QUEEN'S KNIGHTS クイーンズナイツ 日本語版

Text by Seal
23th Aug.2002

魔獣に育てられたシャルロットは,常に人形を抱いている。ゲームが進むとその謎が明らかになる

 「QUEEN'S KNIGHTS」は,開発を香港の"GameOne System"が手がけ,国内では文章やアイテム名を日本語に差し替えてサンソフトから発売される。本作は,"育成シミュレーション"のジャンルに属するが,それ以外にさまざまな要素を組み合わせることによって,単純な育成だけでは終わらない新機軸のシステムが特徴だ。また国内での発売時期は前後してるが,本作はすでに発売されているエターナルオデッセイの前に開発されたタイトルである。

 ゲームの舞台は、人間と魔獣,機械科学と魔法が共存するファンタジー世界にあるスロファニー国。その女王ウェイランは高齢で,次期女王となるディアに王位を継承する時期が近いと考えていた。しかしディアは9歳という若さから,起こり得るであろうさまざまな問題に対処することは難しい。そこで女性だけで編成された直属の親衛隊を結成することになり,数々の栄誉を受けた騎士団総領の主人公(=プレイヤー)が,その親衛隊の編成から訓練までを任されたのだ。訓練期間は3年間。その間に立派な親衛隊を作り上げなければならない。
 このようなバックストーリーでゲームはスタートするが,本作の特徴は,なんといっても単純な育成シミュレーションとしてだけで完結していないこと。各所にちりばめられたミニゲームや,鍛え上げた親衛隊を指揮する戦略シミュレーション仕立ての戦闘シーンなど,いろいろな要素を融合しているのがポイントだ。



装備品だけでなく,彼女達への誕生日プレゼントなども豊富に用意されている。装備品は高価なので,序盤では購入できないだろう 頻繁にイベントが起こり,キャラクター達の性格などを把握しやすくなっている


■武術大会を目指した訓練をしよう

1週間の予定はアイコンで簡単に組める。費用のかかりすぎ疲労をさけるため,休息日を間に挟もう

 親衛隊を結成するにあたって6人の候補が訓練を受けるのだが,プレイヤーが受け持つのはそのうちの半数となる3人のみ。残りの3人はライバルのテイラーが受け持って,互いに競いながらゆるぎない強さを持つ親衛隊に鍛え上げていく。その親衛隊候補の少女達は,体力自慢だったり魔法が得意だったりと,それぞれに長所がある。また気難しかったり,素直だったりと性格付けもなされているので,誰を選ぶかによってゲーム展開が変わってくるのも面白い部分といえるだろう。
 訓練は1週間単位で剣術や魔術,馬術などのカリキュラムを組んで行う。訓練の結果はいろいろな要素が組み合わさって,成功と失敗の2通りで表示される。成功すれば18種類用意されたパラメータのいずれかが上昇するが,失敗したときはなんの変化も表れないという具合だ。また訓練を行っていると疲労が溜まって病気になることがあるので,ある程度の休息も必要。このあたりは育成シミュレーションの基本的なシステムといえる。
 そうやってコツコツと訓練を積み重ねていき,3か月ごとにはテイラー率いる3人と武術大会が行われて,それまでの鍛錬の成果が試される。武術大会での結果は彼女達たちのパラメータには影響しないが,訓練に必要な資金が勝利者のみにしか手渡されない。このため,手を抜かずにきちんと訓練をさせていないと,あっという間に資金が尽きてしまう。資金が無くなってもゲームオーバーとはならないが,訓練が一切行えないので,いずれやり直すことになるだろう。もちろんセーブやロードの機能は用意されているので,訓練の悪かった部分を見直して,少し戻ってやり直すのが賢明だ。



訓練は,2回の成功チェックが行われ,成功時にはパラメータがUpする 訓練を行う宿泊所では,リーヤが食事などの世話をしてくれる。ほかにも武器のメンテナンスをする"おやじ"もいる


■戦略的な要素を持つ戦闘シーン

戦闘シーンは,戦略シミュレーション風となっている。考えて行動しないとすぐ囲まれて倒されてしまう

 1年ほど訓練を重ねていると,いろいろな仕事をこなして資金を稼げるようになる。この仕事は,反乱兵を捕らえるものやアイテムを入手してくるもの,魔獣にさらわれた住民を救出するものなど,バリエーション豊富に用意されている。この仕事をこなすときには,戦略シミュレーション風の戦闘シーンへと移行して,アイテムを守っている魔獣を倒したりするのだ。
 戦闘システムは,プレイヤー側と敵側の行動を交互にするターン制を採用している。パズルゲームのような要素があり,適当に行動しているとあっという間に負けてしまう。どのようにキャラクターを行動させるかという以外にも,魔獣を捕まえて仲間として参戦させたり,武器や防具などの装備品を購入してパワーアップを図るなど,勝つための方法は多数用意されている。戦闘シーンは,ゲーム後半になるほどプレイ時間に占める割合が高くなってくるので,育成シミュレーションを遊んでいるのか,戦略シミュレーションを遊んでいるのか分からなくなるほど。序盤(といっても1年後)から戦闘をうまくこなせるようにしておくのが,後半を楽にすすめるコツだ。
 また一定期間で行われるテイラーとの手合わせでは,3種類のミニゲームをする。このミニゲームはプレイヤーが操作し,その結果によってパラメータが変化するのも単調さを打破するエッセンスの一つだ。また,彼女達とのイベントシーンでは3種の選択肢によってパラメータが変化するなど,"コミュニケーション"という要素も持ち合わせている。

 全体的には,既存のシステムの面白い部分を単に詰め込んだように見えるが,やりこんでいくうちに"より面白くするためのバランス"が絶妙なことに驚く。3年間という制限があるので,効率よくプレイしていかなければならないのは仕方ない部分だが,プレイヤーを飽きさせない展開となっているのだ。
 グラフィックスから"そっち系"のゲームと思われがちだが,実際は結構ハードで難度が高い部分もある。ゲーム後半の戦闘シーンをどのようにして勝利するか,資金面で苦労しないためにいかに稼ぐか,といった問題をきっちりクリアしていかなければならないのだ。最近では,育成シミュレーションのタイトル数が少ないので,"やり込む"ゲームとしてプレイしてみるのはいかがだろうか。

ミニゲームは3種類用意されている。これは魔法のミニゲームで,魔物を召喚する呪文を詠唱するものだ 季節の変わりめには服装のチェンジも忘れずに。18種類と豊富に用意されたパラメータにも注目だ

このページを印刷する

■発売元:サンソフト
■価格:7800円(2002年9月27日発売予定)
■問合せ先:サンソフト TEL 0587-55-0288
■動作環境:Windows 9x/Me,PentiumII/233MHz以上(PentiumII/450MHz以上推奨),メモリ32MB以上(64MB以上推奨),空きHDD容量800MB以上,DirectX 7.0以上

(C)Gameone SystemsLimited 2000 (C)2002 SUNSOFT