スター・ウォーズ スターファイター

Text by 川村ハルト
4th Jun. 2002

3枚の翼で特殊な機動性を獲得するガーディアン・マンティス。岩場での精密射撃も可能だ

 ハリウッド映画史上最大のお祭映画「スター・ウォーズ」。「エピソードII」が5月17日に全米で公開され,世界中がこの巨大な花火に大賑わいだ。非常に個人的な予想では,新3部作でも20年前と同様,間をつなぐ「II」が最も面白いのではないかと,勝手に期待を膨らませて破裂しそうである。
 ゲーム業界でも,ルーカスアーツがこの時期を狙って「スター・ウォーズ」作品を次々と発表。RTS「ギャラクティック・バトルグラウンド」や,FPS「Jedi KnightII」など話題作ラッシュの中,わりとひっそり登場したのがこの3Dシューティングゲーム「スター・ウォーズ スターファイター」だ。なお,同様のタイトルはプレイステーション2版も発売されている。

惑星ナブーとアミダラ王女の危機を救う
「エピソードI」の並行ストーリー

 本作は劇場版「エピソードI」のサイドストーリー。通商連合から惑星ナブーを救うという物語を,劇場版とは異なる視点から描いている。主役となるのは,3人のパイロットと3機の戦闘機。戦闘機パイロットの立場から歴史に参入するという設定だ。
 もちろん,ゲームを構成しているあらゆるオブジェクト,時代背景,BGMなどはどれも「スター・ウォーズ」そのもの。40種類ものスペースシップは,ドロイドファイターやバトルタンク,ドロップシップなどといった劇場版でおなじみのものから,このゲームで初登場の新型機に至るまで,どれも「スター・ウォーズ」の世界のものだ。プレイ中には「エピソードI」のサウンドトラックがBGMとして流れ,レーザーやミサイルの発射音といったSEも劇中からサンプリングしたものを使用している。ルーカスアーツの同製品はすべてに共通して同じことがいえるが,これらは安易なゲーム化などではなく,まさに「スター・ウォーズ」の一面といってもいいだろう。
 三人の主人公は,ナブー義勇軍の新米パイロットのリース・ダロウズ,宇宙海賊のリーダー,ニム,女スパイであり冒険家でもあるバナ・セージ。それぞれ立場の異なる三人のパイロットが,紆余曲折あって最終的にはナブーのため通商連合との戦いに身を投じていく様子を,1本の物語として綴っている。このストーリーや人間関係はゲーム中でも数々の演出とムービーを駆使して克明に描かれ,これだけでも見応えのある内容となっているのだ
 そして3種類の戦闘機は,ナブーの主力戦闘機であるN−1スターファイター,爆撃機を改良した重戦闘機ハボック,特殊な飛行も可能なガーディアン・マンティス。それぞれ武装火器,機動力,シールド性能などに特徴があり,得意とするミッションも異なる。これらの機体が登場するステージはあらかじめ決まっているため,すべての機体を乗りこなせないと全14ステージを攻略することはできないのだ。

宇宙空間での壮大なドッグファイトが繰り広げられる。敵戦闘機群から大型戦艦まで残らず撃墜だ こんな崖を縫うように飛びつつ,機雷を撃ち落とすといった腕も必要になってくる 偶然発見してしまったドロイドファクトリーでの戦闘。パイロンを破壊しないと脱出不可能だ! 主人公のリース・ダロウズ。ブラボー中隊に憧れ,ついに入隊を果たす。コックピットの後ろにいるのはR2−D2 冒険家のバナと海賊ニムの間には,最初から深い因縁があるようだ


難しいことは考えずに撃ちまくれ!
純粋な爽快シューティングゲーム

 ゲームシステムは,1ステージずつ攻略していくスタンダードなミッションクリアタイプ。一人称視点でも三人称視点でもプレイ可能で,プレイヤーは艦隊が集結する宇宙空間やアステロイド地帯,惑星ナブーや謎の惑星など豊富な地形を舞台に,多種多様なミッションに挑むことになる。各ステージにはクリア条件となる主要目的が複数設定されいるほか,戦闘の合間に敵ドロップシップを攻撃するなどの特別任務も用意されている。特別任務は無視してもかまわないが,達成すると勲章が与えられたり,ボーナスステージの出現条件になっている場合があるので,ぜひともチャレンジしてほしい。特別任務のおかげで,一つのステージに何度も挑戦できるのはいい感じだ。

