JURASSIC PARK
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展望タワーはメインアトラクションの一つだ。望遠鏡を開発すれば,かなり遠方まで見渡すことができ,ビジターも満足してくれるはずだ |
ゲームモードは,ジュラシック・パークを一から建設する"オペレーション・ジェネシス",一連の操作や流れをプレイしながら学べる"エクササイズ",ミニゲーム形式の課題をクリアしていく"ミッション",恐竜をノンビリと鑑賞できる"サイトB"がある。
メインモードであるオペレーション・ジェネシスでは,何もない島から巨大テーマパークを作り上げていく。
頭に入れておきたいのは,建設する場所が島という限られた場所だということだ。その中にさまざまな施設,恐竜達を放すフェンスなどをバランスよく建設していかなくてはならず,計画性のないパーク設計をしていれば,後悔するハメになるだろう。
最初にやることは,セキュリティ・フェンスの設営,歩道の敷設,ショップ/アトラクションの設置,清掃員の雇用,入場料やアトラクション利用料の金額設定,新しいアトラクションの開発など,テーマパーク経営シミュレータの定番作業。
この手のゲームではさまざまなオブジェクトでパーク内を賑やかにしていくという面白さもあるが,ジュラつくではアトラクションは展望台や展望タワーなどが5種類,ショップはキオスクとバラエティショップの2種類,あとはトイレ,噴水,セキュリティ施設など,バリエーションはちょっと寂しい。
アトラクションに関しても地味なものばかりだが,恐竜を見せることが趣旨だと考えれば,ジェットコースターなどは必要ないのだろう。華やかさは少ないが,ショップでは陳列商品を数種類から組み合わせたり,アトラクションをビジターの心を捉える設定にしたり(ビジターにより求めるものが違う),個別に価格設定を変えるなど,見た目は同じでも内容的な違いを付けられるようになっている。資金の許す限りパーク内にアトラクションを作りたいところだが,最初は一部しか使えず「開発」という行程が必要になってくる。
開発ではアトラクションやショップのほかに,暴風雨からビジターやセキュリティ・フェンスを守るウェザー・ガード,事故が発生した場合に必要なビジター・シェルター,凶暴な恐竜がフェンスを壊さないか監視するカメラ,逃げ出した恐竜を撃退する砲台,恐竜をさまざまな病気から守るワクチンなどを作成可能だ。
これらの開発はかなり重要で,例えば恐竜がインフルエンザにかかった場合には,早い段階でワクチンを投与しないと死んでしまうこともある。いや,死んでしまうだけならまだよくて,ほかの恐竜に感染し,蔓延してしまうこともあるのだ。また突発的に竜巻が発生したり,恐竜が暴走したりするので,そのときにビジター・シェルターが用意されていなければ,大勢のビジターが命を失うことになる。
開発は一つずつしか行えず,完成までに時間もかかるので,どれから開発していくのがいいのか,頭を悩ませる。やはりビジターの命に関わるものから……というのがベストだろう。
凶暴化した肉食恐竜がビジターに襲いかかる。死亡事故は損害賠償金が必要になるので,セキュリティに指示を出し鎮静剤を打つか射殺するかしよう | 「開発」ではパーク運営に必要不可欠なさまざまな物を作り出すことができるが,開発期間の問題などもあり,どれから開発するか頭を悩ませる |
ジュラシック・パークに必要不可欠なものといえば,恐竜だ。ジュラつくに登場するのは,マニアしか知らないようなホマロケファレ,オウラノサウルス,そして有名どころのティラノサウルス,ステゴサウルス,ヴェロキラプトルなど草食,肉食を合わせ大小25種類。
これらの恐竜を公開するには,フェンスを設営し,ふ化施設である恐竜プラントを建設する。これで恐竜をふ化させれば恐竜達は勝手に走り回ってくれるので,あとは放っておいて構わない。餌は草食フィーダー,肉食フィーダーを設置すれば,自動的に与えてくれる。
また,草食恐竜と肉食恐竜を同じフェンス内に放せば,文字通り弱肉強食のシーンが展開することになる。これならスリルを求めてくるビジターに対して効果は絶大だ。
