[TGS2003 #29]台湾ブースレポート 確実に進歩してきている台湾産PCゲーム - 2003/09/29 04:49


 PC/コンシューマ問わず,展示されるオンラインゲームの比率が年々高くなってきた感のある東京ゲームショー。オンラインゲーム市場が急成長している台湾からは,M-etel,GameDragon Technology,Leger Interractiveなどといった企業が参加してきており,自社ブース内にいくつかのタイトルを展示していた。
 ちなみに現在急成長を遂げている台湾ゲーム市場は,日本とも韓国とも多少事情の異なるちょっと特殊なマーケット。ただ根本的なところでは韓国や中国のそれに近く,急激なオンラインゲーム市場の成長(というより膨張という表現が正しいようだ)の背景には,パッケージ売りのビジネスではないために,海賊版(コピー版)が出回りにくいなどといった事情が見え隠れする。つまり,オンラインゲームの課金ビジネスモデルによって初めて「健全な市場」が構築され,それがゆえに市場が大きくなった(潜在顧客が,コピー版などに奪われていた)という見方ができるのだ。
 ただ韓国や中国と同じく,台湾には元々コンシューマゲームの進出が進んでおらず,ゲームをPCで遊ぶ風潮があり,それがバブルのような現在のオンラインゲーム流行の下地となっていたという側面も見逃せない要素。そういった点を考えていくと,現在までのところ,オンラインゲームが流行る条件としては,コンシューマが進出していない地域というのが,ある種の法則というか定説になりつつあるように思えてならない。
 また各ブースの担当者にちょっと話を聞いて回ったところでは,現在台湾のゲームメーカーの間では,中国市場への進出が一つのブームだという。中国市場は,現在とんでもない勢いで成長しているマーケットだが,台湾のゲームメーカーのいくつかは,いち早くそのビジネスチャンスを掴みつつある/掴んでいるというのだ。そこで逆に日本の市場についてはどう思うか? と聞いてみると,実はそこまで魅力的な市場でもないというのが本音のようであった。確かに,日本のユーザーは目が肥えていて趣向にうるさく,そもそもPCゲームを遊ぶような下地も状況もない。PCゲームを基本に考える彼らが,日本市場をイマイチだと思うのは無理もない話だといえるだろう。
 無駄な話が長くなってしまった。話をゲームに戻すが,台湾産のゲームタイトル自体に目を向けてみると,まだまだ荒削りな作品が多いと感じるのが正直なところ。ただそんな中にも「おっ」と思わせる興味深いタイトルは確実に存在し,それらのタイトルは技術的にもかなり高いレベルに達しているように思えた。ブース内で気になったタイトルのいくつかを,早速紹介していきたい。(TAITAI)

●生産系重視のMMORPG「童話(仮称)」は,日本ではサクセスが提供

 Lager Interactive社のブースで展示されていたのは,2DタイプのMMORPG「童話(仮称)」。タイトルでも分かる通り,童話の世界をモチーフにしたほんわかした世界観が特徴だ。
 本作がユニークなのは,マップ中を徘徊するモンスターを仲間にでき,またそれを武器や防具に取憑かせたりして,一緒に戦っていけるという点だろう。具体的には,戦闘中,敵を弱らせたところで"幻獣石"というアイテムを使うことで,そのモンスターを仲間にすることができるという。仲間にしたモンスターは,5つのモードに変化させることができ,例えば武器や鎧などに取憑いて,一時的に自キャラをパワーアップさせたり特殊能力を得たりといったことが可能になる。仲間にしたモンスターは,最大6体までストックさせることが可能で,状況に合わせてモンスターの種類やモードを変えていくことが,ゲームを有利に進める上で重要なポイントとなるとのことであった。
 またアイテムの作成に重点が置かれているところも本作の大きな魅力らしく,強力な武器や防具を手に入れたければ,鍛冶スキルを上げるなどして精巧なアイテムを作成し,またそれらを組み合わせることが必要になる模様。そもそもモンスターが落とすアイテムのほとんどが,なんらかのアイテムの作るための材料でしかないとの話で,戦闘はアイテム作成の素材集めといった趣もあるのだという。
 ちなみに本作のゲームシステムは,レベル制とスキル制の融合形であり,生産系の能力のほとんどがスキル系に属するとのことだった。スキル系の能力は,経験値などとは関係がなく,そのアクションを繰り返せば繰り返すほど能力値が上昇していく形。ただスキル値には上限が設定されているらしく,一人で全ての技能を習得できるという訳でもないらしい。例えば強力なアイテムを作成するには,いろいろな素材を集め,それをいろいろな技能を持つキャラクター達で加工し,そしてそれらを組み合わせなければならないようだ。

 本作は,すでに日本での展開が予定されており,ローカライズや運営を担当するのは,アジア産のオンラインゲームを数多く展開してきているサクセス。日本語化作業もかなり進んでいる様子で,年内には国内βテストを行いたいとの話だった。

●高い技術力を感じさせるGame Dragon Technology社の2タイトル

「Shining Kingdom Year Online」
 パステル調で描かれたゲーム画面が特徴的の本作は,かわいらしいキャラクターと爽快なアクション性を重視したMMORPG。水彩画のようなマップを背景に,丁寧に描かれたキャラクター達が動き回る様子はなかなかに見物。また戦闘システムも,ボタンを連打することで連続攻撃を繰り出せたりするなど,通常のMMORPGよりも軽快なテンポでゲームを楽しめるという。若干キャラクターも動きや画面の移り変わりなどに"重さ"を感じてしまったが,非常に良く作り込まれているのは確か。台湾ブース内でも,特に目を引いた一本である。

「Young Gatt」
 ストーリーを重視したシングル専用のRPG。独自に開発した3Dエンジン「Dream3D Engine」を搭載した作品で,キャラクターやマップなどが全て3Dで描かれているのが大きな特徴だ。15以上のCGムービーに加え,180を超すイベントが用意されており,龍の力(?)を持つ主人公を軸にした壮大な物語が楽しめるという。
 ブース内では,オープニングムービーと戦闘シーンが交互に収録されているデモ映像が流されていたのだが,戦闘シーンのそれは「ファイナル・ファンタジー」を彷彿とさせるもの。エフェクトやモーションはなかなか良く作り込まれており,なんでも戦闘では,ドラゴンを使役して戦闘に参加させたりできるのがウリなのだとか。



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