「マフィア 日本語版」
Text by 松本隆一 4th Mar.2003
■期待の日本語版,ついに発売
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主人公トミー。しがないタクシー運転手だったが,ふとしたきっかけでギャングの道へ進むことになった |
シュボ!(ライターの音)。ジジジ……(タバコを吸う音)。プハー(煙を吐く音)。ジジジ……(タバコを吸う音)。あちちちちち!(根元まで吸い過ぎた音)。
ふふ。こう見えてもオレは昔,けっこう善人だったんだ。ドラゴンを倒して全世界を平和にしたこともあったし,魔王を倒して全世界を平和にしたこともある。特殊部隊を指揮してナチと戦ったこともあったし,一人でナチと戦ったこともある。テロリストもたくさん倒したなあ。だけど世間は冷たいもんさ。感謝状の一つももらえやしないんだぜ。そんなわけだから,これからはもう,みんなのために戦うのはやめにしたのさ。そう,法律なんか無視無視。これからはオレのオレによるオレのための戦いさ。犯罪なんか屁のカッパ。クライムゲームの時代だぜ!
と,いきなり無理やりな感じの強い盛り上がりに挑んでみたが,ついついそんなアウトローな気分にさせてくれるゲームがこの「マフィア 日本語版」(以下,マフィア)だ。プレイヤーは犯罪組織の下っ端としてスタートし,数々のミッションをこなしながら暗黒街道で出世していくというストーリー。シューティングありカーチェイスあり,おつかいミッションありでジャンルを確定しにくいが,この作品はクライムゲームということになるらしい。犯罪遊戯である。
制作はチェコ(!)のデベロッパーであるIllusion Softworksで,過去には特殊部隊モノの「ヒドゥン&デンジャラス」などを作っている。ちなみにマフィアの次にはベトナム戦争を題材にした「Vietcong」の制作を発表しており,ベトナム好きの私としては個人的に期待が大きい(ただしマフィアの制作メンバーは参加していないそうだ)。
ちなみに,Illusion SoftworksのCEOはPetr Vochozkaという方なんですが,これって,「ペーター・ボコスカ」さんとお読みしていいんでしょうか? すすめーすすめーものどーもー? チェコ語に詳しい人,教えてください。
さて,英語版の発売日は何度も延期され,そのたびに「中止か?」という噂が飛び交ったものの,めでたく2002年の8月に発売された。しかも発売と同時にめぼしいタイトルを総ナメにし,同時期に発売されたいくつもの大物タイトルを凌いで,かなりのヒットを記録している。そんなマフィアの日本語版が2003年2月14日,バレンタインデーという以前から私にはほとんど関係のなかった日に,ズーから発売になったのだ。
■なぜかあんまり背徳的じゃない犯罪ゲーム
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スピード違反は,変に逃げずにチケットを受け取るのも手。ちっともギャングっぽくないけどね |
さてクライムゲームといえば,やはり思い出されるのがMZ-80の「万引き少年ゲーム」だろう。警備員の動きが変で変で……ってのは大嘘。やはり思い出されるのは,「Grand Theft Auto III」(以下,GTA3)だろう。同じように犯罪組織で働く男を主人公にし,3Dで緻密に作られた町の中を盗んだ車で移動するというコンセプトから,マフィアと一緒に語られる機会の多いゲームだ。このゲームは私もヤリ込んだクチで,ミッション達成率100パーセントという,社会人としてはいかがなものかという記録を保持している。ちなみにGTA3もズーから日本語マニュアル付きで発売されており,やりますねズーの旦那,といってもいいと思う。というわけで,私もそのへんから入っていくことにする。
結論から言ってしまえば,マフィアとGTA3とはまったくといっていいほど違うゲームだ。
まず,マフィアにはGTA3のようなアナーキーさは少ない。GTA3では足の向くまま気の向くまま,通りすがりのオヤジ銃殺,ババア撲殺,アバズレ轢き殺しなどができた。マフィアでもやろうと思えばやれるのだが,やっても無意味だし,かえってミッションの達成の邪魔になってしまう。町中を走るのはつねに何らかのミッション中であり,その途中で意味もなく人を殺して追っかけてきた警官を倒しても,スキルが上がるわけでも金銭や武器が獲得できるわけでもない。
だから,GTA3にあった「やべーヨ,この人。目がイっちゃってるよ」というムードはほとんどなく,命令されたことを忠実に実行する冷静さが重要になる。
それを象徴するのが"制限速度機能"だろう。デフォルトでF5のキーを押すと,プレイヤーの車は法定速度をオーバーすることがなくなる。「何それー? ビビってんじゃねーの」と思う暴走系の人もいるだろうし,私も最初そう思ったが,この機能のおかげで長く厳しいミッションを乗り越えた末,うっかりスピード違反しちゃって逮捕。ミッション最初からやり直し。などという事態を避けることができるのだ。ゲームが進むにつれて,癖になるくらいF5キーを押すこと間違いなし。私なんか,猛烈ダッシュで敵の追っ手から逃げるときにすら制限速度を守ってしまうという,全国交通安全協会から表彰してもらえるくらいの法遵守マフィアだ。
