あの"ヤンキー"の世界観をテーマとした奇抜さで話題を呼んだMMORPG「疾走、ヤンキー魂。」(以下,ヤン魂)だが,2003年12月18日をもってついに正式サービスが開始された。これはその課金版クライアント。
軽く作品の紹介をしておくが,ヤン魂は,プレイヤーがヤンキーかレディースに扮して,喧嘩上等/夜露死苦でお馴染みの(?)ツッパリまくりの日々を楽しむという,ハチャメチャ風変わりなMMORPG。プレイヤーは,全国から集まってきたヤンキー達を相手に,時には語らい,時には"抗走"をしながら,自由気ままなヤンキー人生を歩むことになる。
風変わりなのは,何も世界観だけではない。いや,世界観にも通じることなのだが,例えばこのゲームには,"お金"や"経験値"といった概念がない。では代わりに何があるのかといえば,"男気ポイント"という独自の評価ポイントだ。ヤン魂の世界では,バイクを買うにも特攻服を買うにも,お金などという無粋なモノは存在しない。すべてはヤンキーとしての"気合",つまりは男気ポイント次第というワケなのである。気合いの入ったバイクを乗り回したければ,ほかのヤンキー達と抗走を繰り広げ,あるいは街中をブイブイと走り回り(走るだけでポイントが得られる),男気ポイントを溜めていかなければならないわけだ。
抗走といえば,本作の戦闘システムは,基本的にはエンカウント方式。ただコマンドなどは用意されておらず,事前に組んである"フォーメーション"によって,自動的に進んでいくという形式が採用されている。最初はワケが分からないかもしれないが,とにかく抗走しまくりで男気を貯めればいいということ。最初は,与えられたママチャリに跨り,遠いバイク獲得を夢見て抗走に明け暮れることになる。
ちなみに本作では,オープンβテスト期のキャラクターデータが引き継がれており,既に多くのヤンキー(レディース)達がド派手な装飾で飾った愛車で町中を走り回っている。ある学校の校門前では,画面を覆わんほどのヤンキー達がたむろしているなど,その異様な光景は一見の価値あり。ユニークなパフォーマンスで人気のアーティスト「氣志團」や,フジテレビ系列で放送されている「めちゃイケ」の1コーナー「数取り団」など,微妙なヤンキーブームといえる昨今。普通のMMORPGには飽きちゃったという人は,ぜひ一度このヤンキーワールドに足を踏み入れてみるといいだろう。
なおインストールしたあと,最初にサーバーに接続したときパッチがあたるのだが,すべてのパッチをダウンロードするまで多少の時間がかかる。そこは我慢で夜露死苦!
最後に。
上では"正式サービス開始"と書いたが,実はヤン魂がID登録および課金システムを委託しているBB Games側が,12月18日早々にシステム障害に見舞われ,"登録できないためにゲームが遊べない"という珍事が発生。2003年12月22日現在の今もなお,課金システムが動いていない。オマケにBBGamesからは,18日の課金予定時間を過ぎてもプレイヤーに対して何のリリースもされず,当日夜9時前後まで放置するという,とてつもないトホホぶりだ。挙句最初に出てきた告知が,
「現状、原因の特定に至らず、正確な復旧予定時刻についても確定することができません」。
その後しばらくしてからいくぶんマシな告知体制にはなったものの,一体誰を相手に商売しているつもりなのか,これを機にぜひ一度考え直していただきたい。
本当に当日にならないと判明しないことだったのか,もっと早い告知は打てなかったのか。BBGamesはその後の動きも遅く,"MMO"という特殊なモノを求められるジャンルの中でキチンとやっていこうという気概が感じられない。数万人のプレイヤーとスクウェア・エニックスに与えたダメージを,深く反省してほしいものだ。
BBGames側の課金システムの復旧の目処が立たない,というそんなトホホな事態を受け,スクウェア・エニックスは急遽「待たせてゴメンね! スペシャル無料サービス」という無料キャンペーンを実施。課金システムを経由しない(正確にはそうではないのだが)正式サービスの開始を断行した。つまり2003年12月22日現在は,全プレイヤーが無料で正式サービスが遊べてしまうのである。
しかし,プレイヤーサポートの重要性が取りざたされることの多いMMOというジャンルにおいて,スクウェア・エニックス側のこの判断は,まさに英断(苦渋の選択だろうが)といえる。もちろん,課金システムが立ち上がり次第本サービスに移行する見通しだとのことだが,その課金時期についてはアナウンスされていない。状況や各種情報から察するに,少なくとも年末年始,2004年1月あたりまでは無料で遊ぶことができそうだ。
会社側(スクウェア・エニックス)としては踏んだり蹴ったりといえるこの状況だが,プレイヤーからしてみればタダで遊べるチャンス。興味がある人は,今のうちに遊んでみるとよいだろう。
ちなみに当サイト内の「こちら」には,本作の特別連載記事も掲載されている。ヤン魂のより詳しい情報が知りたいという人は,そちらを参照してほしい。(Kazuhisa)
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