「No Man’s Land」Text by 奥谷海人 ※記事中のScreenshotsは,すべて開発中のものです。ご了承ください。
「No Man's Land」は,先のE3 2003にて,販売元のCDV Software社が大々的にパンフレットを配りまくっていた作品だ。アメリカの開拓史を移民からインディアンまでの視点で描いたRTSで,マルチプレイヤーモードにユニークなものが用意されている。 ■アメリカ開拓史を,六つの異なる勢力で体験
「No Man's Land」は,「サドンストライク」や「コサックス」シリーズなど,ヨーロッパ産の手堅いストラテジーゲームを多数排出することで定評のある,CDV Software社の最新作である。そのタイトル名が示すように,舞台となるのが国家としての体裁を持っていなかった植民地時代のアメリカで,プレイヤーは西暦1600年から1900年までの300年間をプレイすることになる。 No Man's Landの特徴は,各ストーリーがヒーローユニットを中心に展開していくことで,「スタークラフト」や「エイジ オブ エンパイア」のような形式で進んでいく。このため,300年という時間の流れを細かく描いていくのではなく,各ストーリーが段階的に移行していくのだ。 アメリカという国を築き上げていくような,いわゆる"帝国建設モノ"のシミュレーションゲームではなく,国として形成されていく過程のイベントをミッションにしたものと考えればいいだろう。 例えばミッションには,イギリスから渡ってきた人間として無人島に上陸し,街を発展させながら別の島にあるスペイン人の砦を破壊するのが目的というものや,独立戦争で赤と青のユニホームを着たイギリス軍とアメリカ独立軍が列をなして銃を撃ち合うもの,西部の荒ぶれた町を,馬で攻めて来るインディアンから守り抜くというもの,その逆にインディアンの勇者として失った土地を取り返そうと奮闘するものなどがある。必ずしも史実に沿ったものではないにせよ,当時の雰囲気をゲーム的に扱った内容となるようだ。 それぞれのストーリーにはCGムービーが用意されており,プレイヤーがヒーローユニットとして扱うキャラクターを詳しく紹介してくれる。また,各キャンペーンにはゲームエンジンを使ったインゲームムービーも多数用意されており,ズームアップこそないもののカットを多用した凝った作りになっている。これらのムービーが発生して,ゲーム中に新たな展開へと導かれることもある。 ■RTSの定番ゲームだが,ヒーローユニットなどで独自性を強調
ゲームは通常のRTSと同じように,中央のタウンホールから開拓民を作り出して(男女の指定が可能)は,農耕や,建物の建設や修復に従事させることで進行する。 No Man's Landは,対戦モードも充実しており,六つのマルチプレイヤーモードが用意される予定だ。 8人までの,インターネットもしくはLANでの対戦がサポートされ,デスマッチ,チームデスマッチ,キング・オブ・ザ・ヒル,ドミネーション,さらにはアサシネーションで楽しめるほか,この作品オリジナルのものとして,西部の砂漠地帯を貫く線路への攻撃と防御に分かれて戦うレイルロード・チャレンジというモードでも遊べる。これは,参加人数が2人から4人までに限定されている対戦モードだが,通常のRTSのマルチプレイヤーゲームとは異なる雰囲気が一興である。 No Man's Landは,「RTSの大作」というわけではないにせよ,アメリカの植民地時代という,RTSではあまり見られない歴史のひとコマをテーマにしており,ちょっと異色なゲームとして充分に楽しめる内容に仕上っている。 日本での発売は正式に発表されていないが,ヨーロッパとアメリカでは8月中に発売される見込みで,ドイツ語版ならば,二つのミッションが楽しめるデモもリリースされたばかりだ。気になる人は,ぜひ試していただきたい。 |