ROプレイヤーからの質問が飛び交う「ラグナロクオンライン サミット」開催 - 2003/08/25 16:28


 現在も順調に有料アカウント数を増やし続けているMMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)を運営中のガンホー・オンライン・エンターテインメントは,2003年8月23日,同タイトルのプレイヤー約70名を対象に,運営スタッフとの懇親と質疑応答の場を提供する目的のイベント「ラグナロクオンライン サミット」を開催した。

 今回のイベントには,キャラクターレベルに関係なくラグナロクオンラインの会員から公募により抽選されたライト/ヘビー層がごったまぜのプレイヤー達が参加(定員70名の募集枠に,500近い申し込みがあったとか)。しかし,よくある「ファンの集い」といった気軽なものではなく(少なくとも筆者にはそう見えた),ROのこれまでの問題点やこれからの懸念事項を真剣に考えているプレイヤーが集っていたようだ。なかには筆記用具を持参している人もおり,真剣な眼差しで資料をペラペラとめくる様子は,さながら"研修"といった雰囲気。イベント開始前にも関わらず,各テーブルでプレイヤー間の打ち解けた会話がなされていたのが印象的で,このようなオフラインイベントに抵抗のないファンが多いのも,ROの特徴の一つなのだろうと感じてしまう。
 このイベントはプレスからははまったく質問できないという場ではあったが,それでもプレイヤーの思いのたけを聞くことができたので,ツラツラとお伝えしよう。

■プレイヤーが知らない"データ"をすべて公開
 さて本日の趣旨は「ガンホーがプレイヤーの疑問に答える」というものだが,イベントはガンホーの最高執行責任者(COO)森下氏の挨拶と,テクニカルサービス部ゼネラルマネージャー堀氏による現状のROの問題点や,これまでの経緯の説明などで幕を開けた。

 堀氏の説明は,現在(2003年8月22日時点)172203の有料アカウント数 (有料契約しているリアルタイムな日次アカウント) を抱えるガンホーがROのβテスト時に犯してしまったミスや,我々も記憶に新しい正式サービスイン後のアカウント停止事件についての申し開き,またこれまで詳細に語られていなかったROのサーバー構成や,ローカライズ手順,各種運営データの公開に及んだ。

 データは,各サーバーの現状のステータスをメインに公開。βテスト時から遊ばれているChaosやLokiやIrisサーバーには現在20万キャラクターが登録されていることや,以前Sakrayと共にバックヤードに存在していたオーディンとトールが通常運営サーバーに移行し,新しくテスト用(および緊急時のリザーブ用)として,Tanathosが利用されていることなどが説明された。
 そのなかで堀氏は,日本国内およびワールドワイドにおける使用キャラクターの分布についても語ってくれたわけだが,アコライトが人気クラスなのは周知の通りだとして,ノービス(ROの初期クラス)が全体の42%にのぼるという興味深いデータを提示。たしかにアイテム管理や別サーバーでの冒険用に新たにキャラクターを作ることはあるし,複数アカウントで遊んでいる人がいわゆる"捨てキャラ"として利用する場合もあると思うが,正式サービスインから10か月を過ぎようというMMORPGとして考えると,かなり多めの数字ではないだろうか?(あとで聞いた話だが,実はROの有料会員数はまだ右肩上がりとのことだ)。

 また多くのプレイヤーが不快な思いをしたであろう「アカウント停止問題」に関しては,謝罪こそあったものの,今後どのように再発を防ぐかという具体的な方法論の提示には至らなかった。これはプレイヤーが最も感心のある部分であり,自分も同じような目にあうかもしれないという疑念を払拭するためにも,ガンホー側のもう少し突っ込んだ分析を期待していたのだが……。

