Mafia:City of Lost Heaven

●Preview#9:Mafia:City of Lost Heaven

Text by 奥谷海人

ギャング映画さながらのアクションが満載
クリックすると拡大します  ここ最近「ゴッドファーザー」や「グッドフェラス」のような良質のギャング映画は少ないが"ヒドゥン&デンジャラス"などでお馴染みのIllusion Softworksによって開発中のアクションゲーム「Mafia:City of Lost Heaven」(以下,Mafia)は,プレイヤーがマフィア社会で台頭していく姿を描いた期待作だ。左側メインメニューにある"forGamer検索"で"mafia"と入力してもらえれば,過去に掲載した数々のNewsも見られるので,そちらもぜひ参考にしてほしい。
 敵との抗争に明け暮れるマフィア,サリエリ一家の活動に巻き込まれたタクシー運転手"トニー"が主人公で,車の運転技術と度量の高さから雇われることになる。ストーリーは彼のフラッシュバックという形で進行するミッション制で,ペーペーの使いっ走りから一家を仕切るドンへと成長していくのである。
 舞台となるのは"ロストヘブン"と名付けられた架空都市で,1930年頃のニューヨークとシカゴを掛け合わせたような景観となっている。実際にMafiaでは,金融街からスラム地区の安ホテル,チャイナタウンや駅,郊外の田園風景に至るまで,20平方kmに渡る都市空間が再現されている。 NPCの思考ルーチンも作り込まれており,車や歩行者は信号を守って行動するという。現役の映画監督にカット割りを担当させたり,モーションキャプチャーでのキャラクターアニメーションを使ったりと,ギャング映画をそのまま体験させてくれそうな,非常に大掛かりな作品なのだ。
 ゲームエンジンは,自社開発によるINSANITY2 3Dをさらに進化させたLS 3Dエンジンだ。LSは"ラージサイズ"に由来しているらしく,環境マッピングやバンプマッピングといったテクスチャー技術やディテールに富んだモデリングなどを駆使しつつも,現行のソフトではトップレベルともいえる広大な屋外マップの表現に,可能な限り最適化されたものなのである。

レースゲームに負けないリアルなシミュレーション
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  中でも,車のモデリングやフィジクス(物理エンジン)の開発には再三の注意が払われており,当時存在した60種に及ぶ車両がそれぞれ繊細にモデリングされ,サスペンションやハンドリングに至るまでが完全にシミュレートされている。そこらのレーシングゲームにもひけを取らない,本格的なデキ映えだ。これらの車は,一味から与えられたり必要に応じて盗むことで確保するのだが,"Drive-by Shooting"と呼ばれる車を乗り付けての暗殺や,敵や警察とのカーチェイスを楽しめるようになっている。さらに,どんな車でも破壊できる仕様になっており,ベースボールバットで窓ガラスをブチ破ることも可能だ。
 興味深いことに,このリアリティ溢れるドライビングシミュレーションの特性を利用して,マルチプレイヤーモードでは街中をレースするようなゲームモードも考案されている。また開発元のプログラマーたちはカウンターストライクファンを自認しており,マフィアと警察の銃撃戦をテーマにした対戦モードもリリースされる予定だという。マルチプレイヤーモードに関する繊細は公表されていないものの,これらにデスマッチなど一般的なものを含めて7種類のモードが用意されることになるとの話だ。

マニアックなまでに,ギャングの生き様にこだわる
クリックすると拡大します  Mafiaは3人称カメラ視点のみとなり,アクションよりもストーリーの展開に重点を置いた作品になるようだ。これは,人を撃つばかりで単純になりがちなゲームプレイを回避し,ミッションごとに違った体験をしてもらえるように作られているためで,20種類のミッション以外にも,資金を得るためのさまざまなサブクエストが散りばめられている。先に挙げたカーチェイスや暗殺はもちろん,怪しいバーでのケンカや銀行強盗,ウィスキーの密輸など,ギャング映画に出てきた不法行為ならなんでもありそうだ。
 とはいえ,流血の量や飛び散る薬莢に見られるバイオレンスの描写は激しく,現行では18禁ソフトとなることが予想される。
 使用できる武器もリアルに再現されており,Colt 1911やM27 Magnumをはじめ,S&W Airweight 442やThompson 1927,果てはショットガン,スナイパーライフル,トミーガン,そしてベースボールバットや火炎瓶と,用途に合わせてさまざまなものが用意されている。車の運転中に通行人を轢き殺すことさえできるらしいが,真昼間にこのような悪行を働けば,すぐに警察の御用になったり自分の首に賞金が賭けられてしまう。うまくやれば賄賂を贈って丸め込んでしまうこともできるらしいが,一度お尋ね者になると,後々のミッションにまで影響するということなので,バイオレンス嗜好の人は注意されたし。

 開発が当初の予定からすでに1年近く延びており,現在ではアメリカで10月末の発売を予定している。日本でも,ズーから日本語版が発売される。字幕入り日本語版(これがもっとも雰囲気は出る気がする)で,発売予定は2001年11月。延びに延びているが,いまから楽しみな作品だ。

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