全米で人気No.1のモータースポーツ"NASCAR"（ナスカー）。日本人には馴染みが薄く，「ストックカー（市販車に似せたマシン）でオーバルコース（楕円のコース）をグルグル回るレースだろ」と言われることも多い。実際にはドライバ同士の駆け引き，チームの作戦，"運"も作用し，ラスト1周どころか最終ターン（コーナー）を立ち上がり，フィニッシュラインを通過するまでは誰が勝つか分からないという，やっているほうも観ているほうも熱くなれるモータースポーツなのだ。そのNASCARを再現したEA Sportsの最新作「NASCAR Thunder 2004」のデモがリリースされた。
　デモで使用できるマシンは＃17 マット・ケンセス，＃24 ジェフ・ゴードンなど計10台。全米最長2.66マイルオーバルのTalladega Superspeedwayと，最大バンク角24度が特徴のTexas Motor Speedwayという特性の違う二つのオーバルコースが用意され，シングルレースとマルチプレイを試すことができる。
　挙動は同社のF1 Challenge 99-02のドライブモデルがベースになっており，オーバースピードでターンに入ったときなどプッシュ（アンダーステア）になったり，バランスを崩して大きく外にふくらんでしまったり，ラフなアクセル操作からルースになったりと，マシン挙動はしっかり計算されシミュレートされている。当然，NASCARの特徴でもあるドラフティング（数台で連なって空気抵抗を減らして走る方法）についてもきっちり再現される。ただAIカーと接触してもマシン挙動に影響がないなど気になる部分もあり，レーシングシミュレータというよりはアーケードよりといえるだろう。それでもマシンセッティングなど一通り調節が可能なうえ，コースごとにEasy，Qualify，Raceの3種類のセッティングが用意され，充実したアシスタントヘルプも手伝って，シミュレータからアーケードまでプレイヤーの力量に合わせて設定できるのが嬉しい。
　 自分だけが速ければ勝てるほかのレースとは違い，Talladegaではドラフティングを使って集団で走らなければ前車に置いていかれるハメになり，Texasではアクセルコントロールでターンを抜けていくなど，楕円のコースをぐるぐる回っているだけじゃないNASCARの面白さ，醍醐味，奥の深さを手軽に体験できる仕上がりだ。とくにドライブゲームが苦手で躊躇していた人は，楕円でコースを覚える必要もないし（デモ版にはないが製品版にはロードコースが二つある），NASCARにあまり興味のなかった人は，その面白さを知る良いチャンスだろう。（UHAUHA）

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