ただし,なかには殺すだけ殺して食べない肉食恐竜もいるし,草食恐竜をふ化させる費用もバカにならないので,予算に余裕が出たときにやるのがいいだろう。
恐竜一覧でパークにいる恐竜の個体数,DNA,寿命などが把握できる。DNAが揃っていない場合の寿命の違いは歴然だ |
恐竜マニアの人ならば,ジュラ紀前期,中期,後期とフェンスで区切り,その中に時代ごとの恐竜を分けて入れたり,肉食恐竜,草食恐竜のみのパーク,動物園のように同じ種類の恐竜でフェンスを区切る,何も考えずに島全体にさまざまな恐竜を放すなど,ちょっとこだわったパーク設計にするのもいい。
注意したいのは,恐竜が気分良く行動できるスペースを考えてフェンスで囲むという点だ。人間でも狭いスペースに大勢押し込まれたら,気分が良いわけがない。それは恐竜も同様で,縄張り争いなど絶えずストレスを与えられた状態では,良い健康状態は保てないだろう。
恐竜は1体ごとにパラメータを持っているので,頭上に表示されるマークをチェックして健康管理等に目を光らせておくべし。
さまざまな恐竜をふ化させてパークを盛り上げたいところだが,最初からすべての恐竜をふ化させることはできない。ふ化させるには,恐竜ごとにDNAを50%以上確保する必要があるのだ。
そこで,恐竜の化石/恐竜の血を吸った蚊が閉じ込められた琥珀を入手するため,発掘現場にチームを送り,発掘作業を行わせることになる。
発掘現場として用意されているのは,米サウスダコタ州北西部のヘル・クリーク累層やタンザニアのテンダグル累層など,実在する有名発掘現場の9か所。化石や琥珀が得られたら,次に分析してDNAを抽出する。当然,化石の"質"によって抽出できるDNAの量に違いがあるので,同じ恐竜のDNAを50%以上集めるのもひと苦労だ。
DNAが50%集まれば,一応恐竜をふ化させることはできるが,寿命などに影響が出てくる。やはりDNA100%を目指したいところだが,資金に厳しい序盤では,化石,琥珀,堆積物などを市場に流し(売る),パーク運営資金を作るということも必要になってくる。逆に人気の高い恐竜をふ化させたいときには,化石市場から化石や琥珀を購入するということも必要だ。
人気のある恐竜を公開すればパークを訪れるビジターも増え,おのずと投資に見合った利益も得られることだろう。それなりの時間と費用が必要だが,すべての恐竜のDNA100%を目指して,頑張ってほしいところだ。
化石市場で化石や琥珀を入手可能だ(当然売ることも可能)。品質によって値段も大きく異なる | 発掘現場の情報で出土するであろう恐竜の化石,琥珀の一覧が見られるが,同じ恐竜ばかり出てくることもあり運次第といえる | 発掘現場監督はやっぱりグラント博士だ。チェックマークのついた場所のみ発掘することができ,ほかのところは格付けが上がるまでお預けだ |
パーク経営でのポイントはビジターの声を聞くということだ。パークを訪れるビジター一人一人にパラメータがあり,「肉食恐竜が草食恐竜を襲うところが見たい」「たくさんの恐竜が生活しているところを見たい」など,要望はさまざまだ。
彼らを満足させるには,ヘリコプターで恐竜を見やすいところに誘導したり,アトラクション料金を見直したりする必要も出てくるだろう。ちなみにすべてのアトラクションをビジターの視点で楽しむこともできるので,たくさんの恐竜達を見ることができるかどうかなどをチェックしておくといい。
ともかくすべてのビジターが満足できるようなテーマパークに仕上げなければ,格付け五つ星の達成は難しい。ビジターあってのテーマパークなのだから,そのへんを考えてパークを経営していこう。
ラウンドクルーザーに乗ってティラノサウルスの写真を撮っていたら,気付かれて追いかけ回された。ゲームとはいえ叫びたくなるほど怖い | ……で,カメラをしまうのに手こずってやられてしまった図。襲われたらひたすら逃げよう。体当たりしてひるんだ隙に逃げるのも手だ | ビジターは各人にパラメータがあり,何を求めてパークに来たのかチェックできる。アイダホ出身のセツコさんは,満足されてる様子 |
アクション性の高いミニゲームを楽しめるミッションモードについても簡単に触れておこう。
筆者はエクササイズをプレイしてからミッションをプレイしたのだが,これが実に楽しく,繰り返しプレイしてしまう。かなりハマれるゲームモードである。どんなミニゲームがあるのか列挙すると,
