メインはシミュレーションモード
　このゲームには，二つのゲームモードがある。"クイックスタート"はセッティングを気にする必要がなく，手軽にタイムアタックやレースを楽しむことができるモード。いわゆるアーケードモードだろうか。
　もう一つは，ウリである"シミュレーションモード"。このモードでは，細かくセッティングを煮詰め，タイムを詰めることが至上命題。ファステストラップを出すことに挑戦したり，レースに挑戦してさらに上のクラスを目指したりといった感じだ。このソフトのウリでもある，マニアックとも思えるほどのセッティング項目を調整し，タイムや挙動の違いが味わえるわけだ。
　ちなみにレースに勝つと，ポイントを得られると共に，新しい車を入手することができる。メニューに"ピット"というものがあって，オリジナルにチューニングを施した車を保管しておけるので，ワンメイクレースに出場するときなどには車を乗り換える必要がある。まぁこのあたりは「Gran Tourismo」ライク。

挙動は悪くないのだが……
　レースシムの要（かなめ）である挙動に関してだが，FR車，4WD車など車種の違いが良く分かり，走りの違いが良く再現されている。画面を見ていても，なかなかに芸が細かい。しかし，ほかのドライブソフトに比べて「扱いやすい」という印象を受けた。
　これは，あまりにもリアルに市販車を再現している点にあるのではないかと思う。誰が乗っても比較的扱いやすいようにセッティングしてある市販車では，乗り手次第でどういう走り方もできるのである。ノーマル状態で乗りこなせるようになってから，細かいセッティングをして走りを煮詰めていくのがベストだろう。なお，マルチプレイもサポートされてはいるのだが，LAN接続のみなのは残念なところ。

期待は大きかったのだが，もうひと頑張り
　少し苦言をば。「究極のカーレースゲーム」と謳われているが，ゲームなのかシミュレータなのか，どちらとも受け取り難い仕上がりなのは残念なところ。
　"ゲーム"として見たときには，やはりこのグラフィックスはちょっとナニだし（下の3画面参照。FSAA ONでも，正直クオリティの低さは否めない），コースが少なすぎて単調なレースになってしまっているのもいただけない。おまけにどのレースも，スピンなど大きなミスをしなければ，簡単に優勝できてしまうときたものだ。

FSAAなし

FSAA 4Sample

FSAA 2Sample

　では"シミュレーション"部分はどうだろうか。敵車とのバトルでは，接触しても大きな挙動の変化もなく破損もしないので，コーナーでは接触してパッシングするという荒業も「簡単」にできてしまう。かなり"アーケード"が入っているといえよう。前述の"扱いやすい印象"とともに考えると，「リアルなのは設定だけではないだろうか」という気さえしてきてしまう。いっそ"究極のレーシングカーセッティングゲーム"としたほうが分かりやすくていいのではないだろうか。それなら納得できる仕上がりだし，それはそれで需要はあると思う。
　とことん「リアルさ」を追求し，挙動は自体は実に良く再現されているのだから，それを生かせるコースをもっと多く用意し，あえて"ゲーム"という点はバッサリ捨て，セッティングを楽しむというシミュレータ要素のみに絞ったほうが，このソフトの良さを出せたのではないかと思う。
　このゲームのウリである"リアルに再現された車の挙動"を最大限味わうのであれば，Force Feedback付きのステアリングでプレイすることをお勧めする。実際に市販車を走らせているような感じで楽しめることだろう。

　セッティングを調整し，コースを走らせ，その違いを楽しめるプレイヤー向けという感じが強い。普通にレースゲームで遊びたい人には，ちょっとお勧めできない。しかし，HondaやToyotaなど他メーカーのEDITIONも順次発売になることだし（しかもAdd-On形式になるようで，それぞれをインストールしていくと，車種がどんどん追加されていくのだ），自分の所有するクルマのメーカーのEDITIONを買って，どの程度リアルに再現されているのか試してみるのも一興かもしれない。

■発売元：メディアカイト ■価格： 6800円 ■問い合わせ先：メディアカイト 　　TEL 03-5449-2581 ■動作環境：Windows 98/Me/2000，PentiumII/400MHz以上（PentiumIII以上推奨），メモリ64MB以上（128MB以上推奨），空きHDD容量200MB以上，Force Feedback対応 © VR-1 JAPAN, Inc.