チェコ共和国のプラハに拠を構えるデベロッパ,Centauri Productionが開発したアドベンチャーRPG「Gooka:The Mystery of Janatris」のデモ版が登場。同デベロッパは「Mafia」や「UFO:Aftermath」に携わった8人のメンバーで構成されているとのことだが,上記2タイトルとはまったく要素の異なる作品。原作小説生まれの秀逸なストーリー,謎解き,そして戦闘がバランス良くミックスされたアドベンチャー作品となっている。低スペックのマシンでも十分に動作するタイトルなので,ぜひ気軽に試してみてほしい。
本作は,1996年にチェコ限定で発売されたリチャード・D・エヴァンス原作のアドベンチャーゲーム「Gooka」の続編。Gookaとは,原作や前作に共通して登場する主人公の青年の名前だ。
ある日,主人公のGookaが長旅から戻ってみると,家は荒れ果て,中には大やけどを負った妻Lidraの姿が。そして事件と同時に姿を消した息子Yorimarの行方を追い,Gookaは再び家を後にする――,というストーリーラインだ。
グラフィックスは,同社が開発したCPAL3D engineというマルチプラットフォーム対応エンジンで描画されたフル3D。ポリゴン数が抑えられているためフィールドマップはある程度角張っているが,細かく味のあるタッチで描いたテクスチャが貼り付けられているため,プレイヤーに古めかしい印象は与えない。視点は3人称で,操作はキーボードとマウスの2系統。マウスのみで遊べるのかと思いきや,歩く/走るのスイッチやインベントリ開閉が画面インタフェースに存在しないため,キーボードとマウスを併用した形で遊ぶことになる。
ゲームシステムはRPGにアドベンチャーパートを盛り込んだ内容となっていて,マップ上を歩き回って右下のイベントアイコンが反応するまで接触可能なオブジェクトを探し,アイコンが反応したら,アクションボタンもしくはアイテムを使用してイベント発生を待つという感じ。よくあるアドベンチャータイトルの静止画とルーペ(もしくはマウスカーソル)を,3Dマップとキャラクターに置き換えたといえば分かりやすいだろうか。
さらにゲーム中には謎解きが存在していて,デモ版では迷路と通路をふさぐモンスター(道中で入手するジェムに反応。アイテムをうまく使って移動を阻害しないように誘導する)など,軽めのパズルが登場する。
さてデベロッパがアドベンチャーとRPGとの融合を謳っているだけあって,本作は戦闘にもウェイトを置いた作りとなっている。GookaにはBody strength/Mind strength/Health/Speedといったパラメータがあり,ターン性の戦闘では戦闘スキルや精神力を用いた特殊スキルを駆使する必要がある。
面白いのは,戦闘中にGookaの心体バランスを変更できる点だ。登場するモンスターも主人公とまったく同じパラメータをもっているため,相手がBody strengthよりならこちらは肉体強度の向上とスペル攻撃を,逆にMind strengthよりならMagicShieldなどで防御しつつ体術スキルを使用するという具合だ。
デモ版では,上記の両特性をもつ2種類のモンスターが登場し,プレイヤーはまず始めに戦闘におけるノウハウをイヤでも学習する必要がある。チュートリアルとしては実に見事な見せ方だ。
上記のような若干の戦闘のコツさえ覚えれば,見応えあるエフェクトで頭を使った戦闘が楽しめる。戦闘後はGookaのパラメータが上昇し,ヘルスも回復。ときには新たなアビリティを習得することもあるので,キャラクターの成長も楽しみながらストーリーを追うことができるわけだ。
デモ版には,Gookaの上陸地点で簡単なオブジェクトインタラクトの方法を学び,洞窟でパズルと二つの戦闘を経験するまでが収録されている。間を開けなければ,正味1時間程度の内容だ。
ただ,Gookaの初期習得スキルのいくつかを組み合わせて戦闘を有利に運ぶ方法を模索していれば,ゆうに2時間ほどは遊び込んでしまう。画面インタフェースから予想するに,製品版ではパーティを組んでの戦闘も可能なのだろう。アドベンチャーファンというよりは,RPGファンに向けて制作されたタイトルのようだ。(Gueed)
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