ところで「マフィア」はたしかに犯罪者を主人公として犯罪を扱ったクライムゲームだが,エンディングのメッセージ性の高さといい,必ずしも反社会的じゃないところが作り手側のうまさであり,ユーザーの人気を得た理由の一つなのだ。
■ストーリーがかなり最高
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左から,ドン・サリエリ,フランク,ポーリー,トミー。構図の関係で見えないが,仲間のサムもいる。ファミリー勢ぞろいの図だ |
もちろん,いくら交通法規に対して真面目でも,犯罪組織なのだからヤっていることは犯罪。
主人公のトーマス・アンジェロ,通称トムあるいはトミーは,しがないタクシーの運転手だ。ある晩,負傷して逃げてきたサリエリ・ファミリーのポリーとサムをタクシーに乗せたことから,対立組織に命を狙われてしまい,心ならずもファミリーの一員になる。時は1930年。大恐慌で世の中は不景気。ヨーロッパと太平洋からは戦争の遠い足音が聞こえ,歴史に残る珍法,禁酒法がまかり通っている時代だ。うーん,いいムード。
新入りのトミーはドン・サリエリからの命令を受けに受け,次第にファミリーの大物になっていく。そしてトミーの活躍でファミリーもどんどん拡大していく。というのが,ゲーム開始前から知っておきたい話の大筋だ。
ところがオープニングムービーでは,すっかり黒づくめの高級スーツに身を包んで風格のあるトミーが,レストランでランチをとる刑事の前に座り,「すべてを告白するから助けてくれ」と頼むところから始まるのだ。トミーに何があったのか……? という感じでストーリーが進み,プレイヤーはぐいぐい物語に引き込まれていく。
このゲームのすばらしいのは,やはりストーリーの渋さと重厚さだろう。まるで映画を見るような……ってのは最近誉め言葉じゃないみたいだけど,プレイし終わってみると傑作映画を一本みたような充実感と満足感がある。GTA3が犯罪行為それ自体の魅力でプレイヤーを引っ張るのとは異なり,キャラクターの存在感とストーリー展開で見せるマフィアは,ゲームに物語性を求めるわが国のユーザーにもアピールするんじゃないかと思う。
キャラクターの造形そのものは普通のレベルだが,キャプチャーされた動きや表情,セリフなどでそれぞれの存在感を高めている。サリエリ親父のドンぶりや,相棒ポーリーのチンピラぶり,自動車担当のラルフのおつむ弱ぶりなど,かつての私はポリゴン芝居にいささか抵抗があったが,そろそろ考えを改めるべきかもしれない。とくに,うまくやればやるほど次第に組織に違和感を感じていくトムの演技がすばらしく,つい見惚れてしまう。かつては物珍しいだけだったCGが,確実にメディアに育っているのだ……なんちゃって,いまさらですね。
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武器を担当するヴィンチェンゾ。頼れる男。駐車場には,車のことなら何でも知っているラルフがいる |
後半,出てくる町の闇武器屋。あだ名はイエロー・ピート。歯がヤニで黄色いからだ |
■手強いミッション
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ひょんなことからレースに参加することになったトム。マフィアにレースをやらせんじゃないよ |
郊外の農家まで密造酒を受け取りに行くと銃を持った男達が待ち伏せていたり,チンピラの住処と化していた旧刑務所で殺戮を繰り広げつつ政治家を狙撃銃で暗殺するなど,各ミッションは演出もゲーム性も手が込んでいて,やりごたえがある。みかじめ料を徴収して回るなどの"お約束"的なミッションもあるが,そんなときも最後の最後で波乱が待ち受けている。どのミッションも「ああ,きっとこうなるんだろうな」という予想を最後でひっくり返されたりして,平凡な展開がない。とくに後半は話がどんどん盛り上がってきて,ストーリーの魅力ゆえに止められなくなってしまった。犯罪行為とはいえ,関係のない一般人を殺したり脅迫したりする内容のミッションは少なく,ほとんどの場合は敵ファミリーであるモレロ一家か悪徳政治家との戦いだ。そのためクライム感はそれほど高くない。たまに言うことを聞かない一般の運転手をバットで殴り倒すことになり,「ああ,そういえばオレってマフィアだったっけ」と自覚する程度だ。
とはいえストーリーにこだわるあまり,ちょっとスクリプトが複雑になりすぎている感じもある。想定された行動以外の動きをとると,イベントが発生しなくなったりクリア不能になったりするのだ。私も何度か相棒を車に乗せ忘れたまま目的地に向かい,着いたところで「なぜ何も起きない!?」と喉をかきむしったりしたのも良い思い出。セリフをちゃんと読めばいいんだけど,もう少し親切でもよかった気がする。