 ゲーム中は,とにかく僚機の相棒,味方戦艦のオペレーター,敵パイロットといった登場人物が音声であれこれ喋りまくりで,にぎやかな戦場となる。これらはすべて日本語に翻訳されているが,実力派の有名声優ばかりで,興ざめすることなく物語に引き込んでくれるだろう。

味方の地上施設に,敵の爆撃部隊が猛攻を仕掛けてくる。これを守りきらなければならない 宇宙一美しいといわれる,アミダラ王女のロイヤルシップがチラリと見える。これをノーダメージで護衛するのが任務だ 敵のドロップシップが味方の輸送船団を襲撃するためバトルタンクを投下しようとしている。食い止めろ! 通信中の機は黄色のシグナルで表示される。誤って味方を撃つと音声で怒られる

気になる「X−WING」シリーズとの対比は?

ニムが乗るハボックは地上攻撃にも適した機体。エネルギー爆弾の威力は強すぎて,低空飛行していると自分の機体も危ない

 ゲーム版「スター・ウォーズ」にとって,戦闘機によるフルポリゴン3Dシューティングの歴史は古く,「X−WING」まで遡ることができる。このシリーズは出撃前のカスタマイズ,ミッション内容の複雑さ,操作系統の凝りよう,把握しなければならない情報量の多さ,方向感覚を見失うほど広大な宇宙空間など,ほとんどフライトシミュレーターのノリであった。マニアには堪えられないものがある半面,シロートには荷が重いところもあった。
 これに対してスターファイターは,完全なアクションゲーム。全14ステージをつなぐものはムービーのみ。いきなり出撃シーンから始まり,単純操作でファイターを縦横無尽に駆ることができる。フィールドも,描き込まれたオブジェクトや敵味方のユニットが所狭しと配置された戦場を,縫うように飛び回る。戦闘空域から遠く離れてしまって位置を見失うような心配とは無縁だ

 とはいえ,まったく別次元のゲームというわけではなく,本作には「X−WING」の魅力的なノウハウは見事に継承されている。基本的に,一つのステージの中で敵味方共多数の部隊によるさまざまな作戦が同時に進行して,深みのあるミッションを形作っているのは「X−WING」も本作も同様だ。登場する敵がすべて主人公を目指して飛んでくる単純なゲームではなく,味方の貨物船を狙う敵機を迎撃するなどといった,あくまで作戦行動で成り立った世界となっている。
 よって,パイロットの視点から「スター・ウォーズ」の凝りに凝った世界を味わえるという「X−WING」の最重要コンセプトは,本作もしっかりと踏襲しているといえる。ただし,よりお手軽に,独自の物語も兼ね揃えつつ,その臨場感を体験できるのだ。
 何より「エピソードI」の時代をフライトできる作品は,いまのところ本作だけ。「エピソードII」への予習としても,ぜひ体験しておこう。劇場版のドッグファイトシーンが,いままでとはまったく違った感覚で楽しめるようになること請け合いだ!

 

ゲーム中に登場するスターシップは大小合わせると全40種類にも及ぶ。敵シャトルも続々登場する アステロイドベルトでのドッグファイトも待っている。隕石を破壊すると,陰から敵機が飛び出てくる事もあるので注意 はるか遠方に延々と連なる敵の艦隊。ハイパースペースに突入してしまう前に襲撃するのだ エネルギー爆弾も,その弾道さえ考慮すればスペースシップに投下できる。これだけ大量の爆弾を食らえば大型艦とてひとたまりもない!

 

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■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
■価格:円
■問い合わせ先:エレクトロニック・アーツ・スクウェア TEL 03-5436-6499
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