スーパーカー ストリートチャレンジ
 (日本語マニュアル付英語版)

Text by UHAUHA
13th Mar. 2002 

有名都市をスーパーカーで駆け抜ける

ロサンゼルスのスポーツアリーナ・ステイプルズセンター前を疾走するスーパーカー達。街並みもキレイで細かく描き込まれているのが分かるだろう

 日本でもかつてスーパーカーブームというのがあったが,当時,筆者はランボルギーニミウラとイオタの区別が付けられない小学生だった(笑)。最近ではそんな言葉を耳にする機会は少なくなったが,現代でもスーパーカーともいえるマシンは多く存在する。サイバーフロントが放つ「スーパーカーストリートチャレンジ」(以下SSC)は,Saleen S7,Pagani Zonta C12-S,Callaway C12など計9台のスーパーカーを駆り,世界7都市(ロサンゼルス,ロンドン,モナコ,ミュンヘン,パリ,ローマ,トリノ)の市街地コースを疾走するドライブゲームだ。登場するマシンに国産車が入っていないのは残念だが,国内でもエンスーの間で人気の高いSaleen S7などを操れるというのは,ファンにとっては魅力的だろう。
 またSSCは,PC版と共にプレイステーション2版もリリースされていることからも分かるように,硬派なレースシミュレーションということはなく,どちらかというと全体的にお手軽に楽しめるアーケードゲーム系に仕上がっている。それを念頭に置いて本編を読んでいただきたい。

手軽に楽しめるゲームモード,レースに優勝してアイテムをゲットだ!!

 SSCにはシリーズ戦をプレイできるChampionship,手軽にレースを楽しめるQuick Race,上下画面分割で2人対戦(ネット対戦は不可)を楽しめるHead to Headというゲームモードがある。メインとなるのはChampionshipで,最初はDesign SeriesとManufacturer's Cupというレースに参加できる。
 Design Seriesでは,スティーブ・サリーン スタイリングスタジオでオリジナルのマシンを作成し,エアロパーツとスタイリングの変更,マシンカラー,簡単なマシンセッティング(セッティングというほどのものではないが)などを行いレースに参戦する。一方,Manufacturer's CupではGrip,Barance,Driftとマシン特性別にカテゴリが分けられ,「決められたマシンを使って」レースに参戦するという仕組みだ。
 Championshipモードの進行は規定順位制(Qualifying Position)となっているため,Cクラスという最下位レベルから参戦し,規定順位以上で走り切ることで,上位レベルへ進むことができるようになる。レースに優勝すれば,新しいマシン,パーツ,コース,レースモードなどのアイテムを手に入れることができる。パーツはフロントスポイラー,リアスポイラー,バックミラーなどのエアロパーツのほか,ホイール,ライトなど,なかなか豊富に各パーツが数種類用意されており,前述したスティーブ・サリーン スタイリングスタジオで,各パーツを組み合わせてオリジナルマシンを作ることができるのだ。フロント,リアのエアロパーツに関しては形状を細かく変更できるので,スーパーカーをベースとした世界に1台のオリジナルマシンが作れるといっても過言ではないだろう。なおこのオリジナルマシンは,ChampionshipのDesign Series,Quick Race,Head to Headで使うことができるぞ。

画面上に表示されるマーカーによってAIカーの位置が分かる。レースに勝つためには,マーカーを見ながらブロックすることも必要となる ChampionshipのDesign Seriesではオリジナルマシンでレースに参戦できる。ショットのマシンはちょっとカッコ悪いが(笑),パーツの組み合わせ次第では,かなりカッコよいマシンを作れるぞ レースを征するには,障害物を蹴散らしながら,できる限り最短距離を抜けることも必要だ。信号機だろうがなんだろうが,なぎ倒しながら攻めるべし。マシン破損が再現されていないのは,ちょっと寂しいところだ

ゲーム性,スピード感は最高!! しかし少々気になる部分も……

ショットを見て気付いた人は,なかなかのF1通。ポルティエコーナー手前だ。ミラボー,ローズヘアピン,ポルティエといったヘアピン群も味わうこともでき,F1とは違ったモナコの風景を堪能できる

