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SegaGT ホモロゲーションスペシャル

Text by UHAUHA
15h Mar. 2001

 
 
 
 
 
 
 
 セガが放つ移植版レースゲーム「SegaGT ホモロゲーションスペシャル」(以下,SegaGT)。
 市販車からGTカー(市販車ベースのレース車両)までが登場し,車種は日産,トヨタ,ホンダなど国内9メーカー,そしてNISMO,TRD,RALLIARTなど国内8チューンメーカーの約140車を網羅ししている。リアルな挙動,グラフィックスをドリームキャスト上で再現した作品を,キッチリPC上に移植した作品だ。タイトルにある"ホモロゲーション"とは,公式レースの規定を得るために生産される市販車のこと。中にはレース参戦をターゲットにしたとしか思えない車両が販売されることもあるが,やはりGTカーレースの魅力は,我々でも入手できる市販車をベースに身近な車が激しいレースを行うということにあるだろう。この"我々に最も近い位置にいるレーシングシミュレータ"といえるSegaGT,早速内容を見てみよう。
 ちなみに筆者はドリキャス版をプレイしたことがない。移植の出来に関して触れることはできないので,"PCのレースゲーム"としての出来を重点的に探ることにする。

厳しくもやりがいのあるライセンス取得
 SegaGTには多くのレースモードが用意されている。「チャンピオンシップ」ではGTカー全クラス完全制覇を目指すドライバー人生を味わうことができ,「シングルレース」では純粋にレースだけを楽しむ。「タイムアタック」では極限の走りで最速タイムを叩き出し,「デュアルレース」では上下二分割の画面で二人対戦が可能になっている。

チューニングでは,パーツを購入してマシンをパワーアップさせる。さらにセッティングを出して,タイムを詰めていこう。市販車でも,チューニング次第ではモンスターマシンに匹敵することができる……かも。当たり前だが"値段の高いレーシングタイプが良い"とはいちがいに言えず,走行するコースに合わせたチューンが必要だ。ちなみに吸排気系をチューンするとサウンドにも変化があり,さらに臨場感が増す
 中でもSegaGTの真髄ともいえる,「チャンピオンシップ」での流れを簡単に説明しておこう。  レースに出場するにはドライバーテストでライセンスを取得する必要があり,各メーカーごとに用意された車両で,コースを規定タイム内に走破すればライセンスが発行される。ライセンスはエントリー,B,A,SAと排気量ごとに分かれており,エントリーから順番に取得していなかければならない(このあたり,"リアル"と同じだ)。
 ちなみにこのドライバーテスト,なかなか手強い。1ミスで規定タイムを超えてしまうのだ。いろいろなメーカーのテストを受けてみると,比較的楽にライセンスを入手できるところもあるので,ダメそうなときは素直にそちらにいったほうがいいかも。このライセンステストでファステストラップを叩き出せば,そのメーカーのワークスカップに挑戦することもできるわけだ。
 規定タイム内にゴールできればライセンスが発行されるのだが,当然のことながら(?)すぐに大きなレースに出場することはできない。最初は所持金も少ないので軽自動車を購入してレースに挑むことになるだろう。最初からブッチギリの優勝などできるはずもなく,とにかく下位にでも入賞して賞金を手に入れ,
 マシンをセットアップ → チューニング → 上位を目指す
という繰り返しになることは必至だ。
 レースを繰り返す内にドライビングテクニックも身に付けることができ,さらに"優勝"の文字も自然についてくるはずだ。見事に優勝を手中に収めたら,さらに上のステップに進んでいこう。なお,公式レース以外にも車種別タイムアタック,耐久レース,ゼロヨン,最高速チャレンジ,そして実際の有名企業がスポンサーになっているレースなどもあり,レース魂を熱くするさまざまなイベントレースが目白押しだ。全てを制覇する道のりは長く険しいので,心して挑戦してほしい。

