フロムダスクティルドーン

Text by UHAUHA
20th Dec.2001

予測不可能なストーリー展開

吸血鬼軍団の数が多い場合は,火炎放射器が役に立つ
終盤にかけて吸血鬼軍団の数も多くなるので,正確な射撃が必要だ
プレイヤーが操作する死刑囚Seth Gecko

 「フロムダスクティルドーン」(以下FDTD)は,同名の映画を題材にした3Dバイオレンスアクションゲーム。映画のほうは,前半は強盗犯罪映画,後半はいきなり吸血鬼軍団との死闘と,クエンティン・タランティーノ監督らしい奇想天外なストーリー展開がウリだった作品だ。
 プレイヤーは,死刑囚Seth Gecko。ある日,彼が服役している刑務所が吸血鬼軍団に襲われた。生きて脱出した者はいないといわれている刑務所,しかも吸血鬼が占領中というとてつもない状況で,果たして無事に脱出することはできるのだろうか……。やはりゲーム版FDTDも,映画同様に奇想天外なストーリー展開だ。

ただの3Dアクション&3Dシューティングゲームと思うなかれ

"両手に花"状態(笑)の吸血鬼軍団のボス

 FDTDは,次々に襲いかかる吸血鬼軍団を撃ちまくるのがメインの楽しみ方ではあるが,きちんとバックストーリーがあり,それに沿ってゲームが展開していくところも見逃せない。謎解きというほど難しいものではないものの,一つの課題をクリアすると次の展開へ進むという,最近の3Dアクションゲームでよく見受けられるシステムだ。
 しかしほかのゲームと大きく違うのは,NPC(ノンプレイヤーキャラクター)と一緒に行動することが多いということ。とはいえ最初からNPCが共にいるわけではなく,ゲーム途中で生存者と遭遇し,一緒に刑務所から脱出を図るという展開だ。共にモンスターと戦ったり逃げ道を確保してやったりと,なかなか面白いアイデアが組み込まれている。NPCにもしっかりライフ設定があるので,間違って撃ち殺してしまったり,吸血鬼軍団に殺されたりするとゲームオーバーになってしまう。ときには援護してやることも必要だし,モンスターを引きつけてNPCに攻撃させ,自分は弾薬温存なんてこともできたりする。武器も最初はスタンガンのみと頼りないが,徐々にマシンガンや火炎放射器なども使えるようになってくる。

 吸血鬼軍団も個性的な連中(?)が揃っている。人間とソックリな奴もいれば,グロテスクなモンスターとしかいえないような奴などがいて,それぞれ異なった動きで攻撃を仕掛けてくるのだ。ゾンビと化した人間などは,横っ飛びで攻撃をかわしたり,攻撃を受けると頭を抱えて逃げ出すなんてことまでしてくる。ダメージを与えると頭や手足がもげて倒れるが,完全に"消失"させないと,起き上がって再び攻撃を加えてくる。さすがに首のない人間がムクッと起き上がってこちらに走ってくるのはゲームとはいえ気持ちがいいものではない。その場合は,倒れているときにさらに攻撃を加えたり杭を心臓に突き刺したりして,キチンと(?)消失させてやろう。

ちょっとだけ気になるところも……

暗闇では武器にライトを付けることができる。ライトの光で浮かび上がる吸血鬼軍団は気味悪いの一言

 結構雰囲気のあるFDTDだが,いくつか気になった点もある。まず「アクション性が低い」ということ。本作にはジャンプがないので,"走り回ってモンスターを撃ちまくるだけ"という印象になってしまっているのが残念なところか。ジャンルとしては,3Dアクションというより「3Dシューティング」といったほうがしっくりくるのかもしれない。
 次にグラフィックスだが,「デビルインサイド」と同じ3Dエンジン,もしくはパワーアップ版を使っていると思われるが,今となっては一世代前の見た目となってしまっている。やたらに美しいエフェクトがあるわけでもないので,少々寂しい印象になってしまっているわけだ。しかし,ただでさえ気持ち悪い吸血鬼軍団がさらに気持ち悪くなることを考えると,これはこれでよかったと思ったほうがいいのかも(笑)。

撃って撃って撃ちまくるストレス解消ソフト

 FDTDの特徴は,武器を撃ちまくる爽快さにつきる。次々に現れる吸血鬼軍団をバッタバッタと一掃するのは,快感すら感じられる(ちょっと危険)。映画同様に予測不可能なストーリー展開で,序盤から終盤まで飽きることなくゲームに没頭できるのは嬉しいところだ。
 今回は日本語マニュアル版ということで,ゲーム自体は日本語化されていない。しかし,挿入されるポリゴンムービーを見ていれば次にやるべきことは分かってくるので,英語は苦手という人でも十分にその世界に浸れるはずだ。難度はそれほど高くないので,登場するモンスターたちが気持ち悪いというのはさておき,3Dアクション&3Dシューティングゲームは初めてという人にお勧めしたい。グロテスクな吸血鬼軍団を撃って撃って撃ちまくる! ストレス解消にもってこいのゲームだ。

三人称視点と一人称視点の切り換えが可能だ ときにはNPCに援護してもらうことも必要 階上から攻撃してくることもあるので,足音が聞こえたら,必ず周りを見渡すべし
ときには射程の長い大型の武器を使って,仲間の脱出ルート確保の手助けをしてあげよう 完全に消失させられない場合は,近づいて「杭」を心臓に打ち込めばよい 目の前で誘惑の腰振り(笑)を披露してくれる女ゾンビ

このページを印刷する

■発売元:ツクダシナジー
■価格:6800円
■動作環境:Windows 9x/Me/2000,PentiumII/300MHz以上(PentiumIII/450MHz以上推奨),メモリ:64MB以上(128MB以上推奨),HDD容量:550MB以上
■英語体験版(66.58MB):http://www.4gamer.net/patch/demo/data/fromdusk.html

c Cryo 2001. Developed by Gamesquad - Published by Cryo c Miramax Film Corp. 1995. "From Dusk Till Dawn" and all of the "From Dusk Till Dawn" characters are the exclusive property of Miramax Film Corp.,under license from Dimension Films, a division of Miramax Film Corp. All rights reserved.