3-D Ultra Cool Pool日本語版
Text by 中島 渉 /Vmag.2000年8/15号
巨大RPGやシミュレーションは,手間かかるし時間的にちょっと……という人に人気があるのが,1ゲームのプレイ時間が短くて手軽に遊べるテーブルゲームのたぐい。Web上でも簡単にプレイできたりするものの,やはり物足りなさを感じてしまうのではないだろうか。
この作品は,時代を経て周期的にブームとなるビリヤードを題材にしているPCゲーム。かくいう筆者も学生時代にビリヤード場にはかなり通った思い出がある。PCゲームとしても数多くがリリースされているのだが,「遊んでみたい」と思うものはほとんどなかった。コンピュータ相手に一人で遊んでも楽しくないのでは,と思っていたからだ。
価格は安いが本格派
そこに,ネットワーク対戦に対応した「3-D Ultra Cool Pool日本語版」(以下Cool Pool)が登場した。エイトボール,ナインボールという王道だけでなく,ユニークなオリジナルのゲームが追加されているのも特徴だ。
ビリヤードを題材にしたゲームでは「操作感」がかなり重要だと思うのだが,本作は全く問題がないレベル。動作が軽快なだけでなく,微妙なセッティングも決められ,細かいボールの挙動も再現されている。
手玉のどの位置を突くかという部分だけでも,マウスを使って無段階に調節することができ,それが正確に手玉の挙動に反映されるのである。突くときのパワーの調節や方向を調節して微妙なコントロールを加えられるというわけだ(マウスだけでなくキーボードでも行える)。プレイしてみた感じでは,マウスである程度の目安をつけた後,キーボードで微妙な調節を行っていくのが現実的。
PCゲームならではといえる機能も,豊富に用意されている。まず一人で練習するときに重宝するのが,直前のプレイをやり直しするアンドゥ機能。何回もやり直すことによって,玉の配置と突き方を覚えられるのがありがたい。ちなみに難易度設定はちょっと変わっている。初級,中級,上級の3種類があるが,コンピュータの強さが変わるのではなく,"ターゲットボールの距離"が変化するのだ。
ターゲットボールとは,「ボール」とはいうが,手玉が移動する方向と,目標となる玉に当たった後の移動方向が表示されるもの。要はヘルプだ。初級では,ターゲットボールが長い距離まで伸びるので確実にポケットに玉を入れられるが,上級では短い距離しかターゲットボールが伸びず,プレイヤー自身の腕が必要となるという具合だ。
また,ビリヤードというものは台上のボールの配置を正確に把握しなければならないのだが,Cool Poolには,真上視点,斜め上方視点,プレイヤー視点の三つの視点モードが用意されている。
ネットワーク対戦は,あらかじめ用意されているサーバーへ自動接続してくれるタイプ。完全日本語版の発売元であるピーアンドエーでも専用のサーバーを用意しているので(「ここ」で設定ファイルを入手)しているので,日本人同士で気軽に対戦できる。
あの名画ハスラーを観たくなるゲーム,それがCool Poolだ。ハスラー気分でネットワーク対戦してみるのも乙なものでは?
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