"ドライブモデル"はなかなかの出来

 さてこの手のソフトの命でもあるドライブモデルについてだが。
 レースシミュレータと謳うだけあって,結構リアルに再現されている。コーナーリング中に起きるロールやアンダーステアなど,タイヤを通してマシンがどのような状態にあるのか掴み取ることができるし,バンプなどでは急にマシンの挙動が不安定になるなど,細かい部分までシミュレートされている。タイヤのグリップ感を感じ取れるのは見事だ。
 そして挙動も,もちろん駆動系別に再現され,きちんとした走り方をしなければタイムアップを望むことはできない。特にミッドシップレイアウトの車種は扱いが難しい印象を受けた(実車もそうだろうけど)。また,市販車は全体的に比較的扱いやすいが,ことGTカーとなると話は別だ。レーシングカーといういわば"モンスターマシン"を,市販車同様に扱うことは難しく,かなりのテクニックを要する。正にレーシングドライバーとしての力量が物をいうところだ。
 どのマシンもAT/MTが選択可能で,マシンセットアップもグリップかドリフトの二つから選択が可能。当然,プレイヤーが細かく設定のできる多彩なセットアップ/チューニング項目も用意され(13項目44パーツのチューン/11項目24種類のセッティングが可能),何度も走りこんで自分に合ったセッティングやチューニングを探し出す楽しみも満載だ。市販車でも,チューニング次第では1000馬力を超える「じゃじゃ馬」に仕上げることもでき,乗りこなせるかどうかは腕の見せ所だ。お約束として,無茶なチューニングは逆にタイムロスを招くことにもなるので注意。

オリジナルマシンで熱くなれ!
 また,このSegaGTのウリは"オリジナルマシンを作成できる"ということ。用意されているパーツを組み合わせて基本部分から1台の車を作るというイメージだ。
 用意されているパーツの種類は非常に多く,気分はまさにメーカーの設計者というところか。パーツ群を列挙してみると,
 ボディ,エンジン(直列/水平/ロータリー),加給機(NA/ターボ/スーパーチャージャー),排気量,シャーシレイアウト,駆動形式,タイヤ,ホイール,ボディカラー
 ……と,かなり多い。
 重要な部分は,ボディ,シャーシレイアウト,駆動形式といったあたり。選択するボディによって重さや重量配分などに違いがあり,組み合わせるシャーシ,駆動形式によって,挙動などに大きく違いが出てくるのだ。作成したマシンをベースにチューニングを行うこともでき,自分の描いたマシンコンセプトに最適な"究極の1台"を,試行錯誤しながら作り上げるのも非常に面白い。

セッティングでは各部の細かい調整などが可能で,ノーマル車でもセッティングを変えるだけで挙動がガラりと変わる。一気にいろいろな部分を変えるのではなく,1箇所調整したら走るということを繰り返すことが,タイムアップにつながるはずだ
 ドリームキャストから完全移植ということもあって,他のPC版ドライブソフトと比べるといくつもの不満がある。グラフィックス面から見ても"現在の標準レベル"とはいえないと思うし,なによりネットワーク対戦不可能(画面二分割対戦しかない)というのは痛いところだ。PC版ならではのアレンジも欲しかったところだ。追ってツールを公開し,セガPCのランキングサイトでネットランキングを競えるようにはなっているようだが,ちょっと寂しいというのが正直なところ。
 しかし,レースモードには"ゲーム性"を,マシン挙動には"シミュレータ性"をと違うジャンルを融合させ,プレイヤーを熱くさせる作りになっているところは高く評価したい。プレイヤーの腕に合わせてゲームが進んでいき,苦労を重ねて次のステップへ進む。セッティングやチューニングは走りに反映され,抜けなかった相手がバックミラーに映るようになる……。
 ゲーム自体の難度が比較的高く,誰にでもお勧めできるソフトとはいえないが,それは手を抜かずに作ってある証ともいえるのではないだろうか。PC版ではGTカーという題材を扱った作品は意外に少なく,ファンには嬉しいこの1作。市販車からレース車両までマシンを走らせる楽しさ,作る楽しさ,そして乗りこなす難しさを味わうことができるという点で,非常にやり応えのあるソフトだといえるだろう。でもやっぱりパッチかなにかでネットワーク対戦ぐらいは可能にしてほしいような気も……。

ファクトリーでは,1台のマシンを基本コンポーネントから作りあげることができる。それなりにコストがかかるので,レースで優勝して所持金を貯めてからということになる。ボディ種類などかなりの数が用意されているので,重量配分など考えながらチョイスするのもまた楽し。

上は全てGeForce2 Ultraでの画面ショット。左から順に,FSAAなし,2×2,2×2 Special,3×3,4×4となっている。3×3,4×4では大きな違いが見られない……かな。キレイさと軽さを考慮すると,2×2 Specialが筆者のお勧め

■発売元:セガ
■価格:7800円(3月28日発売予定)
■問い合わせ先:セガ
  TEL 0570-000-354
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/300MHz以上(PentiumII/600MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量500MB以上,動作確認/保証グラフィックチップは「こちら」
■ムービー(31.45MB):http://www.4gamer.net/img5/SegaGT.mpg

(c)SEGA CORPORATION, 2000