信長の野望 蒼天録

●Preview#40:信長の野望 蒼天録

Text by 朝倉 哲也

 まず,「信長の野望・蒼天録」(以下,蒼天録)の大きな特徴である配下武将でのプレイだ。これは城主以上の身分を持つ武将となってプレイすることができるという,今までの信長シリーズにはなかったゲームプレイを楽しむことができる。

 城主以上といってもピンと来ないかもしれないので説明しておくと,プレイヤーが選択できる武将には,まず武田信玄や織田信長などの大名がいる。これは以前までと同じなので説明の必要はないだろう。
 次に軍団長が選択できる。身分的には大名のすぐ下のポジションを占め,複数の城の運営を大名から任されている,蒼天録ではもっとも身分の高い配下武将ということになる。1570年のシナリオ4の織田家でいえば,柴田勝家,丹羽長秀などだ。
 そして城主となっている武将も選択することができる。城主とは城を一つだけ任されている武将で,シナリオ4の織田家では明智光秀,川尻秀隆などが城主となっている(城主の下にもいわばヒラの武将達がいるのだが,この武将達は選択することができない)。
 このように,城主以上の武将を選択してプレイすることができることから,かなり幅の広いプレイをすることができるようになった。大名でのプレイと比べ,配下武将でのプレイをしているとゲームの目的意識も変わってくるところが面白い。大名なら全国制覇を目指してマクロ的な視点での戦略・政略を展開していくことになるのだが,配下武将でプレイしていると,いつの間にかもっとミクロ的な視点で思考していることに気がつくのだ。つまり城一つ一つの取り合いが最大の焦点となって一喜一憂するという,本当に自分が大名の配下になったような感じだ。もちろん一武将として,自分の仕える大名の天下統一のために東奔西走するのも良いが,戦国時代ならではの"下克上"をも再現することができる。当然,下克上などした日には激怒した元上司である大名から怒涛の攻勢を受けることになるので,事前に仲間を誘っておくなどかなりの下準備が必要だが,明智光秀となって史実ではなし得なかった天下統一を果たすことも夢ではない。

 次に,大きく変わった合戦の野戦シーンだ。前作「信長の野望・嵐世記」(以下,嵐世記)でRTSのエッセンスを取り入れ,大きく様変わりしたのも記憶に新しいが,蒼天録ではまたまた大きく様変わりした。
 出陣した軍勢同士が接触すると野戦となる。今回の合戦もリアルタイムで進行することには変わりないが,嵐世記のように広いマップをユニットが縦横に走り回るというエイジ オブ エンパイアのようなものから,三つの部隊が前後に進退するだけというシンプルなタイプに変更された。基本的に前線に投入できる部隊は敵味方ともに三つまでとなっており,双方合わせて六つの部隊がマップ上を進退する。そのほかに予備軍として最大7部隊を用意することができ,戦局の変化によって随時入れ替えが可能となっている。
 「なんだ,そんな合戦面白いのかよ?」と思う人も多いだろう。事実,筆者もそう考えていた一人だ。ところが,部隊に設定された士気の増減(士気が0になるといくら兵数が残っていても敗走してしまう),各武将が持っている特技の使い方(一喝,鼓舞などお馴染みのもの),兵種による得手・不得手(騎馬は足軽に強いが槍に弱いなどジャンケンのような相性),予備軍との入れ替え時期の見定めなど,やってみるとこれが意外と奥が深いようだ。合戦中はリアルタイムで進行しているので,これらのことを瞬時に判断して的確な指揮をしていく必要があり,とてもじゃないがボーッと見ていることなどできない。武将の質が高く,的確な指揮さえできれば,こちらに数倍する敵にさえ勝つ「寡兵よく敵を制する」ことも可能だ
 マップ自体も狭くなったので,嵐世記のときのように,いつの間にかはぐれて一人でぽつんとしている武将がいるなどということもなく,非常に濃密な合戦を楽しむことができるようになった。
 合戦に関しては,シンプルになってはいるものの,より濃縮された戦闘を楽しむことができるようになったといえるのではないだろうか

 以上,蒼天録をプレイして気が付いたところを簡単にまとめてみた。短時間のプレイではあったが,「やはり信長の野望は面白い」というのが感想だ。
 なお,「Screenshots」コーナーの「ここ」には,撮り下ろし最新Screenshots多数も掲載したので,合わせてチェックしていただきたい。

*画面は全て開発中のものです*