そんなわけで,日本語化は感謝感激雨アラレだ。私は相手にまったく通じないことを除けば英語に堪能だが,それでも英語版でゲームをするのは難航だっただろう。いやあ,日本語で遊べるのは幸せだなあ。
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襲ってきたモレノの部下を皆殺しにしたトム。襲撃を受けても落ち着いているサリエリは,さすがドンだ |
ターゲットに接近するため,変装して船に乗り込んだトム。これはけっこうきついミッションなのだ |
敵をライフルで狙撃するというミッションもある。撃つのは簡単だが,うまい狙撃位置につくのが難儀 |
■本物がどっかにあるんじゃないと思うぐらいのロスト・ヘヴン
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邸宅が建ち並ぶ山の上の高級住宅街の夜。遊びに来たわけじゃないのはいうまでもない |
グラフィックスは発売前からすでに話題になっていたが,今回それを目の当たりにして,さすがの私もあっけにとられてしまった。このゲームに開発されたという描画エンジンは,最小のデータ量で最大の効果を発揮するようにチューニングされたという話だが,ともかく登場人物が暮らす架空の都市,ロスト・ヘヴンのディテールと存在感は圧倒的だ。
手に入る限りの写真を使って再現された当時のビルは数百棟におよび,その間を60種類の自動車が行き交い,歩道を多くの人々が歩く。その広さ実に12平方マイル。本当に(行ったことはないんだけど)30年代のアメリカの大都会そのもの。しかも都市だけなく,工業地帯,田園,郊外,高級住宅街など,それぞれがリアルに再現されていて,これを見て回るためだけでも遊んでみる価値ありでございますとも。
GTA3の町にもさすがの私も思わずあっけにとられたが,リアルさ緻密さという点で言えば,マフィアに分があるだろう。そういや,「メダル オブ オナー アライド アサルト」の戦場にもさすがの私はあっけにとられたし,「バトルフィールド1942」でもさすがの私はあっけにとられたので,まさに,あっけにとられるために生まれてきたといえるだろう。さすがだ。
そんなわけで,弊害として町が広すぎてなかなか思ったところに到着しない,というのが挙げられるだろう。うれしい悲鳴というやつだ。「ひえー,ここどこ!? 見たことないー!」(うれしい悲鳴)。
なにしろロスト・ヘヴンは2本の川とセントラル島(マンハッタンそっくり)をはさんで東西に分かれているため,レーダーの指示通りに移動しても川にぶつかってしまうことが多い。最低限の地理は頭に入れておかないと仕事にならないのだが,まあ,車で町をうろうろ流すのもけっこう楽しいです。ちなみにTabキーを押すと地図が表示されることに気付けば,最低限の地理を頭に入れるのが苦手な私のような人でもなんとかなります。せめてクリアする前に気付けよ,俺。
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セントラル島は高いビルの多い商業地区であり,劇場や美術館などもある |
私はヘッドフォン派なのでよくわからないが,EAXを利かせたときのサウンドもすばらしいと評判だ。町の喧噪や車の音の厚みが半端じゃないそうなので,対応のカードを差している人はぜひお試しあれ。バックに流れるご機嫌なスイングジャズがよりクリアになり,時代の雰囲気をより一層味わえるだろう。
ミッションを受けると,トムはまず車に乗ってサリエリ・バーの駐車場から仕事場まで走ることになる。んでミッションが終わると,車でサリエリ・バーまで帰る。ほとんどのミッションでは,最初と最後にこの作業が待っている。これが超面倒というプレイヤーもいるようで,海外のレビューの減点ポイントになっていたりもする。ゲームの半分以上,ただ安全運転しているだけなんて退屈だ,と。
私自身に関していえば,実はこのぼんやりクルーズが一番好きなのである。ゲーム世界に深く浸れるし,とくに仕事帰りの夕方,慣れた道を走らせて家路を急いでいると,「ああ,俺もそろそろいい年だし,こんなヤクザな生活から足を洗わなきゃ。結婚もしてーなー」なーんて,トミーのこととも私のことともつかぬことを考えて,たそがれちゃったりして……。しかも頭が半分眠っていたりすると,グラフィックスの完成度がものすごいせいで,本当に車を走らせているような気分になってくる。まさにゲームでトリップ。やばいなあ,俺。
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リトルイタリーの南は工業地区で,こんな大きな港もある。治安のいい土地ではないようだ |
田園風景が広がるロスト・ヘヴンの郊外。たまにはこんなところをゆっくりと走ってみたい |
町の北には飛行場があり,飛行船の姿も見える。格納庫や建物のディテールがすばらしい |
■クラシックカーを乗りこなせ!
