだ。
 今回紹介するケイエスエス「ウィザードリィ クロニクル」(以下,クロニクル)は,ウィザードリィの基本となるゲームシステムを継承しながらも,数々の新要素を組みこんだオリジナルのウィザードリィだ。いままでも,コンシューマ機ではいくつかのオリジナルウィザードリィがリリースされているが,PCというプラットフォームでは存在しなかった。つまり,クロニクルが,PC初のオリジナルウィザードリィとなるのである。

キャラクターメイキングには時間をかけろ
 元をたどればウィザードリィのゲームシステムは,D&DのそれをPC上で模したもの。6人のグループを組んでダンジョンを探索し,襲いかかってくる数々のモンスターを倒してレベルアップして強くなりつつ,最終目的を遂げるというのが基本となる。クロニクルもその基本のスタイルを忠実に再現しながら,随所にオリジナル要素を含ませている作品だ。そのポイントを紹介していこう。
 まずは種族。この部分は大幅に変更が加えられ,オリジナルのエルフやホビット,ドワーフなどの種族から,クロニクル独自の5種族となった。種族に関わらず18が最大値となっていたステータスが,種族によって異なる値を持ち,また種族独自の「特殊技」という技能が使用できるようになっているのも大きな特徴。これらの要素によって,どの種族を選択しても最終的には同じようなキャラクターとなってしまっていた欠点を補っているのが嬉しい改善点。
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  次に職業戦士,魔法使い,僧侶,盗賊,吟遊詩人の基本職5に加え,上級職10の計15種が用意されている。侍と忍者,司祭の3種は,"上級職のさらに上位版"といった位置付けで,職業に就くために必要なステータス値が高めに設定されている。各職業には専用の武器防具や呪文が用意されているので,グループに同じ職業が複数いるよりもまんべんなく散りばめたほうが,状況によって変化がつけられて結果的に強くなる。特に吟遊詩人の楽器による効果は,魔法使いの呪文に匹敵する威力を持つものの,呪文コストを消費しないのが魅力だ。このあたりは,通常のコンピュータRPGでの"バード"のお約束。

新呪文や新モンスター,新アイテムなど豊富な要素
 呪文システムには大胆な変更が加えられた。MALORやTILTOWAIT,MADIといったウィザードリィにお馴染みの呪文ではなく,全く新しい呪文体系が採用されている。キャラクターの成長に合わせてレベル別に用意されている呪文を順次習得していくといった流れはウィザードリィと同じだ。ただし,呪文レベルごとに習得できるキャラクターレベルが設定されていて,そのレベルを過ぎてしまうといかに低レベルの呪文であろうと習得できなくなる。一度覚えた呪文は忘れないので,キャラクターの職業を変えれば再びその呪文を習得できるチャンスが生まれるといった仕組みだ。
 アイテムは,初代ウィザードリィを彷彿させるものが多く用意されている。国内オリジナル版とい うことですべてがカタカナ漢字交じりで表示されるので,とっつきやすい。また,「盗賊の短剣」や「村正」といったお馴染みの強力アイテムはもちろんのこと,大幅に拡充されたアイテム群,クロニクルオリジナルのモンスターなども登場するので,懐かしい中に新鮮さを感じる部分も多い。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  オリジナルの雰囲気重視なので今風の派手な効果やイベントは皆無で,地味にコツコツとプレイしなければならないが,それがコンピュータRPGの本来の姿といっても過言ではない。レベルが上がる喜び,新しい呪文を覚える喜び,レアアイテムを見つけたときの喜びなどのウィザードリィの"喜び"は,オリジナルからなんら変わることなく継承されている。
 ユーザーライクな豊富に用意されたオプションで自分好みの設定にすることもできるし,オリジナルウィザードリィとしての完成度は非常に高い。また,クロニクルのリリースと前後して,本編全作を網羅した「ウィザードリィ・コレクション」やゲームボーイでの初期3部作セット,ワンダースワンのシナリオIなど,なぜか激しい勢いでウィズが盛り上がっている。ウィザードリィ旋風が巻き起こることは必至だろう。
 しかし,老婆心ながら一つだけ注意点。いままでのPC版,コンシューマ版のどれかを遊んだことがあるにも関わらず"ウィズが好きになれなかった人"にはお勧めできないというのが筆者の本音だ。オリジナルシナリオで,サウンドやグラフィックスも十分なレベルだし,雰囲気もシステムもかなりの出来だ。
 しかし。
 "ウィズはどこまでいってもウィズ"なのだ。そこにはご注意あれ。でも,いままで全く遊んだことがない人が初めて買うウィズとして悪くない選択肢かもしれないのも事実。完全に日本語だしWindowsで問題なく動くし。


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■発売元:ケイエスエス
■価格:9800円(3月23日発売予定)
■問い合わせ先:ケイエスエス TEL 03-5702-1845
■動作環境:Windows 95/98/Me,Pentium/166MHz(PentiumII/233MHz以上推奨),メモリ64MB以上,空きHDD容量100MB以上
■デモ版(17.5MB)::http://file.4gamer.net/old/patch/WizCronicle.lzh
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