特異な操作性と,開発者の性根を疑いたくなるほどの難度で,今なお多くのプレイヤーの記憶に残っている名作「Prince of Persia」(PoP)。E3 2003で同作の世界観のみを受け継いだ新作「Prince of Persia - The Sands of Time」がお披露目されて以来,これといって大きな情報はなかったが,2003年12月の欧米での発売を経て,本日,待望のデモ版が登場した。
E3での出展時はXbox版のみで,開発者からかろうじて「まだ内緒だけど,PC版も出すよ」と耳打ちをもらったが正直半信半疑だった。そう考えると,PCゲーマーとしてはかなり嬉しい状況だ。確かに本作のオリジナル版はスーパーファミコンなどのコンシューマにも移植されていたが,「元はPCのゲームだよ!」と胸を張っていいたい気分にさせてくれる。
さてゲームの内容のほうは,シリーズ4作めということで,前作の「Prince of Persia 3D」と比較しても,グラフィックスを中心に格段にクオリティが向上している。
まず同シリーズに注目しているファンが一番気にしているであろう,アクション性について。
一言でいうと,本作のアクション性は高く,同じUbi Soft社のスニークアクション「Splinter Cell」を軽く凌駕する内容といえる。
オリジナルのPoPでもあった壁上りやジャンプ,剣戟アクションはもちろん,垂直の壁をダッシュで走り抜けたり,狭い壁の間を連続ジャンプでよじ登ったりというアクションがこれでもかと詰め込まれているのだ。
デモ版の前半収録部分は,それらのアクションをひととおり練習するためのチュートリアルステージとなっており,ゲーム中に登場する数々のトラップのかわし方を学べる。
もちろん本編に入るとヒントは少なく,鉄棒を使った大車輪のようなアクションを駆使しつつ,どうみても登れそうもない壁や,理屈で考えても解けそうにない謎に向かっていくことになる。
三人称視点3Dのアクションゲームをプレイしたことがある人なら一度は経験があると思うが,やはり本作でもジャンプする角度の違いやケアレスミスで壁から落ちたりトラップにかかったりと,なかなかシビアな操作を要求される。つまり,いくらコンシューマを意識してデザインされているとはいえ,それなりに難度が高いのだ。
そこで登場するのが,本作の特徴の一つともいえるダガーを使ったシステム。特殊なダガーを使用すれば,一定時間,時を遡ることができ,連続してトラップの解法を試すことができる。もちろんこれは回数制限付きで,画面左のインジケータで常に残量をチェックしておく必要がある。
ただ本作は,"ドキドキしながら恐る恐る"といったプレイよりも,"連続アクロバットでスピーディに"といったプレイになるようなデザイン。挿入ムービーの多さから分かるとおり,ダイナミックにキャラクターをぶん回して遊ぶのが正解のようだ。
そのほか,DirectX 9を使用したグラフィックスは現世代のタイトルとしては合格点で,HDRなどの基本テクニックを駆使して,アラビアの雰囲気を完全に再現。戦闘シーンにおいて相手の裏を取る特殊アクションを発動させた場合などには,ぐるりとカメラ回転し,ずいぶんと感触のいい演出も見せてくれる。プレイ全体を見回してみても,前評判通り,そしてショーでのスタッフのハッタリ通りの出来といっていいだろう。
ただ動作には,それなりのマシンスペックが要求され,PentiumIII/1.2GHz, GeForce FX 5700の環境では,800×600ドットでのプレイが限界。どうしても重いという人は,フォグや水面周りの環境オプションをオフにするといいだろう。(Gueed)
(c) 2003 Ubisoft Entertainment. Based on Prince of Persia created by Jordan Mechner. All Rights Reserved. Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. Prince of Persia and Prince of Persia The Sands of Time are trademarks of Jordan Mechner used under license by Ubisoft Entertainment.

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