「Trinity:The Shutter Effect」Text by 奥谷海人 ※記事中のScreenshotsは,すべて開発中のものです。ご了承ください。
「Trinity:The Shutter Effect」は,アクション中にスローモーション効果が発生するという,最新鋭のFPSゲームだ。人間をミュータント化させる伝染病の蔓延したニューオリンズで,謎の男ナイトストーカーが活躍する。シングルプレイヤー専用ゲームではあるものの,続編の多くなったFPSジャンルに,またまた刺客が登場した!? ■近未来のニューオリンズを舞台にした新作FPS
1999年に香港が中国に返還されて以来,香港アクション映画界の多くの人材がハリウッドに流出した。その成果が映画「グリーン・デスティニー」であり「マトリックス」であるわけだが,ゲームでその影響が感じられる作品といえば,アクションシーンでスローモーションによる特殊ムーブが効果的に使われた「Max Payne」や「Bloodrayne」などが挙げられる。 Trinityが,この都市の背景をどのように扱うのかは未発表なものの,ナイトストーカーは,「Deus Ex」のキャラクターのような形で,バイオ・オーギュメンテーション(Bio-Augumentation)と呼ばれる肉体改造をゲーム中に行えるようになっている。これにより,跳躍力から特殊視力などの身体機能が飛躍的に向上していくのだ。 実際にどのような能力が備えられるのかは,ゲームをプレイする過程で公開されていくもののようだが,デフォルトでも壁を通して敵の位置を確認できる視力を備えている。また細かい部分では,ヘルス値の最大値が,通常の100ではなく150となっているのが面白い。あくまでも数字的なまやかしとはいえ,プレイヤーキャラクターの超人性を物語るには充分なトリックである。 ナイトストーカーは,Bloodrayneがそうであったように,最新鋭の生化学よって改造されたスーパーヒューマンであるという設定で,彼自身の過去の記憶は一切消されている。そのため,ゲームのストーリーは疫病の根源を食い止める方法を見つけ出すということ以外にも,自分の過去を解き明かしていくという部分にも焦点が当てられている。あまり新鮮味のある設定ではないにせよ,さまざまなゲームの良い部分を摘み取って,より精巧なものに消化しようという意欲がうかがえる。 ■映画「マトリックス」のような,弾丸をも回避する"フラッシュタイム"を採用
Trinityのゲームデモを見ていると,かなりのアクションシーンが盛り込まれた内容になっているようだ。 Trinityでは,ショットガン,マシンガン,スナイパーライフル,そしてグレネードランチャーなど,現代とはそれほど変わらない銃器が用意されている。そのほかにも,レーザーライフルや液体窒素ガンなどの近未来的なものも登場し,武器の数はかなり多いようだ。ただし,プレイヤーが一度に保有できる武器は五つまでに限定されているため,その後使用しないと判断した武器は,ミッション途中でドロップしていかなければならないようになっている。 ゲームのインタフェースは,視界部分にディスプレイが映り出されるヘッドマウントを想定しているらしく,武器の種類や動作も確認しやすい。新しい局面などでは,ケアテイカーによるビデオ通信が上部に表示され,的確な指示を受けるようになっている。 敵の思考ルーチンはWolfensteinの後継らしく,プレイヤーが満足するに十分なレベルだ。特定の武器に耐性のあるものも登場し,プレイヤーの手に持つ武器によって異なる対応をしてくるようだ。プレイヤーがバイオ・アーギュメンテーションの威力を発揮したときには,それを見てただ呆然とするような驚きや畏怖心のような表現も行われている。 ゲームが進むに連れてプレイヤーの超人力に対応してくる,"エージェント・スミス"風の敵も出てくるかもしれない。 フラッシュタイムを採用しているためか,Trinityはシングルプレイヤー専用FPSとなる模様。最近では,マルチプレイヤーモードをサポートしないFPSが大ヒットすることが少ないのが心配される点ではあるが,MODツールなどの公開により,オンラインコミュニティへのアピールは行う方針のようだ。 今ハヤリのマトリックス風の世界観やアクションをFPSゲームに採り入れた「Trinity:The Shatter Effect」は,現在のところアメリカで2004年の発売とだけ発表されている。フラッシュタイムを,スタイルだけではなくゲームプレイに取り込んでいる部分は非常に評価でき,Activisionの「DOOM III」に続くFPSブランドとなる可能性もある。 |