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Joan of Arcは,オルレアンからランス,そしてパリまでの攻防を,八つのミッションによって表現している。RTSとRPGを掛け合わせたゲームプレイに徐々に対応できるように,最初のオルレアンでは数人の親衛隊を率いただけのバトルシーンとなり,やがて大部隊を統率していくためのコマンドスクリーンも使えるようになっていく。ジャンヌが急速に成り上がっていく様子が表現されており,史実に近いスタイルでプレイできるといえるだろう。やがては,複数の兵器を利用した攻城戦なども取り入れられ,国家同士のぶつかり合いが楽しめるのだ。
男物のプレートを着込んだあどけないジャンヌには,数タイプの剣が用意されている。またポールアックスのアレンソン公ジャンII世や,棍棒系統のライールなど,彼女の周囲で活躍した実在人物も各キャラクター固有の武器を持って登場するし,好みの武器や防具を装着させられる。馬に乗って戦うことも可能だ。
これらのキャラクターには,Strength(体力),Defense(防御),Dexterity(敏捷性),そしてLeadership(リーダーシップ)の四つのパラメータが存在し,経験値を積むことでパワーアップする。さらにレベルが上がるにつれて2度撃ちや3度撃ちというコンボ技を覚えていき,最終的には6連続の強力な技も繰り出せるようになる。
また,長距離攻撃用の弓にチェンジすることも可能で,百年戦争で利用され始めたといわれる爆発物なども利用できる見込みだ。
プレイヤーはジャンヌ・ダルクばかりでなく,アレンソン公といった主要キャラクターも操作する必要がある。プレイヤーが関与していない間は自在に活動してくれるものの,要所要所でプレイヤーが助け船を出さないと,ゲーム途中で死んでしまい,のちのちのゲーム展開にも影響してくるだろう。
3Dグラフィックスは,かなり精度の高いものが設計されている。DirectX
8.1を最低ラインに,水面への反射マッピングなどの最新技術を駆使しており,個々のユニットのモデリングや城の外観を表現したテクスチャも緻密だ。バリスタ(巨大クロスボウ),破城槌,キャノンなど,3D視点カメラの特性を活かしたサイズで描かれていて迫力があるうえ,内部に入ったり細部の動作も確認できたりするのが面白い。
ゲームは,マップのスタート地点から決められた通路を戦い抜いていくことで進んでいく。途中にはトラップが仕掛けられているなど,ちょっとしたパズル要素も用意されている。
イギリス軍やブルゴーニュ派の手勢ばかりでなく,ベッドフォード公を始めとする敵方の主要キャラクターも先々で待ち受けており,ゲーム世界を彩っている。
実在の人物である主人公の行動がストーリーに非常に強く反映されていることもあり, Joan of Arcはシングルプレイヤー専用ゲームとなる予定だ。今のところ,MODなどの話も聞かないが,今後この作品は,"Wars
and Warriorsシリーズ"として,例えばアーサーやアレクサンドリアのようなさまざまな実在の戦士達をシリーズ化させていく予定とのウワサもある。とりわけ歴史ファンならば,今後の展開には期待できそうだ。
「Wars and Warriors:Joan
of Arc」は,アメリカでは2003年中での発売が予定されており,現在公式サイトではβテストのサインアップも行われている。複雑なリソースマネージメントはなく,戦場でのリアルタイムな状況の把握と反応を重視させたゲームとなっており,RPGファンにも十分にアピールできる内容だ。
プレイヤーの操るジャンヌ・ダルクとその仲間達が率いるフランスは,百年戦争を終結に導き,祖国の独立を果たせるだろうか?
コラム:百年戦争とジャンヌダルク 百年戦争とは,1338年から1453年まで続いたイギリスとフランスによる戦争のことだ。その発端は,フランスのカペー王朝のシャルル4世が,後継者のないまま死んでしまったこと。いとこにあたるヴァロア家のフィリップ6世が王位を継承するが,イギリス王のエドワード3世の母親がシャルル4世の妹であったことから,カペー家の後継者としてエドワード3世が継承権を主張したのだ。 まず海上で優位に立ったイギリスは,1346年の「クレシーの戦い」でカレーを占領し,続いて1356年にはエドワード3世の息子であるエドワード黒太子が「ポワティエの戦い」においてジャン2世の軍隊を壊滅させた。そしてプレティーニの和議によって,フランス北部はイギリス領土になってしまう。 フランスの平和もつかの間のこと。シャルル5世が死去してシャルル6世が即位したが,彼は狂王と呼ばれるほどの奇行を繰り返し,やがては精神病をわずらって幽閉される。そのため貴族の間で権力闘争が繰り返され,パリで親英のブルゴーニュ派一党が台頭したのに続き,ヘンリー5世率いるイギリス軍の再侵攻を許してしまう。1415年に「アンゼルークの戦い」でフランス軍が敗北し,再びノルマンディーが制圧されてしまったことから,1420年には「トロワの条約」が結ばれ,イギリスは以前占領していたほとんどのフランス領土を奪取。ヘンリー5世はシャルル6世の娘カトリーヌとの政略結婚にも成功し,フランス王位も兼任しまったのだ。 さらに大逆転が起こったのは1422年。ヘンリー5世は地盤を固めることなく2年で死去し,その後継となったヘンリー6世は,シャルル6世の血を受け継いだのか奇行に明け暮れた。フランスの政務はベットフォード公ジョンが補佐していたものの,シャルル6世の息子がトロワ条約に反してフランス王シャルル7世と名乗り,南フランスで反旗を翻す。ベットフォード公と一進一退の小競り合いを繰り返しながらも,1428年10月にはシャルル7世はオルレアンの町で包囲されていた。そのとき,近郊のドムレミ村で"神の信託"を聞いたのが,わずか17歳の少女ジャンヌ・ダルクだったのである。 1429年2月,神のお告げ通りにフランスを救いたいと願い出たジャンヌの率いる数千の一団は,オルレアンを回復して以降,トロワやシャロン,さらには大司教のいたランスでも勝利。ついに,シャルル7世も正式に戴冠式を行う。さらにジャンヌ・ダルクはパリもブルゴーニュ派から開放して,1430年5月にコンビエーニェでイギリス軍に捕まるまでに,国土の大半を奪い戻したのだった。 |
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