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映画さながらのアクションシーンが次々に出てきて,プレーヤーを飽きさせない。撃ち落とせ! |
というわけで自動車について少し。
ゲームに登場するのは,当然ながら今ではクラシックカーと呼ばれる1930年代に現役だった車で,現代の車とはかなり挙動が異なるようだ。まずブレーキの利きが極端に悪く,なかなか止まらないうえに派手に煙を噴き上げる。カーブもふくらみやすく,急にまがると横転することもある。加速も非常に悪く,ヘボい車だと上り坂で時速10マイル以下になったりする。なんちゅーか,壊れた車をだましだまし乗っているような雰囲気だ。
これが実際のクラシックカーのデータに忠実なのかどうかは知らないが(たぶんそうなのだろう),全60種類の車種の格差はかなり大きく,追いかけっこでは苦労することも多発。追われる場合は敵の車の性能がいいとアッという間に追いつかれるし,追う場合には簡単に逃げられてしまったりする。本当に極端な性能である。
通常,ミッションに使う車は車庫係のラルフが用意してくれる。そうでない場合は,なるべく速い車を自分で選ぶことだ。あるミッションを終わらせると,橋のたもとで自動車修理工場をやっているルーカスという男がサブミッションをくれるようになる。その仕事を無事クリアすると,なかなか手に入らない高級車がどこに停まっているかを教えてくれる。ルーカスの仕事を受けなくてもミッションに使う車がなくて困るようなことはないが,パワフルな高級車はぜひコレクションに揃えたいところ。何より,これみよがしに高級車を乗り回すのは今も昔も男の憧れなのだよ諸君。
他人様の車をゲットするには,ろれつの回らないラルフから,対象となる車種のロック解除の方法を教わっていなくてはならない。しかも盗めるのは,道端か駐車場に停まっている車だけだ。ミッションが進まないとラルフは鍵の開け方を教えてくれないため,ゲームの最初はショボい車しか盗めない。
ほしい車の前に飛び出して中指を立て,乗っているヤツを引きずりおろして奪い取るというクライムゲームらしい方法もある。これは十分に間隔をとってから実行しないと轢かれて大怪我,悪くすると死んじゃうという,失敗すると目も当てられない手段だ。どういうわけか引きずりおろしたドライバーがバットや銃を持っている場合もあり,奪われた車を取り戻そうと果敢に挑んでくることもある。何をする,危ないじゃないか。
登場車種は本当に多いのでコレクションし甲斐があるが,車庫における台数には限りがあるため悩みどころだ。各車のスペックや外見などはメニュー画面の「エンサイクロペディア」から確認することができる。これがまたクラシックカーマニア垂涎の見事なデータベースで,私はさほどならなかったが,その筋の人なら思わず「うっ」と前屈みになること請け合い。
■マフィアのお仕事,それは撃ち合い殺し合い
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どんな小さな街角も細かく作りこまれている。ちなみに,奥の男は妙な姿勢で立ちション中 |
この手のほとんどのゲームで大きなウェイトを占める銃撃戦。マフィアにおける撃ち合いの難度は,かなり高めだ。とくに至近距離からのショットガンは意外なほどダメージが大きく,場合によっちゃ即死である。反対に38口径などはほとんど効果がなく,6発撃ち込んでも反撃されたりする。しかも弾倉の交換にはジリジリするほど時間がかかり,その間に遠くの敵は走り込んできたりするから始末が悪い。回復ポイントは極端に少なく,一つもないマップだってかなり多い。
武器の入手はもっぱらファミリーの武器係,ビンチェンゾからもらうことになる。殺した敵が落とした武器を拾うことはもちろん可能だ。敵AIは比較的優秀で,物陰にかくれながら接近したり背後に回ってきたりする。もっとも,その場を動かないやつや何発撃ち込まれても死ぬまで気がつかないような鈍いのもいるから安心だ(何が?)。