……といった単純なものが多く,短時間でプレイできるのが嬉しい。
お勧めは肉食恐竜を狙撃するミッションで,揺れるヘリコプターをコントロールし,スコープを覗いてチョロチョロと動き回るヴェロキラプトルを撃ちまくり,ティラノサウルスの頭を撃ち抜く……。一撃で仕留められたときなどは,残酷ながらも爽快だ。実はこの技術は,オペレーション・ジェネシスで恐竜が暴れた場合に必要になるので(自分でヘリを操作する場合),遊びながら身につけられるというところもありがたい。
ゲームモード以外では,恐竜だけの島を作れる"サイトB"がある。サイトBという言葉を聞いてピンと来た人もいるだろう。映画では恐竜繁殖を目的として作られた島がサイトBだが,ジュラつくでも同様で,ビジターや資金を気にすることなく,好きな恐竜を好きなだけふ化させることができるのだ。
何も考えずにたくさんの恐竜を放ち眺めているだけというのが手軽でいい。また"恐竜図鑑"は,登場する恐竜の基本的な情報,種類,病気などが細かく解説され,パークの管理などゲームを進めていくうえでヒントとなるような情報満載なので,ゲームを始める前に目を通しておくといいだろう。
水面に入っている部分の描写や反射しているところが自然に再現されているのが分かる。細かいところだが,リアリティアップにつながっている |
ジュラつくで驚かされたのが,恐竜の再現度だ。奴ら生きている……いや,生きた恐竜を見たことのある人はいないのだが,恐竜が存在していたらこんな風に動いていたのだろうなと思えるほど現実的な動きは必見である。過去に動物などを扱ったテーマパーク経営シミュレータは多く発売されているが,これほど生き物の動きをリアルに再現したものはあっただろうか。
恐竜ごとの性格,行動,鳴き声なども細かく再現され,仮想現実の中で生きていると感じられるのは見事だ。例えばヴェロキラプトルなどは連携して草食恐竜に飛びかかったり,集団でノンビリと草を食べてた草食恐竜が肉食恐竜が近づいて来たのに気づきパニックになって逃げ出したり,草食恐竜を襲った肉食恐竜が返り討ちにあったりなど,まさにジュラシック・パークの世界だ。
ちなみにまだ映画ジュラシック・パークを観たことのない人は,一度DVDなどで観ておくとジュラつくへの意気込みも違ってくるはず。また原稿執筆時点で代々木オリンピックプラザ特設会場でジュラシック・パーク・インスティテュート・ツアーというイベントが開催されている(2003年7月19日から10月26日まで)。ジュラつくと内容が完全にシンクロするイベントなので,足を運んでみるのもいいだろう。
注意:筆者は日本語β版でプレイした時間が長かったために,今回のレビューで使用したScreenshotsには,製品版と文字フォントが異なっているものが含まれてます。
恐竜の世界は弱肉強食だ。草食恐竜の反撃なども見られるので,たまにラウンドクルーザーでフェンス内をチェックするのも楽しい | オペレーション・ジェネシスでもセキュリティヘリで何度か飛び立つことになるだろう。一定高度でしか飛べないのが残念 |
人気が出てきて三つ星になったパーク。一部のアトラクションは行列ができるほどだ。ビジター,恐竜ともに表示される顔マークが"現在の気持ち"だ | 自然災害はパークにとって大打撃になる。雷雨などはウェザー・ガードが開発されていなければ,落雷でフェンスが壊れてしまう場合もある | オペレーション・ジェネシスの舞台となる孤島はスライドバーにより木や川などの比率を調節できるが,あまり意味がないのは残念なところか |
■発売元:セガ "Jurassic Park:Operation Genesis" interactive game (C)2002 Universal Interactive, Inc. Jurassic Park is a trademark and copyright of Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. Licensed by Universal Studios Licensing LLLP. Licensing, Inc. All rights reserved. |