Star Wars:Battlefront

Star Wars:Battlefront

Text by 奥谷海人

 昨年(2003年)末に突然ウワサになり始めたLucasArts Entertainment社の最新作が,今年に入って正式に発表された。
 「Star Wars:Battlefront」は,現在オンラインコミュニティで大人気の「バトルフィールド1942」の持つアーケード感覚溢れるゲーム性を備えた,スカッドベースのコンバットアクションゲームだ。最大で32人の仲間と協力して,敵勢力の銀河制覇を食い止めろ!

スター・ウォーズの世界観で「バトルフィールド1942」を楽しめる!

 SF物では世界で最も認知度があるだろう「スター・ウォーズ」は,フライトシム系に始まって3Dアクション,シューティング,RPG,そしてRTSに至るまで,幅広いジャンルでゲーム化されている。それだけゲームと相性が良いということなのだろう。
 そして今度は,このスペースオペラの世界観を,ここしばらく活気の良いスカッドベースのコンバットアクションゲームに当てはめた「Star Wars:Battlefront」が開発されている。
 もちろん,インターネット経由で64人までのプレイヤーが対戦することを念頭に制作されており,順調に開発が進めば2004年の夏前にもリリースされることになる予定だ。

 ロサンゼルスを拠点にするPandemic Studios社がこのゲームの開発を担当していて,現在は同じジャンルの「Full Spectrum Warriors」も並行して開発中だ。
 元々はActivision社で「MechWarriors」シリーズを手がけたメンバーたちで構成されていて,その後も「Battlezone」や「Dark ReignII」など,コアなPCゲームを世に送り出してきた。コンシューマ市場でも,すでにLucasArts Entertainment社と組んで「Star Wars:Clone Wars」をリリースしており,今回も彼らの実績と対戦ゲームのノウハウが買われたようだ。
 ちなみにStar Wars:Battlefrontも,32人までのオンラインプレイに限定されてはいるものの,PlayStation2やXboxでも同時発売されることになっている。

 Star Wars:Battlefrontは,「バトルフィールド1942」のゲームスタイルと非常に良く似たプレイ感で,プレイヤーはオンライン上で二手に分かれて戦うことになる。
 実際には四つの勢力が考案されていて,反乱軍と帝国軍のほかにも,ドロイド軍,クローン軍でプレイできる予定だ。合計では24種類のキャラクターが用意されており,それぞれの勢力には六つずつのクラスが存在することになる。歩兵,重装歩兵,スナイパー,メカニック,パイロットなど一般的なものを含めて,勢力ごとのキャラクタークラスは,それぞれの勢力の特性に合わせて,外見だけでなく能力や呼称も異なってくる模様だ。
 例えば,反乱軍には敵のコスチューム(キャラクタースキン)をまとって敵地に乗り込むスパイがいるし,帝国軍にはそれを見破ったり,大気圏外からの攻撃を要請できたりするオフィサーが存在する。クローン兵の中には,トライブスシリーズやバトルフィールド1942に出てきたようなジェットパックを取り付けた特別な兵士もおり,ほかのキャラクターには進入不可能な場所に行けたりするようだ。

惑星を奪い合う特殊なオンラインゲームが魅力的

 Star Wars:Battlefrontは,原作では4作めから6作めまでにあたるクラシックシリーズの"銀河市民戦争"と,最新の三部作の"クローン戦争"を中核にした二つの時代に設定されている。BOT相手のシングルプレイヤーモードには,その時代に登場する勢力に合わせたストーリーが用意されることになる。
 全体的には,エンドア,ホス,ヤビン4,タトゥーインなどクラシックシリーズに登場した惑星や,最新作でクローズアップされたナブーやジオノシスなど10の惑星から16のマップが制作されており,つまりは映画の1作めから5作めまでの有名な戦闘場面はほぼフィーチャーされているということだ。
 これらの惑星は,雪原や砂漠,沼地など環境設定がユニークなため,"同じようなマップばかりで見飽きてしまう"ということにはならないだろう。また郊外ばかりでなく,ナブーではアミダラの王城での戦いも再現されている。実際に戦闘に荷担してくれるのかは不明だが,例えばエンドアならイウォークのようなNPCキャラクターもマップ上に存在しているらしく,ほかにも大小さまざまな生命体が配置され,生き生きとした世界が描かれているのも特徴的だ。

 Star Wars:Battlefrontには,映画でもお馴染みの搭乗用兵器も各種用意されている。
 海上用こそないものの,歩行型のAT-ATAT-STスピーダーバイクスノースピーダーなど地上用のほか,X-Wingや各種輸送船も登場し,広大なマップを無尽に駆け回ることになる。バトルフィールド1942のようにジャンケン的なルールで明確に色分けされているのではなく,対メカへの攻撃が得意なキャラクタークラスも用意されているので,どのキャラクターや兵器のコンビネーションがどのマップに向いているのかを見つけ出していく面白さもあるだろう。

 オンラインゲームとしても興味深く,「Galactic Conquest」と呼ばれるユニークなゲームモードが用意されている。
 これは,二つの勢力に分かれたプレイヤーが,マップを通して戦い抜いていくクラン戦争のようなもの。半恒久的な銀河の中で,いち早くすべての惑星を占領したチームが勝つというゲームモードだ。敵の惑星のマップを攻めている間に,自分の領地が陥落することも起こり得るので,最大32人の仲間たちによる役割分担や,コミュニケーションが重要になるのではないだろうか。
 このGalactic Conquestモードは,つまりStar Wars:Battlefrontのシングルプレイヤー用のキャンペーンに登場するキャラクターを,すべて人間が操作するように置き換えたような形式だと思われる。基本的にはコンバットアクションゲームであるのに,ショートエンディング付きのMMO風ゲームが楽しめるため,オンラインゲーマーにアピールできる要素は十分あるはずだ。

 グラフィックスエンジンはオリジナルで,「Prince of Persia:Sands of Time」でも使用されていた,幻想的なソフトフォーカスの効果(開発者たちは,これを"ロマンチック・カメラ"と呼んでいる)が多用されている。このためリアル嗜好のコンバットアクションの中ではかなり異色の雰囲気になっており,スペースオペラとしての世界観が強調されている。

 全体的には目新しさがあるとはいえないが,スター・ウォーズの世界観と気軽なマルチプレイヤーモードには期待できる。
 バトルフィールド1942では,同じくGalactic Conquestと題されたスター・ウォーズMODが有志によって開発されているので,それを牽制する目的で開発されたという見方もあるようだ。LucasArts Entertainment社のスター・ウォーズゲームは「Jedi Academy」や「Knights of Old Republic」など,ここしばらくは外注によって高い水準のゲームを連発して成功させているが,本作もその波に乗れるだろうか。
 Star Wars:Battlefrontは,アメリカでは2004年第2四半期のリリースを予定しており,夏商戦の一角を担うソフトになるのは間違いない。


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