しかも,敵もこちらと同様に弾数の上限があり,弾切れを起こす。とはいえ敵が「アモー(弾丸)」と叫んで立ちすくむので,「ふふふ,おまえの処刑タイムがやってきたな」と立ち上がったところ,殴りかかられて反撃する間もなくアウアウやられて気がついたら死んでしまったという苦い思い出もあるので気をつけろ,おれ。
バットと拳骨,いわゆる殴り合いの類は距離感がつかみづらく難しい。おすすめはトンプソン,いわゆる円盤弾倉のトミーガンで,これをチマチマ使って撃てば,大抵のシーンはなんとかなるだろう。
ポーリーなど仲間と組んで戦う場合,どういうわけかどいつもこいつも突撃傾向が強く,やめろっちゅーのに飛び込んでいって死ぬ。バカである。こっちがしゃがめば仲間もしゃがむので,その性質でわずかにコントロールできるが,それでも敵に元気いっぱい飛び込んでいってどつき殺されるお友達はなんとかならないだろうか。
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ギャングなんだから銀行強盗もする。警備員も撃ち殺す。だが,ナイフに生きるものはナイフに死ぬのだ |
難度を高めている最大の理由は,途中セーブできないというところだ。
時間をかけて一人一人相手を倒していっても,ついうっかりの見過ごしがすべてをチャラにしてしまう。しかし,これが銃撃戦のリアリティを高めているという見方もできるだろう。また一段落ついてセーブしても,ミッションが終わっていなかったということがある。半死半生で仕事をクリアしたのに,セーブ後まだ続きがあってびっくりしたり驚愕したり驚いたり。同じミッション内では体力や武器は引き継がれるので,進退窮まった場合は最初の最初からやり直す必要があることもある。だが,それがかえってリアリティというか次に何が起きるかわからない迫力を醸し出しているともいえるわけで,難度とゲーム性とリアリティの天秤は永遠の課題であるなあ。
もっとも,ぬるいことで有名なこの私でもなんとかクリアさせたのだから,こんなのぬるぬる,というプレイヤーもけっこう多いかも。ちくしょう。
そこで(どこで?),私が発見した裏技を一つ紹介しよう。これは敵に追われて逃げるとき,スピード違反で警察にも追われてしまった場合の対処法だ。こういうケースはけっこう多いと思うが,そんなときは車を降りて警官に罰金を払っちゃえばいいのだ。
トム「すんません」
警官「二度とこんなことしちゃダメだよ」
などとチケットを切られているとき,追ってきたモレロ一家の若い衆はじっと銃を構えて待機してくれる。律儀な連中である。ただ,警官が行くとすぐにも発砲が始まるので,気をつけなければならない。……たいした裏技じゃない? そうかも。
■買って損はない。ギャングが保証します
というわけで,いろいろ書いてきたが結論だ。忙しい人はここから読んでもいいです。
いくつか不満はあるものの,マフィアは久々の"MUST BUY"アイテムである。物欲レベル「絶対買え!」だ。GTA3を楽しめた人もそうでない人も,どちらにもプレイしてもらいたい。もちろん,この手のゲームなんかやったことないというゲーマーにもだ。
現在のPCでどんなことができるようになっているかがよくわかるし,今後のコンピュータエンタテインメントの方向性も見える。最高のグラフィックスとサウンドで楽しむにはそれなりのスペックのマシンが要求されるだろうが,マフィアのためなら,その投資は惜しくないと保証しよう。保証書は書かないけどな。
ただし,喫茶店などで「オレはマフィアが大好きだあ」などと大きな声で言うと問題を惹起する場合もあるので,気をつけていただきたい。かしこ。
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