 さて実際のゲームはどうだろうか?
 冒頭でも書いたが,SSCはお手軽にプレイできるアーケード系のドライブゲーム。ドライブモデルやゲーム性に関しても同様で「リアル」という言葉からはほど遠いが,世界の有名都市に設営されたコースを使い,スーパーカーを駆って展開されるハイスピードバトルは非常に爽快。コーナーリング時も多少壁にヒットした程度では速度は急激に落ちないことから「ちょっとオーバースピードかな?」程度のブレーキングでも十分イケるため,非常にアグレッシブな走りが楽しめることだろう。ほかにもAIカーに煽られたら画面に出るマーカーを見ながらブロックしたり,街灯や信号機をなぎ倒しながら歩道をショートカットするなど,リアル系のドライブゲームでは見られない要素で一杯だ。
 しかしいくらお手軽なアーケード指向とはいえ,少々気になる部分もある。各マシン(オリジナルマシンも含む)には挙動やセッティングの違いなどが若干再現してあるものの,正直なところレースにほとんど反映されないのだ。晴天や雨天といった天候の違いも同様で,さすがに濡れた路面は多少滑りやすくなっているが,走り方を大きく変えるほどには至っていない。結局,どのマシンを使っても似たような走り方になってしまうのは残念なところだ。
 この手のゲームに期待するドリフトも,かなり強引にブレーキングして無理矢理ドリフト体勢に持ち込めるものの,タイヤのグリップ限界を超えてリアが流れ出すなどの挙動はないに等しい。また,壁にぶつけようが,AIカーに突っ込まれようが,マシン破損がまったく再現されていないのも寂しいところか。
 操作に関してもフォースフィードバック(FFB)に対応しているということで,Microsoft Force Feedback Wheelを使ってプレイしてみたが,ステアリングをかなり切り込まないとマシンに反映されないため,コーナリングなどではかなり苦しめられた。しかも感度などを調整するオプションもないため,ステアリングでプレイするには,かなり慣れが必要だといえる。肝心のFFBも,壁に接触しても反応しないかと思えば軽い三角ポールに接触しただけで思い切り反応したりと,ちょっと不自然な印象を受けた。
 結局,操作に難ありなステアリングでプレイするよりも,ゲームパッドでプレイすることにした。ゲームの特性と相まって,キーボードよりもプレイしやすいのでお勧めだ。

ChampionshipのManufacturer's Cupでは,決められたマシンしか使えない。ちなみに写真のマシンはClass R用の(最高クラス)Saleen S7レーシングモデル 入手したパーツを組み合わせてオリジナルマシンを作成。自分で作ったオリジナルマシンでレースに勝利した時は格別の気分だ ドリフトさせることもできるが,ブレーキングで無理矢理流す必要がある。荷重移動で流れ出すというのが感じられないのは残念なところだ

リアルに再現された都市,濡れた路面に映り込む風景は必見!!

かなり美しい濡れた路面の反射。マシンが路面に映っているが,溝のある水の多い部分は反射が強くなっている。先に見えるコースを示す矢印も,しっかりと路面に写り込んでいる

 舞台となる7都市のコースは,ポリゴンとテクスチャをうまく使い,かなり細かいところまで描かれ,その都市の雰囲気を含め非常にリアルに再現されている。設営されたコース以外のところを走るということはできないが,パリのエッフェル塔,ノートルダム寺院,ロンドンのビッグベン,ロンドン塔,ロサンゼルスのスポーツアリーナ・ステイプルズセンターなど,有名名所も再現されているので,実際に訪れたことのある人はニンマリできるシーンも多いはず。F1が好きな人には馴染みが深いであろうモナコでは,ボーリバージュ(カジノ前までの上り坂),ローズヘアピン,タバコ屋コーナー,ラスカスなど,F1とは一風違ったイメージの街並みの中を走ることができるぞ。
 注目したいのは,濡れた路面への反射の再現。周りの風景やマシンが,濡れた路面にきちんと反射しているのだ。水の多い部分と少ない部分なども再現されていて,現実っぽく表現されている。
 しかし,そのせいか否か,動作が重くなってしまっているのはいただけない。解像度は640×480〜1600×1200ドット・16〜32ビットカラーでグラフィックスオプションも細かく設定することは可能だが,筆者のAthlonXP 1900+,GeForce3(Detonator 23.12),メモリ512MB,Windows Meという環境でも,1024×768ドット・16ビットカラー(グラフィックオプションでアンチエイリアス以外On)でも,全体的にフレームレートが低く,カクカクしてしまうのは残念なところだ。

アーケード系ドライブゲームが好きな人にはお勧め

 不満な点が目立ってしまったSSCだが,アーケード系のドライブゲームが好きな人,気軽にレースゲームを楽しみたいという人,何も考えずにガンガン爆走できるゲームを求めている人にはお勧めできるだろう。逆に「リアルさ」を求める人にはお勧めできない。キッチリと意見が二手に分かれそうなSSCだが,手に入れることは難しいスーパーカーを駆り,遠い異国の地をハイスピードで走り回る……そんな夢のような世界を体験してみるのも悪くない。

登場車種

Cクラス
 Bertone Pickster
 Lotus Concept Vehicle M220
 Rinspeed E-GO Rocket

Bクラス
 Callaway C12
 Pontiac Concept GTO
 Vision CTEK K/2

Aクラス
 Fioravanti F100
 Zonda C12-S
 Saleen S7

 

レースに勝つ(優勝)ことにより,さまざまなパーツ,コース,レースモードなどを入手できる。パーツを組み合わせてオリジナルのマシンも作れるぞ スティーブ・サリーン スタイリングスタジオではオリジナルマシンを作れる。スポイラーの形状やリアウイングのほかにホイールなども選択できるぞ 雨のロンドン。ドンヨリした雰囲気がなかなかよい。ショットでは少々わかり辛いが,実際には強烈に雨が降っている Head to Headでは,画面分割で2人対戦が可能だ。シングルプレイよりは処理が重くなってしまうが,それは仕方のないところか。しかし,せっかくオリジナルマシンを作れるのだから,ネットプレイにも対応してほしかったところだ

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■発売元:サイバーフロント
■価格:5800円
■問い合わせ先:サイバーフロント
  TEL 052-779-6549
■動作環境:Windows 9x/Me/2000/XP PentiumII/350MHz以上(PentiumIII,Athlon以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量:500MB以上

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