「ポートロイヤル -カリブ大航海記-」(原題 Port Royal)や「ポートロイヤル -カリブ海戦記-」(原題「Tortuga - Pirates of the New World」)など,お世辞にも超メジャータイトルとはいえないが,秀作をリリースし続けるAscaron Entertainmentが,一風変わった作品のプレイアブルデモ版を発表した。2004年8月31日に発売が予定されている,価格は29.99ドルのかなりお手頃価格のソフトだ。
本作Arena Warsは,近未来のSF世界をベースにしたリアルタイムストラテジー。プレイヤーは一つのチームに属するリーダーなり,ロボットや軍用兵器などユニットの生産をしつつ敵ユニットを攻撃,ライバルの陣地にある旗を奪って,自軍に持ち帰るために戦う。
ゲームシステムは,敵を殲滅したり相手陣地を占領するなどといったものがメインの一般的なRTSとは異なり,敵軍の陣地にある旗を自軍に持ち帰ることが勝利条件という,変則型の"キャプチャー・ザ・フラッグ"を主体としたものを採用している。旗は,相手より先に5回持ち帰ったほうが勝利者だ。
ユニットがロボットで派手な攻撃が目立つ作品なのだが,対戦自体はかなりあっさりとしており,ライトなスポーツ感覚で楽しめる。また,自軍の旗が奪われているときは,相手の旗を持ち帰っても無効だったりと,しっかりとした防衛が必要とされる場合もあり,戦略的な部分も良くできている。
ユニットもしっかりと工夫が凝らされており,移動速度は速いが耐久力のないバギータイプ,オーソドックスな攻撃が可能な四つ足タイプ,レーザーによる攻撃で継続的にダメージを与える2つ足タイプ,攻撃は強力だが移動が遅い戦車タイプ,遠距離/近距離で活躍する万能型タイプ,遠距離攻撃には強いが近距離攻撃はできない可変方移動砲台タイプなど6種類が生産できる。
これらのユニットは,一定資金の中から合計コストを超えるまで生産可能で,一定値を超えると生産はできない。また,フィールド上に存在する自軍ユニットが破壊されるとコスト分の資金が戻ってくる仕組みになっており,フィールド上には一定数のユニットしか登場できないようになっている。このコスト配分のバランスが,とてもよく調整されているように思う。
またフィールド上には,一定時間が経過するとアイテムが出現するようになっており,このアイテムをユニットで取得することができる。アイテムは,使うとライバルユニットの攻撃を封じたり,一定範囲のユニットを壊滅させたりすることができ,敵陣営から旗を奪取するときに非常に役立つものから,自陣を防衛するときに役立つものまで,幅広く存在する。
これらのバランスが比較的良好なバランスで詰められており,シンプルではあるが緻密な戦略を組み立てられる。それがうまくいったときなどは,非常に楽しく遊べるだろう。
デモ版ではシングル,マルチ共に三つのマップで遊ぶことができる。マルチではインターネットにある専用サーバーに接続(メールアドレスでのID取得が必要)して最大4人での対戦ができるのだが,筆者の遊んだ時間帯が悪かったのか,英語圏のプレイヤーはログインしておらず,チャットルームではドイツ語が飛び交っており,対戦ができなかった。まずはシングルプレイでゲームシステムを理解したうえで,慣れてきたらマルチを遊んでみるといいだろう。(Seirou)
(C)Ascaron Entertainment GmbH

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