■運営スタッフもタジタジ。「それでもすべてにお答えします」
 そんなこんなで,次はメインイベントとなるRO運営スタッフの質疑応答へ。
 ここでは堀氏を始め,RAG-FES3に登場したROのGM(ゲームマスター)D.A,rockの両氏,ROの日本語化を統括する廣瀬氏,同マネージャーの島山氏,「ラグナロク天国」に"プロデューサーK"として後ろ姿だけがお馴染みの北村氏,さらにROのグッズの企画・販売を手がける中西氏が壇上に集った。
 これだけのメンバーが一堂に会する機会は今後も少ないであろうということで,やはりプレイヤーからは,「なんでパッチとか緊急メンテナンスの告知が遅いの?」「"うちはガンホーだから(アチコチで叩かれてるし)この程度でいいか"とか思ってない?」など,歯に衣着せぬ鋭く厳しい指摘が飛び交う。
 ファンイベントならば「三次職業について」などのROの新しい実装についての質問が大変を占めるはずだが(実際にこの日もその類の質問はあったが,堀氏にうまくかわされていた),この日は別だ。「ガンホーだから悪くても仕方がないとか思ってない?」という来場者拍手喝采の質問に対しては,堀氏が「じゃあぶっちゃけて言いましょう」と意を決し,正式サービスイン直後2003年の正月はサポート業務で社員全員が本当に辛い思いをしたことを告白。また,当初は開発元のGravity社も情報の公開をほとんど行わず(Gravityも言ってみれば"新参"の会社で,海外でのゲーム運営ノウハウをもっていなかったのだ),プレイヤーの質問にも「悪いけど答えられないんだよ!」と内心思っていたこと,その後Gravityとはケンカ腰のやりとりの末,徐々に意思疎通できるようになったことなどを白状(?)してくれた。
 そのほか面白いものに「公式ガイドブックを出すタイミングが悪い」という指摘もあった。細かなアップデートを繰り返すROでは,書籍制作時のタイムラグがガイドブックの質を著しく低下させてしまい,プレイヤーは何回も似たような本を買わなければならない。もちろん書籍制作サイドの中西氏からすれば「そ,それはしょうがないんです……」といったところだが(確かに,コモドとタートルアイランドのアップデートは非常にタイトなスケジュールだったことだし),タジタジのスタッフ陣を苛め抜く(?)という面白さも,今回のイベントには盛り込まれていたようだ。

 質疑応答のあとは,レセプションとして軽い立食パーティとRO関連のイベントでは欠かすことができない「じゃんけんポリン大会」を開催し,会は滞りなく終了した。

■切っても切れない「ガンホーとプレイヤー」の結びつき
 さて今回のイベントで筆者の印象に残ったのは,「プレイヤーとRO」というよりも「プレイヤーとガンホー」という図式が成り立っている点である。
 「なぜROは日本国内において成功したか?」という定番文句に対しては,「広い層に訴えかけるキャラクターデザインと簡素な操作」や「(同人関係の)オフラインコミュニティの成長」,また(良し悪しは別として)「不具合や運営ミスのイベント化」などが挙げられると思う。そして同社はそれらの要素について,同人関係者にはRAG-FESという大規模なイベントに参加することでアピールしたり,不具合については今回のような極めて誠実な態度で臨むことでわだかまりを取り除いたりしてきたのだ。
 それらに関して,"ガンホーが行う"ということを前面に押し出して地道かつ戦略的な"ゲーム以外のサポート"を行ってきたのが,ROの成功の秘訣の一つではないだろうか。ちょっと考えば分かることだが,自分がプレイしているゲームの運営(発売)元をとっさに答えられるプレイヤーが多数いるゲームなんて,そしてスタッフの顔や名前を覚えているゲームなんてそんなに多くはないはずだ(初心者については極々稀だろう)。
 今回の質疑応答でも堀氏は,質問の論点を逸らすことなく的確に,そして正直に答えており,聞いていて非常に気持ちがよかった。もちろん新しい実装に関してなどは答えられないこともあったが,参加したプレイヤーには予想以上の収穫があったことと思う。

 ガンホーの社員数は現在,アルバイトも含めて64人。これからも益々ROのプレイヤーは増えると思うが,現在のフットワークの軽さを維持していってほしいものだ。(Gueed)

 会場で配布された紙資料のデータに関する一部分をスキャニングして「こちら」(LZH:480KB)に用意しておいたので,興味のある人は覗いてみるといいだろう。今までとは違った視点でROの世界が見られるかもしれないぞ。

##余談##
 現在ガンホーがストリーミングサイト「あっ!とおどろく放送局」で放送中のRO関連番組「ラグナロク天国」だが,来場したプレイヤーのほとんどが"知らない"ことが判明(これには,マーケティング担当の北村氏は驚き,そして落ち込んでいた模様)。生放送が中心ということもあるが,プレイヤーは公式サイトでの告知などを参考にぜひチェックしてみてほしい。堀氏やラグナロ子なども登場しているので,ファンは見逃すべからずだ。

→当サイト内の「ラグナロクオンライン」特設ページは「こちら」


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